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まさかの訪問者①




 寝ぼけ眼をこすりながら翌日の朝を迎える。普段スマホの目覚ましで起床するが今日はその音楽が鳴る前に自然と体を起こしていた。もちろん平日と休日の起床時間は違う。


 どこでも好きなタイミングで寝れる体質の人間ではなく、どちらかといえば繊細で、場所が変わったり枕が変わったりするだけで落ち着かないタイプなのでいつもの休日より早起きしてしまった。


 少なからず弓波の家で眠るという意識があったことも関わっていると思うが。


 脳が覚醒し始めたころ、弓波の姿がリビングにないことを確認する。きっと寝ているだろうから起きてくるのを待つ。とはいえ平日では弓波も起きている時間の8時00分。やはり休日は弓波でさえもだらけてしまうのだと人間味を知る。


 「何するかな」


 背伸びをして1日スタートのスイッチを押す。切り替わる実感はないがこれをやらないとそもそもやる気が起きてこないので毎日やっている。


 朝ごはんはパン一枚派、つまり少食なので食パンがなければ朝は飲み物やヨーグルトなんて簡単なもので済ませる。昼も夜もそんなに食べない。食費がかからないので少食というものには感謝したいな。


 自分の家ではないので勝手に冷蔵庫を開けることもキッチンの中を細かく見て回ることもしない。でも何時に起きてくるか分からない弓波をずっと待ち続けるのも嫌なので、近くのコンビニに行くことにする。


 しかし外に出るのなら鍵をかけなければいけないが俺は鍵がどこにあるか知らないので出ていくこともできなくなった。


 「はぁ、どうしようか」


 幸いお腹は空いていない。ただ1日元気でいるためには朝に摂るエネルギーが大切になるので個人的にはとても大切にしていることだ。それができないとなれば今日は弓波のようにだらけた来栖湊の出来上がり。


 結局、休日で掃除をしに行くわけじゃないから別にいいか、と結局諦める選択肢を選ばざるを得なかった。いやそもそも選択肢は1つだけだったな。


 ――朝陽も十分に浴びた頃俺はテレビをつけて横になったままあくびをしながら朝の番組、ニュースを見ていた。得することは何もなく、ただ暇な休日の朝といったところか。


 このまま瞼を閉じれば再び寝ることができるかもしれない。そう思えるほどあくびが止まらずおじさんになっていた俺にやっと光が灯された。そう主が起きてきたのだ。


 扉の先から出てきたのはフワァっとあくびをしながら俺が使うはずだった掛け布団に包まったスボラ女神。全然眠そうだ。


 「おっそ。いつまで寝てるんだよ」


 「……休日なんて今ぐらいに起きるのが普通よ。来栖くんが早いだけ」


 自分の部屋の前で立ったままあくびを2度繰り返しソファにやってきた。俺もそのまま体を起こす。1度目の起床のように体が重かった。


 「何か食べる?」


 ついて早々何も食べてないことを知っているかのように聞いてきた。その通り何も食べていないんだが。


 「弓波が食べるなら俺も同じのを、食べないなら俺も食べない」


 「そう、ならヨーグルトで」


 「了解です。ありがと」


 朝ごはんをガツガツ食べる人は部活をやっている人ぐらいだろう。弓波のように無所属の人は予定がなければ力をつける必要がないのでパン1つかヨーグルト1つで十分だ。


 冷蔵庫に向かうため掛け布団をソファに置く。その際にチラッと見えたはだけた胸元が俺の視線を奪う。大きすぎず小さすぎずの胸を持つ弓波は実に完璧だった。


 性格を知らなければ何も言うことのない美人だったんだけどな。


 スクールカースト底辺で冴えない俺は人の容姿や性格についてどうこう文句の言える立場ではない。同じ立場だとしても文句なんて言っていいものではないのに。それを分かっていても言ってしまうのは俺の良くないところだと改めて認識させられる。


 申し訳ない。


 ――そして俺が考え事をしていた間に冷蔵庫についた弓波がふと気づいたように問う。


 「昨日は映画を見たわよね?その後私はどうなったの?」


 「ん?映画見ながらいつの間にか夢の中に行ってたぞ」


 「そう……でも部屋にいたってことは……そういうこと?」


 掛け布団とホラー映画を見たあとの記憶がないことからしっかりと推測できたようだ。


 「俺はバカだから弓波のそういうことが事実を言っているのか分からないが、弓波が自分の部屋にいたのは俺が運んだからだぞ」


 「合ってるわ。――私はそのまま寝てしまったのね」


 「何もしてないから安心してくれ。部屋に勝手に入ったのは申し訳ないと思うがソファで寝るより自分の部屋のベットで寝るほうがいいと思った俺の優しさに免じて許してくれると助かる」


 この先どうせ謝られるだろうからそれを先に阻止する。


 「いえ、私の部屋に入るのは全然問題ないわ。気にしてるのは来栖くんの掛け布団を使ったまま寝てしまったことよ」


 「あーそっちも大丈夫だぞ。ほら今めちゃくちゃ元気だし」


 ヨーグルトを2つ手にして帰ってくる弓波に腕を回すことで証明をする。まるで腕白小僧のように。


 「……次は気をつけるわ。掛け布団ありがとう」


 「いえいえ」


 ホントは謝らないと気がすまないだろうが、謝られるより感謝される方がいいと言われる通り、俺もそうだ。それに弓波なら謝らないといけないことをしたってずっと申し訳ないって根に持ちそうだからそれは俺としても願ってはいない。


 「ヨーグルト、ありがと」


 ソファに座ったまま左に弓波が座ると同時に蓋を開ける。パクパク食べ進めてあっという間に食べ終わった。これで最低限の満足は得られた。


 時計を見ると10時00分前。その時、ピンポンと誰かが訪問して来たことが知らされた。ネットで何か買ったり親からの仕送りだったり、贈り物が届けられるのか分からないがとにかく俺には関係ないことなので弓波に対応を任せた。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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