第4話 協力者
ぼーっとどうするか考えていると、気づけば周りにいる人は少なくなっている。残っているのは清水さんと篠原さんのコンビ。後は田辺と木田と鈴木さんだけか。一体あれからどれくらい時間が経ったのだろう。窓の外はうっすら明るくなってきている気がする。
とうとう清水さんと篠原さんも出ていった。残るは四人。
よし、決めた。一人で何とかしよう。そう思った所で肩を叩かれる。
「あ、あ、あの…」
声をかけてきたのは木田だった。
「どうしたの、木田くん」
「も、もし良かったら一緒にしばらく行動しないかな…なんて」
「うーん」
きたきたきた!これは幸運だ。まさかあちらから協力を申し出てくるなんて。僕も協力するなら木田だと思っていた。同じ底辺組だし。しかし問題は信じていいのかという事だ。彼が本心で言っているのか、誰かに言わされているのか。その可能性もある。それに急に裏切られる可能性もある。
「木田くんいつものメンバーは?」
「あ、ああ山田くんと柳瀬くんだよね。この世界に来る前に色々あって。置いてかれちゃったみたい」
コイツは何をヘラヘラしているのだろうか。信用に足らないな。確かに底辺の世界にもそういった事はあるのだろう。しかしこの状況でそれを信じろっているのは酷じゃないか?
「うーん…」
「ダメかな…?」
「ダメっていうか…」
本心を伝えるべきだろうか。そう考えていると後他の二人も会話に入ってきた。
「良かったら俺も入れてくれよ」
「私も」
「えっ?」
田辺と鈴木さんが会話に混ざる。何故この二人が…?尚更信用出来ない。
「ごめん、誰も信用出来ないよ」
「そりゃそうか」と頭を搔く田辺。何故僕達に声をかけてきた?それに鈴木もだ。彼女が僕達に混ざるメリットはなんだ。ないだろう。ならば疑うのが普通というものだ。
「私も誰も信用は出来ない。ただ貴方達なら信頼をできると感じた」
「そんな事急に言われてもそれが信用出来ない」
「黙って。理由は今から述べるから。まず一つはさっき貴方達は誰にもスキルを伝えていなかった事。単略的に動いて行かなかったことが伺えるわ」
どうやら彼女も同じように周りを注意して見ていたらしい。確かにそこは僕も信頼できる。
それにしても初めて話したのに黙っては酷くない?普段から不思議な雰囲気のある子だとは思ってたけど…それとも僕が陰キャだから?女子ってみんなこうなの?
「そしてここからが大事。私のスキルはジャッジマンというの。能力はさっき確認したけど、スキルを使用した人間の言葉が色で見える。これは契約紋に現れるわ。嘘は青。真実は赤。そして疑心の灰色。とりあえずこの三色は確認できた。この場に赤を示したものは居なかった」
「それを信用する材料がまだないね」
「話はまだ終わってない。これは私のスキルの使用時他の人間も色を視認することが出来る。そしてこの能力の対象は私も範囲内」
「つまり能力使用時を確認すれば僕達も真偽の判別ができると」
「そう」
なるほど、これは使える。彼女がそもそもの能力に嘘をついていない限り、彼女が真実を述べていることも分かる上に、裏切りの可能性がだいぶ下がる。ただ問題はそもそも彼女の事を信じていいのかということだ。
「私は能力の開示という大きなリスクを犯してまで貴方達に近づいた。この意味を理解して欲しい」
「確かに。でもまだ足りない」
「いや、鈴木の言っている事は本当だと思うぜ」
「田辺君はなんでそう言い切れるの?」
「俺も先にスキルを伝えておく。俺のスキルはイノセントアイ。これは対象者のステータスを閲覧出来る。勝手に見て悪いが、鈴木を今イノセントアイで確認したが、確かにスキル名はジャッジマンだった。木田と三玉さえ良ければお前らのスキルも今当てられる」
なるほど。この自信からして田辺のスキルは本物だろう。きっとこの後僕のスキル名も当ててくるはずだ。そしてそれは誰にも伝えていない情報。必然的に鈴木さんのスキルも本当である可能性が上がる。後は、彼らと手を組むか否かだけか。
「わかった。使ってくれ」
「よし…三玉は…リザレクション。他のステータスは一応まだ他の奴には伏せとく。木田はシルバースターだ」
「合ってる」
「ぼ、僕もあってる」
「これで俺の信頼は勝ち取れたか?」
「うん」
「よし、後は各々のスキルについての確認だな」