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まさかの訪問者②




 ピッと音を立てて向こうの人と繋がったことが知らされ、はい、と出てカメラに映る人を見て弓波が1言。


 「結奈じゃん」


 俺は、え?と口に出す。


 『やっほー楓華、暇だから遊びに来たよ!』


 向こうから聞こえる声が神山結奈だと気づくのに1秒もいらなかった。今の弓波とは真逆で元気。学校でよく聞くトーンだった。


 そんなことより俺は戸惑って仕方なかった。パニックというやつだ。俺が弓波の家にいることは最悪なんとか理由は作れるが、こんな朝早くにいることは説明できない。しかも1人でいるのだからなおさら。


 『入ってもいい?』


 俺と似たような気持ちだろう弓波は神山の入ってもいい発言の後すぐ俺を見てきた。とっさに俺は首を振るがそれが逆効果だと気づかなかったのはきっと焦っていたからだ。


 弓波はニヤッとして、いいよ、と承諾してしまった。弓波からすれば神山は友達なので俺との関係がバレてもそれをネタにいじることができると思ったのだろう。


 俺の心に余裕があれば……。


 後悔しても遅く。お邪魔しまーすとドアを開けて神山が入ってくる。俺はいろいろ諦めソファの背もたれに脱力感漂う姿勢でもたれかかる。


 「いやー今日も暑いね」


 「外出てないから分かんない」


 「君もそう思うでしょ?来栖くん」


 俺が部屋にいることに驚きもせず、逆に知っていたかのような素振りで話しかけてきた。なぜ?という疑問だけが頭の中で交差する。


 しかし何もかも諦めている俺はそれを表に出さず受け答えをする。


 「俺も弓波と同意見です」


 「ははっ、それもそっか!」


 あはははと笑う天使様は美少女という言葉が似合う顔だった。初めて会話をしたが誰にでも別け隔てなく接するタイプだと言われる理由をそれだけで理解できた。


 「ねぇねぇ、なんで来栖くんがここにいること私が聞かないと思う?」


 神山にとっても俺が驚かなかったことが不思議に思えたのだろう。目をキラキラさせて俺の回答を待つ。なにも面白い答えは出てこないんだけど。


 「知らない」


 「だよね。正解は私も知りませーん」


 予想外の答えだ。


 「……どういうこと?」


 「玄関に楓華の靴じゃない靴が置いてあったから誰かがいるんだと思っては来たけど、まさか来栖くんなんて思わなかった。だから誰がいても知ってます感を出したかったの!」


 両手を腰にあて、自慢気に胸を張る。今にも鼻からフンフンと白い鼻息が出てきそうなぐらいに自慢気だ。


 まぁつまりは驚かせたかったということか。


 初めて関わる人かもしれないのによくその調子でいられるものだ。好奇心旺盛とはいい性格だな。


 「それでどうだった?来栖湊がいて」


 「なかなか興味深いですねぇ。接点なさそうに思える2人なので」


 「だろうな」


 「しゃ次は結奈が当ててみなよ。私と来栖くんがどんな関係なのかを」


 弓波は俺と話すときよりさらに砕けた喋り方だった。学校で丁寧な言葉遣いで取り巻きを統一する弓波と俺と関わる弓波では言葉遣いに差があった。しかしそれをも上回るほど、今まで聞いたことのない喋り方だ。


 「んー恋人とかでは絶対ないでしょ?それなら……分かんない」


 確かに絶対と言えるほど恋人同士ではない。その可能性もないのだがなぜかそう思われてることが悔しく感じた。しかしそれを見透かしたかのように神山が口を開く。


 「ちなみに恋人じゃないと思ったのは楓華が恋愛なんてできないと思ったから、だからね?ここに来栖くんがいるなら楓華のこと知ってると思うけど、掃除できないしめんどくさがりで、性格だけじゃ彼女にしたいと思わないランキング1位だよ」


 てっきり俺が弓波と釣り合わないからと思っていたがそうではなかったらしい。フォローしてくれたかは分からないが少しはよく思えた。でも自分では釣り合わない、そう思っている。そう思わない男子は慢心してる人かホントに釣り合うひとぐらい。つまり四つ葉のクローバーほどしか見つからない。


 俺は弓波の彼氏としていられるほど手札がない。


 「顔でどうにかなってるって遠回しに言うな。結奈だって似たような性格のくせに天使とか……ホントの結奈を知ってる私からしたら笑えるわ」


 「楓華より全然ましでーす。女神のくせにこんな性格だったら私は恥ずかしすぎて毎日顔真っ赤っ赤だよ」


 「……相変わらずね」


 「楓華こそ」


 一段落ついたようだ。仲の良さが分かるのは言うまでもなく、2人ともいろいろ言ったあと同時に笑い出した。女神と天使、最高のコンビだ。見てるだけで得した気分になる。


 「ちなみにさっきの正解は師匠と弟子よ」


 「師匠と弟子?」


 「私が弟子で来栖くんが師匠」


 「あーそういうこと?やけに部屋がキレイだと思った」


 部屋の散らかりにうっすら気づいていたようだが、2週間に1回呼び出されるほど掃除をしないといけない部屋を作る友達の部屋に入ったとき、キレイだと驚かなかったのはすごいと思う。


 俺なら弓波の部屋が汚いことが当たり前って思って、久しぶりに部屋に来たらなぜかキレイになってると、部屋を間違えたかと疑うぞ。


 「ふーん、来栖くんは掃除が得意なんだ」


 「まぁな」


 「これじゃ私の役目は終了かな?」


 「そうなるけど、どうせ毎週のように家に来るんでしょ?」


 「that's right!」


 英語の授業で発音を頼まれたのなら100点満点の発音と元気だった。先生に褒めちぎられる未来が見える。秀才美少女おそるべし。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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