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ライチとマンゴーとチョコとバニラとこの時間




 1度席を立ち奥に座る弓波を通してあげる。ありがとうと1言返される。そこまでのことをしたつもりはなかったが、感謝されてみれば良かったと思える。こう見れば学校で見る弓波と印象は変わりないんだがな。


 「んー!美味しい」


 チョコだけのアイスを幸せがおすそ分けされるほど美味しく食べる神山はあの自由人と似たところがあると思っていた。


 「味変しないで食べれるのかよ」


 「じゃ来栖くんは1日ずっと掃除してて飽きるの?」


 「……ないな」


 「そういうことー」


 好きなものなら飽きないで食べれるよということ。俺なら同じ味ばかり口にしていたら飽きるため聞いただけだったが、人それぞれとはまさにこのことで神山は飽きないタイプだった。


 「それにしてもここも暑いわね」


 「弓波もそう思うよなー多分人混み慣れてないからだろうけど」


 取り巻きとは違いここの人混みはその倍の倍の倍以上いるのでレベル1の耐性ではレベル5の人混みには勝てない。耐性をつけろと言われるなら俺は攻略を辞めるな。わざわざ人混みに入ってまで買い物をしたいとは思わない。


 「もう来ることはないと思うから良かったな」


 「それはどうかしら。今後何が起こるか分からないし、もしかしたら来ることになるかもしれないわよ」


 「やめてくれ。そういうときの弓波の予想は当たるんだから」


 だとしても夏に来ることはないと思われる。あるなら夏休み明けてから、秋冬ってところだろうな。衣替えのために服を買いに来たり、その他呼び出しもされそうだ。


 様々な予想がされる中、頭の隅っこではどの予想も外れると思い込んでいる自分がいた。つまりは予想外の何か。


 「楓華、さっきから全然食べ進んでないけど?」


 もう食べ終わる寸前の神山は、弓波のまだ2つも残っているアイスを見て言う。


 「うん、この味失敗したかも」


 「え、好きだから選んだんじゃないのかよ」


 「なんとなくで選んだわ」


 「まじかよ」


 女子は男子と違い新しい味に挑戦する、と言われているのがなんとなく理解できた気がする。弓波は女子の常識からズレていそうと思っていたがそんなこともなかったようだ。


 そう言うなら神山は好きなものを三段にしてまで食べているので、挑戦するタイプではないのだろうと思っておく。ちなみに2人が行ったアイスクリーム店はこの時期によく見かける期間限定という張り紙があり、挑戦するには全然ありの商品だった。


 「マンゴーとライチでしょ?私食べようかってか交換する?」


 圧倒的に神山が特をする提案だが、今の弓波にはそんなことは関係ないかもしれない。


 「うん、お願い」


 「オッケー」


 こうして弓波に一段ほどのチョコアイス、神山にライチとマンゴー三分の一ずつ残ったものが渡った。


 「はい、バニラ食べろよ」


 さすがに少ないと思い全く手を付けていないバニラアイスをあげる。抹茶とチーズケーキは手を付けていたので甘いものが好きで良かった。


 「拒否権なし」


 絶対に嫌だとか言ってくるのでそれを前もって阻止する。そもそもこれは弓波が買ってくれたもの。俺のだとはいえお金を払ったのは弓波なのでもらってくれないと、いくら今日付き合ってくれたお礼と言ってももらいすぎている。


 「ありがとう。もらうわ」


 「うん」


 夏休み前ならまだ申し訳ないという顔をしてもらっていただろうが、今の弓波にそんな表情はない。少しずつ俺との友達関係に慣れてきているのだとこっそり頬を掻く。


 「来栖くん、ホントは楓華と交換して間接キスでも狙ってたんでしょ」


 「やべぇこと言い出すなよ」


 いきなりやべぇこと言い出すから一瞬戸惑ったが、よく考えるとこれはいつもの神山だった。何かイジりに使えそうな素材を見つけたらすぐイジる。この速さの世界大会があるならダントツ優勝間違いなしだ。


 「残念だったね」


 「だから…………そうだな」


 もう認めるしかない。認めなかったらずっとこれでイジられる。神山は陰キャの俺にとってうざい存在なのかもしれない。友達でなければ。


 「あはっ、認めたー!」


 「来栖くんってムッツリなのね」


 「なんとでも言ってくれ」


 呆れはしてもこれが2人なんだと、素を出せているんだと思えば微塵も嫌ではない。


 「これだけは言いたいんだが、ここにいるのが俺じゃなかったら2人とも幻滅されてるレベルだからな。まじで」


 「でも来栖くんが目の前にいるんだし、たらればなんて今更どうでもいいもーん」


 「幻滅するような人はちゃんと見極めれるわ」


 「そうでございますか」


 この2人には決められて揺れ動くことのない友達の基準がある。それがその人の前で素でいられること。それをクリアできているのは素直に嬉しい。


 そんな精鋭の中の精鋭を護衛にする、または気に入った男を奴隷にする女王のような2人だが、いつまでもそんな2人であってほしいと思う。なぜなら男友達の唯一が俺だから。


 俺が美少女2人に気に入られ、調子に乗って独占欲を顕にしているわけではない。俺にとって倉木以外に素を出せるのが2人だけだからだ。2人に友達が増えれば人間関係が苦手で嫌いな俺は2人と関わることは絶対に減る。そうなれば俺の友達は倉木だけに戻るのだ。せっかく奇跡が巡り巡ってここまできたんだ、2人とは()()()()()友達でいたい。


 こう思えるのはいつまでなのだろか。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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