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女神の次は天使の本当の姿




 「私でもなければ結奈でもないってことでしょ」


 お茶の入ったコップを1つ右手に持ちながらこちらに歩いてくる弓波の答えは俺にとって正解だった。


 しかし神山はどちらか決着つけたいらしい。


 「それなら私ってことでいい?」


 「1回譲ったぐらいで勝ち越せないから私ってことにしてくれてもいいんじゃない?」


 「ふーん、珍しいこと言うじゃん。それなら仕方ないなー譲ってあげるよ」


 きっと神山は自慢のコミュ力でいろんな人に聞いて回っているのだろう。私と楓華どっちがタイプなのかと。質問する人に気を使う人もいるので神山がタイプと答えた人のなかに本当は弓波がタイプの人もいただろうな。


 それにしてもやはり神山がタイプの人が多いのか。弓波の言い方からして差はあるようだ。


 コップを神山に渡したあと弓波はテーブルの椅子に腰を下ろした。まだソファに座れる場所は空いてあるのだが。


 「俺の話しはもういいだろ。神山は何しに来たんだ?」


 家の主でもないのになぜ来たのか聞くのはそれほど気になるからだ。遊びに来たと言っていたがこんな朝早くから何をして遊ぶのだろうか。


 「ん?遊びに来ただけだよ」


 本当なのかは聞かずとも弓波の顔を見て本当だと分かった。


 「何して遊ぶんだよ。こんな朝から」


 「それはこれから決めるの。これからの気分次第!」


 「……来栖くん、これが神山結奈よ。勉強も運動もできるけど計画性なんてないし1番問題なのはポンコツってこと」


 「……あ、ありがとう?」


 神山の取説を簡単に説明してくれた。よく頭で理解できなかったのでありがとうと不意に出た。


 つまりこれがさっき言っていた神山の欠点ということだろうか。


 「いつもは何をしてるんだ?」


 今日初めてこの時間に弓波の家に訪ねてきたわけではないだろう。過去にどんなことをしているのか聞くことでこれから何をして遊ぶのか予想がつけやすい。


 「前は何したっけ?」


 「映画見た」


 「あーそうそう。思い出した」


 友達と遊んだことはしっかり覚えてあげてほしいものだ。神山は友達が多いだろうからその都度覚えるとなると混じっていきそうだ。


 なんの映画と聞かずともこういうときは昨日の夜のように海外のホラー映画とかを部屋を暗くして見たりしていたのだろう。もしかしたら神山がポンコツというのならば意外なジャンルを選んできそうでもあるのが少し笑える。


 「今日も映画を見ることにすればいいんじゃないか?」


 「私はなんでもいいけどできたら来栖くんに賛成」


 「2人がそれでいいなら私もいいよー」


 結局なんでもいい精神の人しかいないので1つの提案があっさり通る。普通なら嫌だとか考えないくせに文句を言うやつが多いと思うが2人はそんなことはなく、やはりいい人というのは間違いではなかった。


 それよりも気になるのは俺も含まれているということ。朝には帰ろうと思っていなかったが神山が来たことにより邪魔になると思ったので帰ることだけを考えていた。


 でも今は帰るなんて言い出せない空気が出来上がっていた。俺じゃなくて倉木とか他のクラスメートの男子ならこの展開をどれほど喜んだだろう。いや、俺も喜んでいないわけではないのだが、2人と関わりたいという思いのレベルが違う。


 「私、なんでもいいしか言わないからトイレ行ってくる間に決めててー」


 そう言って俺たちの了承も得ずにトイレに行ってしまった。まぁ、全然オッケイなので気にすることはない。


 「決めますか」


 「そうね」


 テレビを切り替え、動画配信サービスを起動させる。最近は掃除をしないとき――平日とかの空いた時間は意外と動画配信サービスに頼っている。スマホで見ているが、大画面で見るとさらによく思える。


 「結奈についてどう思った?」


 リモコンを操作しながらテレビに視線をおいていても質問は俺に向かってのものだった。しかも先ほど神山から聞かれたことと同じことを聞かれる。お互い、お互いの話しが好きなのだろうか。


 「どうって、聞いた通り元気で人の良さそうな人って感じだけど」


 「そうね。だけどワイワイしてる元気な子に見えるけどホントは結奈も私たち側に行きたい子なの」


 「ホントはおとなしい性格だってことか?」


 「性格はさっきからの結奈と変わりないわ。ただ誰かの中心にいるのが苦手ってこと。人との話しだったり、勉強を教える側になったり、手本を見せる側だったりね」


 弓波は弓波らしく神山のことを知ってもらいたいという思いから俺に詳しく教えてくれる。友達想いだ。


 「あの性格だと中心にいることが幸せだから好んで中心にいると勝手に思うけど、あの子は逆で、いつの間にか自分が中心にいて、中心にいるからこそその周りにいる人たちに何かをしてあげないといけないって思うタイプなの。つまりは考えすぎちゃうタイプってこと。誰かの中心ってそれだけでプレッシャーなのにそれに加えて誰かのためにって考えるから優しい性格故の悩みがあるの」


 「人からの期待を裏切りたくないってことか。分かるそこまで深刻ではないけど俺も似たようなこと思ってるから」


 誰しも人からされる過度な期待はパフォーマンスに影響を与えるように、自分で期待されていると思いこんでしまう性格の人は誰からの期待がなくともその状態になってしまう。


 まさに掃除を依頼されたからにはそれ相応のことをやらなければいけないと思っていた俺と同じだ。


 「それを俺に言ったのはどんな意図が?」


 「来栖くんも結奈とは仲良くなるだろうから先に知っておいてもらいたくて」


 「やっぱり優しいな。ってか俺と神山が仲良くなるとかどれだけ前世で徳を積んだんだよ」


 自分でも笑える。なぜ1000年に1度の美少女のような2人とここまで関われるのか不思議で仕方なかった。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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