静かな場所を望んだ聖女の末路(続編)
長らくお待たせしました!!
短編「静かな場所を望んだ聖女の末路」の続編です。
どうぞ!
んんっ…なんか…明るく…?
「産まれましたよ!元気でかわいらしい子ですねー!」
転生…したってことよね?しかも赤ちゃんから…なのね。
視界がぼやけていて見えにくいけれど…私のお母さんは、黒髪、黒目だわ。珍しいわね…。
私の見た目は変わってるかしら?私の姿も早く見たいわ。
そのためにも早く歩けるようにならなくちゃね!よーっし!この日本という静かな国で第二の人生を送るわよ~!
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私が産まれてから十一か月。
最初のうちは同じような光景、同じような日々を送っていたからつまらなかったけれど、だんだん立てたり歩けるようになってきたわ。
それで、鏡のあるところを探し出し、自分の姿を見てみたの。
そうしたら、私の顔は…前の世界の私とほとんど変わっていなかったのよ。
さすがに派手だった髪や目の色は、お母さんと同じ黒色になっていたけれど。
私自身、そんなにかわいいと思っていなかったから、顔も変わっていてほしかったのだけれど。
まぁ…しょうがないわよね。私の願い通りに転生させてくれた神様には、感謝しなきゃ!
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それからまたまた三年。
もう少しで幼稚園というところに行くみたい。
幼稚園というところでは、同じ年の子供たちで集まって作業するそうよ。
うるさくないといいのだけれど…。
あと…最近お母さんもお父さんもお外に行ってしまっていて、全然遊んでくれないの。
なんか…つまんないわ。もっとかまってくれてもいいと思うのだけれど。
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それからまた一ヶ月くらいたち、ついに幼稚園に行く日。
どんな子がいるのかしら?お母さんに、友達ちゃんと作りなさいよって言われたけれど…静かな子と仲良くなりたいわ。
もうあのような悪夢は繰り返したくないもの。
…あと、お母さんに声をかけられたのは一か月ぶりかもしれないわ…。
あら?あそこに見えるのが、私が今日から通う幼稚園かしら?
なんか…ボロいわね。ちゃんと人がいるのか不安になるほどだわ。
「いってらっしゃい。」
え、もう?
だって、まだすごく遠くの方に見え始めたくらいよ?
そう思ってお母さんの手を離さずにいると、
「早く行きなさいよ、わがまま娘。」
と言い、乱暴に手を離すと行ってしまった。
…しょうがないわよね。お母さんは忙しいんだもの。
…この気持ちは、何?
っ!もっとかまってほしいなんかじゃないわよ!
…しっかりして!私!!こんな静かな所、私が望んでいた空間そのものじゃないの!!
私は静かに生きるのよ!
それから少し経ち…。
『あぁ…。なんてわがままな人間なのでしょう。私の目が間違っていたわ。認めなければよかったわ。もう人として駄目ね…。』
その女神の言葉でまた一人、この世界から消えていくのであった。
~end~