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百一話 アカツキの古ダヌキ・四

 部屋へと呼びつけた職員に、タキが二言三言と指示を出すと、それから本当にすぐに会う準備がされたようだった。

 

 その手際の良さにはヴァルアスも感嘆よりも全ては予定通りかと疑う気持ちがあったものの、サラサに会うと決めた以上は口に出しても仕方がない。

 

 そうしてむすりと押し黙ったまま、ヴァルアスは庁舎から出て、キキョウの中心部近くにある邸宅へと案内されていた。

 

 隣に建っている非常に広い面積の館はレンジョウイン家のものであろうが、案内されたここは他と比べてやや大きい程度の一般家屋だ。

 

 だが街と国の中枢を掌握する一族の邸宅がすぐ隣にあるこの家が、普通のものであるはずもなかった。

 

 つまりはこれが、タキの孫であるサラサに用意された部屋ならぬ家ということなのだろう。

 

 わざわざ建物を分けていることの理由については、ヴァルアスには想像もつかなかったが。

 

 そしてここまで案内してきた職員は、庁舎の応接室へと向かった時と同じく「それでは」と言い残してあっさりと去っていった。

 

 場所が部屋であり、相手が一応は知人であった先ほどと違い、今度は家で初対面だ。

 

 さすがのヴァルアスもどうしたらよいかと途方に暮れて立ち尽くしていた。

 

 「入らないのですか?」

 

 見かねたのかリーフがヴァルアスの肩に端末体の姿で現れる。

 

 「……いや、入るが……」

 

 歯切れ悪く答えるヴァルアスがなおも動きあぐねていると、助けとなる気配が建物内でした。

 

 「お……?」

 「どなたか出て来るようですね」

 

 今ヴァルアスが立っているのは庭の周囲をぐるりと囲う塀に設えられた門のさらに外だ。

 

 そのために建物自体の扉までは多少の距離があったが、そのすぐ内側まで誰かが来たことで、ヴァルアスとリーフも気付いたのだった。

 

 カララ……

 

 庁舎とは違いこの地方の伝統的な建築様式である引き戸が、静かな音を伴って横へ滑って開く。

 

 「えと……ヴァルアスさん……で、合ってるやろうか?」

 

 ヴァルアスの記憶にある数十年前のタキによく似た外見をした黒髪の少女は、タキとは違う大人しい声音でおずおずと声を掛けてきたのだった。

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