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女神とお泊り⑥




 「ホントは……はぁ、自分でやったのよ」


 「自分でやった?」


 答えを教えてくれた弓波は観念したように予想の斜め上を行く答えを教えてくれた。


 「それってどういう――」


 「皆まで言わないとだめなの?」


 もぞもぞし始めた。トイレに行きたいのだろうか、それならば早く行ってほしいが。まぁそんなことではないと分かっている。ただワンチャンあるかなと思っただけだ。


 「バカの俺には全く分からん。自分で自分の家に空き巣犯のようなことをする理由を教えてほしいんだが」


 「……考えて分かるでしょ。普通に考えて1日2日であそこまで散らかせる人が存在すると思う?」


 うん、普通にありそう。というのが俺の思いだ。だってその有様しか見てないのに違うことを思えるほうがすごい。しかしここは建前を。


 「まぁいないだろうなー」


 「でしょ?……分かった?」


 「いいや、ぜーんぜん分からないけど」


 あくまでも自分からは言いたくないようで、俺が察するのを待っているみたいだ。でも残念なことに俺は都合いい頭を持ち合わせていない。


 「……私の素を知ってるのは結奈と来栖くんだけよ。これで分かったでしょ?」


 弓波が先程より顔が赤く、モジモジも強化されていたとき俺の頭はピンときた。


 「数少ない友達ができてそんな友達に会いたかったから、わざと散らかしていたってことか?」


 「……そ、そういうこと、じゃないかしら」


 曖昧な返事だが、正解だ。


 正解だと分かったときの俺の心の中はパニックになっていた。だってめちゃくちゃ可愛いじゃないか、モジモジ照れる弓波も友達と関わるために一生懸命なとこも。やばすぎる、これは心臓に悪すぎるな……。


 あまり表には出さない弓波の感情も、今では喜怒哀楽全てを見れそうだ。それくらい弓波の中身に触れている気がする。


 火照った頬は風呂上がりだからそう見えるわけではない。明らかに頬を中心に顔が赤く耳も赤い。今ならよく弓波を見ても不審がられないので満足するまで見る。


 これは後々いじりの材料として糧となるだろう。


 「なるほどな。それなら安心した」


 まぁそうだよな、どれだけ行き過ぎた人でもさすがに毎日散らかしてたらたまったものじゃないからな。生きていけないだろ。


 「それで、そんな可愛い理由を何で今打ち明けようと思ったんだよ」


 「隠し通せると思ってなかったからよ。バレるのは時間の問題だったし、友達に嘘を付き続けるのは良くないでしょ……」


 「嫌われると思ってたのか。俺は別にそんな思わないけどな」


 人間関係は脆いと言ったがそれは上辺だけなら。一対一の関わりを持ち続ければそれだけ強固なものになり、自然とこれから先良好な関係を築いていけるか知れる。


 自分に合わないタイプなんてこの世に数多いる。だから合わないと思ったなら切り捨てればいい。自分が心から一緒にいられる友達を作ればいいだけだ。


 俺はそういうことで倉木だけしか友達はいない。


 「私はまだ来栖くんのこと知らないからそんなことも分からないのよ」


 「それもそうだな。じゃこれからってことか?」


 「来栖くんが私と友達に()()()()()()それもありね」


 上からくるのは変わらないみたいだ。


 「俺は弓波と友達じゃなくても困らないから遠慮しようかなー」


 「……嘘、嘘よ。ちょっと上から言ってみたかっただけじゃない……」


 めちゃくちゃ楽しいな。自分で自分の首を締めている弓波だが、それをいじれることは最高の報酬なのでそのままでいてもらいたい。


 「俺も冗談、からかってみたかっただけ。そんな本気で落ち込むなよ」


 「からかうなんて最低」


 「少し前の自分に刺さってるぞ?」


 「……うるさい」


 弓波はポンコツだった。学校で気を張ってるからこそ家では燃料切れを起こすというのも新たな発見だ。


 「弓波がわざと散らかしていたってのは分かったとして気になるのはわざとじゃないとどれだけ散らかしていたのかってことだけど、そこはどれくらいか自分で分かるか?」


 「整理整頓ができないのはもちろん、結奈が2週間に1回家に来て掃除をしてくれないと何もできないぐらいね」


 「結局重症ですね」


 やはり強敵だった。いやラスボスぐらいあるな。神山、よく掃除をしてあげてるな、俺からも感謝するぞ。


 「でも神山がいるなら俺はそこまで必要なさそうだから良かった」


 あの完璧天使がいるのなら何も問題はない。欠点はないと聞くし、あったとしても些細なことで、絶対、絶対弓波よりマシな欠点だろう。


 「そうだけど、これから関わることはなくなるってことはない?」


 これが上目遣いという必殺技だな。177cmの俺に160cmほどの弓波がくり出す必殺技は効果抜群だった。


 心臓がキュッとなり、冷や汗のような夏にかく汗がじわじわ出てきそうなとこまでくるのが分かる。


 「それはないけど、でも0に等しいみたいなものだと思うぞ。学校でも関わらないし家でも会わないだろうし」


 残念なことにこれが現実だ。俺が陽キャなら学校では関わりまくれていたんだけどな。でも陽キャなら今こんなことにはなってないだろうから結局現実は悲しいということだ。


 「まぁ神山が忙しかったり、何か俺が必要なときがあったら呼んでくれ、多分行くから」


 言い切れないのは俺にも何が起こるかわからないから。もし呼んだとき俺が他の人の家に掃除をしに行ってたならその時は無理だ。


 「分かった。散らかして無理にでも呼ぶわ」


 「んーまぁなんとかできる範囲で散らかすなら行きます」


 それなら普通に遊ぶかなんかで誘ってほしいと思うが、何をすればいいか弓波も思いつかないのだろう。俺も掃除がなければ何をこの時間にすればいいか分からないし。


 なんだかんだこれから先、弓波とは関わっていきそうな感じがする。それもいい意味で。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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