人の好みは性格じゃ計れない
5階につく。そこはたこ焼きやハンバーガー、ラーメンやドーナツといった有名チェーン店がズラーッとならんだフードコートで15時前にも関わらず多くの人がテーブルを囲んでいた。
より多かったのはやはり家族連れ。幼児から小学までの子供を連れていた。こうして見ると俺もそんな時期があったのかとふと過去を思い出す。こんなに可愛かっただろうか。
俺は幼い頃両親に連れられ数多くの旅行をしたらしい。だがそれはほとんどが幼児期健忘前。今の俺にその記憶はなかった。
過去を懐かしみながら3人座れる場所を探す。2人は俺より早く買い物を終わらせれるはずがないと思っているのできっとまだ来ていないだろう。
っと思っていると予想は外れるのが来栖湊だ。
20m先に人混みの中、一際輝きを放つ2人の美少女を見つけた。神山結奈と弓波楓華だ。
「まじで?早くね」
今度はこっそりとこぼす。店に入った時間のタイム差があるとはいえ悩みそうな弓波を連れ、それを見て楽しむ神山たちには負けないと思っていたのだが、そんなことはなかったのか。
意外なことに口は開いたまま2人を見ていた。
こう遠くから見ると先ほどの近くから見た2人とは違い華があるのが十分にわかる。席近くの人は男女関係なく見ているし、カップルで来ているだろう男女の男は弓波か神山のどちらかに釘付け。彼女に気づかれる前に視線を戻したほうが身のためだと心の中で忠告してやる。
そんな2人のテーブルにお待たせーという感じで入ってきたなら、なんであんなやつが?と思われるだろうが、もう今の俺は優越感に浸ることだけを考えているので大歓迎だった。嫉妬ウェルカム。
見続けるのもありだと思い始めていた頃、男子4人、おそらく高校生ぐらいの集団が2人のとこに話しかけに行こうとしていたように見えたので、そんなことはさせないと俺も2人と合流することにした。
「お疲れ、めちゃくちゃ早くね?」
話しかけながら手間に座っていた弓波の横に座る。すると男子高校生の集団はどこか離れていく。
ドンマイだったな。冴えない男が2人と一緒にいて。
「だから言ったじゃん。すぐ決めるって」
「それは神山の話しで、弓波が早く決めれるとか思ってなかったからさ」
「私は楓華も早く決めれるって思って言ってけどね。いや、早く決めさせれる。かな」
「そうなのか?それならさすがだな。親友やってるだけある」
「まぁーねー」
何か弓波を動かせる秘密があるのだろうか。それならば何が何でも知りたいが。
この速さからしておそらく水着以外何も買っていないだろう。たとえ何か買っていたとしても聞かない。聞かれたくないものとかあるかもしれないから。
地雷を踏んだりしたら神山は喜んでいじるだろうし弓波はドン引きする。だから俺は恥ずかしすぎて顔を竦めることになりかねない。
「もう買うもの買ったんなら帰るだろ?」
テーブルを頬杖を付きながら疲れてるので帰りませんかとアピールする。
「そうね。でもせっかく来たんだから何か食べて帰らない?」
「それありー。冷たいもの食べたいな」
「そうだな。何か食べるか」
この空間にいるだけで疲れが飛んでいきそうなのはいつも通りだ。結局今から帰ることは俺も諦める。2人がそうしたいなら俺もそうするべきだと思うし。
2人の意見に賛成するのは自分の意見が通らないからではない。2人の意見がより正しいと思うからだ。そもそも意見がないから帰るという選択肢しかないだけで、2人と何かできるのならまだ残るのも全然ありだ。
「じゃ私はアイス買ってくるねー」
「私もついていくよ」
「なら俺はここに留守番しとく」
全員が離れれば座る場所が確保できなくなる可能性があるのでこういうときは誰か一人残る必要がある。
「ありがとう」
今日1ウキウキした様子でアイスクリーム店に向かう。この笑顔が待つことの報酬ならもらいすぎているレベルだな。
弓波は甘いもの好きだと本人から聞いていたので知っているが神山もそこそこに好きらしいな。何を買ってくるかによってまた詳しく分析できるだろうけど。
ここで予想をしてみる。弓波は二段のバニラとチョコのアイスで、神山は……三段のチョコミントとか普通ではないアイスだと。
弓波はシンプルなものが好きなイメージがあり、神山は先ほどの海パンのゾウさんのような奇抜なものを選ぶイメージがある。一致していたら更に面白いんだがな。
そうして待つこと5分。そこまで並んでいなかったらしく思ったより早かった。
「ジャーン、チョコ三段」
「……チョコ好きすぎだろ」
まず神山は三段というのは合っていたが、意外とシンプルなチョコ、しかもチョコだけを三段にして買ってきた。めちゃくちゃ甘いもの好きのようだ。
「弓波は……」
「マンゴー、ライチ」
弓波は二段でそれもシンプルだけどシンプルの中でも外れたとこにある味を選んできた。めちゃくちゃ予想外。ってか逆だ。2人の味を逆にすればほとんど一致だったんだけどな。
「それで――はいこれ。来栖くんの」
「え?俺の?」
「そうよ。私が選んであげたから」
出されたのはバニラ、抹茶、チーズケーキ味といったシンプル味2つに一癖つけた味をのせた三段アイスクリームだった。
「今日付き合ってくれたお礼よ」
「あ、ありがとう」
抹茶は好きだしバニラも好き。チーズケーキも大好きだ。好みを知っているかのような味の種類に驚くがこれまた弓波の力なのだと納得する。
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