表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/33

帰路

帰り道、皆の言葉は少なかった。全ての仕事を無事終えることが出来慣れ親しんだ家へと帰れるはずなのに心の何処かで恋いしんでいた。

マンゾウは先程から足を止め来た道を振り返っている。すでに彼等がいた小屋は見えなくなっていたが先程から繰り返し足を止めていた。


コウシロウはさっきから泣きじゃくっている。隣でアインが慰めていたが彼も少し目が潤んでいるようだった。

帰りはあっという間に2つのエリアを隔てる壁へと到着した。



ギラン「それじゃあ、お前らここでお別れだ。また、機会があれば宜しく頼むな」

ギランはそう言うとすぐに来た道へと引き返した。俺達はその場から動かず彼の後ろ姿を見ていたが門番らしき男からさっさと行けと怒鳴られると急いで南エリアから戻るのだった。





マンゾウ「戻ってきたな・・・」

一仕事終えた後だからか各々疲れもありすぐにそこで解散とした。

マンゾウ「んじゃあな。またな。」

マンゾウが一人歩き出すと後を追うようにコウシロウもついて行く。


アイン「僕もこっちだから・・・」


片道二時間は歩いたのだ。それも、何日も働いた後だ。疲れているのだろう。アインは大きな荷物を背負いながら歩いてゆく。



エリーゼ「それじゃあ、ユウキ私達も帰ろ。途中まで一緒に行こ。」


ユウキはエリーゼに促されると家路に向かう。

エリーゼも男達ほどではないが沢山荷物を抱えていた。帰りがけにモハメッド達から貰った小魚の干物や海藻、塩なんかを背負っている。

ユウキも同じように荷物を背負っているが、実はその10倍はアイテムボックスに収納されていた。

皆の手前、自分だけ手ぶらというわけにもいかず同じ荷物を背負っていたがガチャのスキルアップによりそれほど疲れは感じていなかった。



ユウキ「エリーゼ、重たければ俺が持とうか???」

ユウキは一生懸命に背負っているエリーゼを気遣う。


エリーゼ「平気!平気!これくらい。ユウキだって沢山荷物背負ってるじゃない。自分の分は自分で持たなくちゃね。」

エリーゼの言葉に少し後ろめたさを感じるユウキであった。






~翌日~


朝、目覚めると見慣れた天井が目に入る。

ボロボロの屋根だが紛れもなく自分の家の天井だった。

スキルのお陰でそれほど疲れてはいないと思っていたが昨日は自分の家に着いて一休みしていたらいつの間にか寝てしまっていた・・・。自分でも気付かなかったがそれなりに疲労があったのだろう。

ユウキはとりあえずアイテムボックスの中身を確認してみる。



ユウキ「まずは持ち物の確認をっと。」


【異空間収納】

・鍋

・フライパン

・工具箱(工具一式入り)

・道具袋

・鎌(小)

・スコップ(小)

・石(小)×9

・石(中)×6

・石(大)×6

・薪   ×2

・火打石

・袋(枯葉入り)


『植物』

・ヨモギ 

・ゼンマイ×2

・タラの芽×1

・チチタケ×1

・ムカゴ ×30


『魚介類』

・コンブ×28

・ワカメ×20

・アオサ×15

・アサリ×35

・ハマグリ×8

・ウニ×9

・ホッキ×10

・サザエ×2

・アワビ×1

・ツブ貝×2

・カメノテ×12

・スガイ×8

・イワシ×92

・メッキ×90

・セイゴ×10

・ヘダイ×2

・アジ×7

・ヒラメ×1

・カレイ×3

・アナゴ×11

・タコ×4


『調味料』

・塩(壺入り)×7

・魚醤瓶(未完成) ×9




ユウキ「おっ、更に見やすくなってる。」


スキル『整理整頓』のお陰か・・・???

 帰る時にモハメッドから貰った魚介も合わせると結構な量になった。折りをみて市場に持っていってみてもいいな。

そういえば、異空間収納の中では時間が止まっていた。それに気付いたのは入れていた魚醤が全然発酵していないことに気付いたときだ。今思えば、初期に入れた山菜が全然劣化していない時点で分かりそうなもんだが。なので、魚醤は異空間収納から取り出し小屋中の風通しのよいところに置いておく。しばらく異空間収納を眺めていたがユウキの腹が大きく唸った。


「グーーーーーーーーー」


(昨日、家に戻って来てから今まで半日以上寝ていたんだ。何か朝食でも作るか・・・)


ユウキは異空間収納からコンブとあおさ、アサリを出し鍋に入れる。そこに先程の未完成の魚醤を少し入れる。そのまま家の隅にあるかめから水を柄杓ですくう。

(1週間放置しっぱなしだったけど虫は湧いてないし濁ってもいないな。まあ、火は通すし大丈夫か・・・)

前世の記憶があると、こういった生水は衛生的に大変危険だと感じる。よく今まで俺は無事だったなと思う事がたくさんあるのだ。

ユウキは竈と呼ぶにはあまりにも簡易的であり、みすぼらしい場所に鍋を設置し枯れ葉と小枝で火口を組みそこに火打石で火をつける。ボロ布をほぐした物に火を着けるのだがこれがなかなか上手くいかない。

(ライターがあればこんなの1発なのにな・・・・)

ユウキは苦虫を潰したような表情で感情を込め火打石を打ちつけた。



やっと火がつきユウキはひと休みする。

(これで良し、煮えるまでしばらくこのままにしておこう。今のうちに・・・と。)


ユウキ「ガチャ!!」

昨日は疲れてしまって回せなかったガチャを回しておく。


【R MP+3・・・・少し魔力が上がる】


(おっ!!!これは!)


ユウキは最近のバタバタですっかり忘れていたが、この前の浜辺の一件で魔法が使える事を思い出した。あの時は咄嗟の事であり『ゾンビ』という得体のしれない存在に動揺していたが間違いなく魔法は使えてた。ユウキはその事を思い出すと不意に思いもしない幸福感に襲われ、急いで小屋の裏手に走り出す。

家の裏手には出発前に植えていた山菜等が生い茂っていた。中には成長が激しく食べるには適さないであろう大きさの物も数多く見られた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ