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第5話 始まりへ

僕は少し戸惑った。スキルの確認。すなわちその能力についての確認だ。僕は先程まで何度もスキルを使用しようと試してみたが何も起きない。常時発動型なのか、それとも何か発動の条件があるのか。どちらにせよ能力についての説明が出来ない。


「ぼ、僕の能力はまだ確認してないです。誰かに見られたら不味いと思って」


「たしかにな。どんな能力が発動するか分からない以上あの状況で使うのは博打だな」


「逆に田辺たちは良く確認しようとおもったね」


「私の能力は対象者を選ばなければ発動できない。田辺君も同じだと思うけど、その場合契約紋が常に対象者の選択を求めているの。つまり対象者を選択する事がスキル使用の条件。だったらどんな能力が発動したとしても私だとバレる確率は少ない」


「えげちーな。俺はそこまで考えなかったぜ」


「一つ疑問なんだけど、鈴木さんはどうやって色と嘘を結びつけたの」


「能力の使用時の初めに契約紋から能力の説明が頭に入ってくる」


「鈴木さん。僕にスキルを使っておいてくれ。僕の能力はリザレクションと、気を使って田辺くんは言わなかったと思うけど、コミュニケーターという2つのスキルがある。ただ、現状このスキルは使用できない。常時発動なのか条件が揃っていないのかは分からないが、それが真実だよ」


「嘘は言っていない」


鈴木さんの契約紋は青く発行している。これでとりあえず僕のスキルについては釈明できた。ただ、問題は現在の状況だと攻撃型のスキルを持つものが誰一人として居ない。戦いになれば不利になる可能性がある。


「僕は田辺くん、木田くん、鈴木さんを信じるだけのピースは揃ったと思う。それはみんなも同じだとも思う。ただ、現状攻撃型のスキルが居ない。そもそも攻撃型のスキルというものが無い可能性もあるが、きっと戦いが得意ではないこの4人ではそれが無いと厳しいと思う」


「それは私も思う」


「てことは木田次第か」


「えっ、えっ!?」


木田は驚いて目を見開く。それもそうだ。こんなに突然あてにされたうえに、そもそも攻撃能力の低そうな木田からしたらたまったもんじゃないだろう。しかしそうも言ってはいられない。この4人でパーティを組むならそこはマストだ。


木田は少し沈黙したあと目をつぶった。すると木田の契約紋が発行して小さな銀色の星が浮かび上がる。


「シルバースター。そのまんまだな」


「木田くん、能力の説明はあった?」


「う、うん。どうやらこの銀でできた星は想像した物にどんな形でも変わるみたい」


「えっ!?」


「マジかよ!」


「それは…とてつもないわ」


「待って待って!ぼ、僕なんかした!?」


「木田くん。その能力はとんでもなく優秀だよ。汎用性が高く攻撃にも使える」


「これは決まったな」


「うん。行こう。この四人で」


「よし、流石に知ってると思うが一応これから当分共に戦う仲間だ。決意表明として名乗らしてくれ。俺は田辺優希だ、よろしく」


そう言って拳を突き出す田辺。


「ぼ、僕は、き、木田隼人です。よろしく」


「…私は鈴木由香。よろしくね」


続いて木田も拳を突き出し、少し考えた後、恥ずかしそうに鈴木さんも拳を出す。


え、まって、これ俺もやらなきゃダメなやつ?


三人の顔を見ると至極真面目な顔でこちらを見ている。わかった。やればいいんだろう。


「僕は三玉拓真。よろしく」


皆の決意が固まった所で扉に手をかける。


窓からは完全に朝日がさしており、いつ殺し合いが始まってもおかしくない。もしかしたら最後まで残った者を殺そうとこの場所を見張っている者もいるかもしれない。早急に行動しなくては。


僕が扉を開けると薄暗い通路に出る。そこに一人、最初に居た騎士の一人が立っていた。


「出立か?ならこれを持っていけ」


四人全員麻袋を受け取ると中を確認する。中には銀で出来た硬貨が入っていた。


僕は麻袋をスボンのベルトループに紐で括り付ける。


「この通路を道なりに真っ直ぐ行くと扉がある。そこを出たら外に出られる。そこからは自由にしな」


「ありがとう」


「おう、お前らに主の御加護があらんことを」


「よし、急ごう」


僕は騎士の対応に少し驚きつつも扉を目指す。道中にアリアさんが居たので会釈だけしておいた。


「始まるんだよな、異世界冒険がよ」


「そうだね。流石に冒険とは呼べないけど」


そんな軽口を叩きながら外に出る。光が差し込む。その先はどこまでも光が続く。先程まで薄暗い場所にいたせいか目が霞む。


少しの時間を置いて目が正常に戻っていく。そしてその眼前に広がったのは、目を疑う程に綺麗な神秘すら感じる木々達だった。

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