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まさかの訪問者③




 「ところで来栖くんは今日の朝ここに来たの?それともお泊り?」


 この状況で1番気になることを聞かれた。俺だって倉木の家に関わりのなさそうな女子がいたら聞く。違うのは俺が聞くときに挙動不審になるところぐらいだ。


 「泊まった」


 嘘はつかない。どうせ暴かれるのは時間の問題だ。


 「やっぱり?いいなー」


 詮索することはなくただ俺が泊まったことを羨ましがった。


 「楓華の家には私も泊まったことなくて、ってか泊まらせてくれなくてさ」


 理由はだいたい分かる。いくら掃除をしてくれる友達でも踏み場のない部屋に泊まらせるほど弓波も悪ではない。散らかった部屋に泊まってと言えるならその羞恥心のない気持ちを貰いたいものだ。


 「ってかなにげに来栖くんと初めて話すよね」


 「ああ、そうだな」


 「おとなしい人って思ってたけど意外とそうでもない?」


 「全然おとなしいぞ。少なくとも神山よりも」


 神山が弓波をおとなしいと判断するのなら俺も確定でおとなしい部類に入る。あまり弓波と俺に大差はないからな。


 「それはそうかもだけど、こうやって私たちと話せてるってことは来栖くんは初対面の人とも会話できるタイプなんだね」


 「どうだろうな。自分でもよく分からない」


 過去を振り返る。弓波と初めて話したときも倉木と話したときも変わらず俺はいつもの俺で話をしていた。そう、俺は自他共に認める陰キャなのだが別にコミュ障ではないのだ。


 ただ必要最低限のことしか話さないし、興味のないことや興味のない人のことについて話さないだけだ。つまりは人間関係がめんどくさい。


 「んーなんかツンツンしてる」


 「そうか?」


 俺の話し方が簡素で感情がこもってなさすぎることに頬を膨らませてツッコまれた。しかしわざとそうしてるわけではない。もともとの話し方がこれだから仕方ないのだ。人からどう思われようが関係ない俺は自分を偽るのが好きではないので変えようとも思わない。


 もしこの話し方を変えたほうがいいと提案をしてくる人がいるのなら俺はその人とはそれっきり関わることはないだろう。


 「私はツンツンしてる人嫌いじゃないから良いけどね」


 どうやら関わらなくなることはなさそうだ。


 「そうだ楓華、お茶お願いしてもいい?」


 「図々しい。別にいいけど」


 「ふぅー!ツンデレ。ありがと」


 弓波が冷蔵庫に向かうと同時に神山は動き出しソファに腰を下ろした。しかも俺の隣。何も知らない男子の隣にいきなり躊躇なく座ってくるとは……さすがは陽キャの頂点だ。


 これで自然と何かを話さないといけない空気が作られる。この場には俺と神山の2人だけ。普通に喋っていれば声が聞こえるか聞こえないかのところに弓波はいる。


 「ねえねえ、楓華のことどう思ってるの?」


 絶対に弓波には聞こえない声量で耳をくすぐられる。口と耳の距離はほんの少し。


 質問の内容についてはありふれたもので高校1年にふさわしいものだった。そりゃ同級生の男女が片方の家で泊まって疑わないわけがない。


 「それは弓波の何についてだ?」


 顔や体。勉強や運動といった、長けた部分を多く持つ弓波だからこそ何について答えればいいか迷う。いや、迷ったふりをする。ホントなら全てまとめて1分ぐらい話せるほどあるが、ここでそれをしてしまうときっと良くない方に話しが傾くのでやめておく。


 「弓波楓華の全部についてかな。最近関わり始めたんだと思うから恋愛とかはまだでしょ?だからそれ以外で。楓華のことどう思う?」


 答えることで俺にメリットは発生しない。だからといって答えを濁すのはさらにデメリットを作ってしまうのでここは素直に答える。


 「いい人だとは思う。それ以外は今のところ何もない」


 「いい人――か。楓華!来栖くんが楓華のこといい人だって!」


 「……はぁぁ」


 今度は確実に聞こえる声で俺の弓波の印象を伝えられた。これはバラされたと言うのが正解だな。しかし本人に知られても恥ずかしくもなにもないので別に構わない。


 それを聞いた弓波はというと、知ってる、という顔でこちらを見る。もう俺のことはなんでも見透かしているといったような顔をしていた。本当にそうなら怖すぎて逆に関わるのをやめるかもな。


 そんな弓波はまだコップを選んでいる。そして俺への質問も続く。


 「来栖くんの好きな人のタイプ教えてよ」


 「聞いてどうするんだ」


 バラされるかもしれない、と頭をよぎる。バラしの対象は弓波ではなくクラスメート。陽キャの神山なら有り得そうだ。


 「どうもしないよ。ただ私と楓華、対極の人気者のどっちにタイプがよってるか知りたいだけー」


 「あー、俺がよく笑う人とか可愛い人って言ったら神山、おとなしくて俺と気が合う人って言ったら弓波に近いからそれを知りたいってことか」


 「yes!」


 今自分で言って思ったが断然弓波派だ。しかし神山のことは無知。つまりは公平な判断はできない。


 「俺は昔から変わらず、顔が一目惚れするほどタイプで性格もこの人ならこの先も、って考えれる人がタイプだな。詳しくは分からない」


 申し訳ないが誰でもそうだろう。好きな人のタイプはと聞かれれば、気が合う人、優しくて気を配れる人とかいろいろ出てくるが、前提として自分にとって顔がタイプであることが入っている。


 男子なら妄想をしたとき、自分の性癖に合う女性を妄想しても自分が思うブサイクが出てくることはないのと同じ。女子なら妄想をしたとき、自分を取り合う男性を妄想してもブサイクが出てこないのと同じだ。


 「ってことは……私と楓華どっちがタイプに当てはまる?」


 神山には私か弓波かが大事らしく、俺のつまらない回答に変だとは言わなかった。

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