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女神とお泊り①




 週末、手には1日分の着替えを持ち弓波の家に向かった。その途中俺はいろいろとやらかしてしまったと後悔をしていた。


 なぜなら今から俺はあの弓波の家に1人で泊まりに行くというのだからだ。男友達と泊まったことすらない俺はいきなり女子、そして学年で超絶人気の人の家に泊まるなんてハードルが高すぎる。


 あのときは何も考えずただ今の状況よりマシになればと思って言った言葉がこんなにも下心を含んでいる言葉に変換できることに更に追い込まれる。


 でもこれは俺だけが悪いわけでもないと思う。弓波だってそういうことは少なからず頭に浮かんだはずだ、その上で驚きもせずすんなり受け入れたのには俺が驚くが、何かあれば同罪だ。


 たとえ何かがあったとしてもそれがマイナスな方に向かなければそれだけで救われる。だから俺はこの土日、何が何でも弓波の整理整頓能力を磨くことに全集中して全力で取り組もう。


 そう決意した俺は弓波家のインターホンを押す。しばらくしてどうぞと1言返され、俺はドアを開けて入る。インターホンが切れる寸前に聞こえた物音は聞かなかったことにする。それでもその1分後には物音の原因を目にすることなので意味はないが。


 「お邪魔します」


 「遅かったじゃない」


 「まぁいろいろ考え事しながらしたからな。それより――見慣れるとそこまで驚かなくなるな」


 「1種の芸術よ、優柔不断じゃなければこうはならないのに」


 「優柔不断なのも関わってるが、こうなってるのはどう考えても弓波がめんどくさがってるからだぞ」


 決められず迷うのは誰にだってあることだろうからそこは悪いと思わないし実際原因ではない。しかし誰にだってあることでも悪いと思うのは自分でやったことをめんどくさがって放置することだ。


 見たところ俺が来そうな時間になって慌てて動き始めたところだろう。畳もうとした跡がちらほら見える。


 「頑張ったけどできませんでしたって言いたそうだが?」


 「やろうとしたことは褒めてもらいたいわ。それに少し成長したと思わない?」


 「弓波が頑張った証拠が俺の目には見えてないんだが」


 弓波の言う頑張ったの基準は俺の頑張ったの基準の下の下だ。確かに片付けようとしたのは伝わるがおそらくそれは全体の1割にも満たないレベルだろう。


 こうなるなら服を減らせばいいものを……。


 「とりあえず片付け頑張って。俺は座って片付けを()()()弓波を眺めとくから」


 「何を言っているの?来栖くんが手伝ってくれないなら泊まりに来たことをクラス中にばらまくわ」


 「……そうすれば弓波の評価も下がるぞ」


 「下がらないわ。すべて来栖くんの批判にいくから私にデメリットはない。逆に何もされなかった?とか聞かれて保護されるもの」


 「……そのためにすんなり許可を…………」


 弓波はうまいことその場を切り抜ける術を常に考えているのだろうか。今回に関してはやられたな。弓波が考えなしに俺が泊まることを許可するわけないもんな。


 俺の評価は他のクラスメイトからすれば無いようなものなので気にしてはいない。気にしているのは弓波と俺が関わっていることと趣味が掃除であるということがバレること。


 1人の時間が減るのは避けたいしめんどくさいのも避けたい。


 「どれだけやればいいですか?」


 「半分半分でどう?」


 「かしこまりました女神様。仰せのままに」


 棒読みだ。感情なんてこもってないのは当たり前、やらなくていいことを無理にやらされるのだから。


 これが趣味ではなければ何回弓波と喧嘩をすることか。毎回駄々をこねられたらこれを考えているが弓波と喧嘩なんてやりたくない。やってはいけない。


 「なんでそんな偉そうに俺に整理整頓手伝えって言えるんだよ」


 暇になれば口を動かす。


 「来栖くんはいじられるタイプだと思うからよ。実際私から偉そうに言われても嫌な思いはしてないでしょ?」


 俺のことを知っているかのように話すがしっかりとその通りだった。


 「なによりこれが私の素だし、学校での鬱憤みたいなのを晴らせるのは家だけで、そこにたまたま来栖くんがいたってだけ」


 「ふーん、ドSの女神様ですか。俺はそんな女神様苦手なのでこれからは神山か他の人で爆発させてくれると嬉しいですねー」


 「友達が減るわ」


 「俺を都合のいいサンドバッグって思ってるだろ」


 「よくそんな変な言葉が作れるわね、まぁその通りだけど」


 否定をしないのは俺が怒りも嫌な思いもしないと確信しているからだろうか。なぜこのことといい甘いものといい俺のことを知っているのか、めちゃくちゃ気になるがめんどくさいので聞くことは諦める。


 ただ少し怖いな。倉木が伝えることはないだろうからどこからの情報源なのだろう。よく陽キャの中には必ず1人はいると言われる人間関係に詳しいやつの可能性もあるな。


 「俺が弓波の私物を触ることには抵抗ないんだな」


 「抵抗したら私は誰に手伝ってもらえばいいのよ」


 「誰か雇えば?友達とかに頼めばすぐ駆けつけて、弓波さんのためならなんでもするよ!って言ってくれるだろ」


 「嫌よ、バレるじゃない。それに下心丸見えの男子とか都合のいいように使う女子は家に入れたくないわ」


 「なんだって?都合のいいように使う女子?今俺の目の前にいる人は違うのか?」


 「……誰のことを言っているのかしら。喋る暇あるなら早く手を動かしてよ」


 弓波は面白い。賢い割にブーメランを投げるし、知らないふりをするしでギャップがあるというかなんというか、さすがは人気者って感じだ。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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