誘い
すみません。長らく更新できませんでした。久しぶりに更新致します。
ユウキ達は無事、エリーゼ達の元へ合流出来た。
すでに陽は落ち、この辺りは松明の炎無しでは足元さえ分からない程の暗闇であった。
月の光は森の木々に吸い込まれユウキ達に届くことはなかった。
合流後、案の定ユウキはエリーゼに泣きながらこっぴどく叱られていたが一刻も早く出発したいとモハメッドに促され渋々移動を始めた。
それから帰りの道中シャチとマンゾウにゾンビの事を色々聞かれた。
簡単な質問には答えつつも自分の能力については隠すのに所々返事に困った。
8人は無事、小屋へと戻ってきた。本当ならこの時間夕食を摂るのだが流石に皆疲れておりこの日は全員すぐに寝ることになった。こうして子供達の大冒険の日は幕を閉じた。
次の日ユウキ達は塩づくりのノルマを終わらせると昨日獲ってきた魚の処理を行う事にした。
モハメッドのやり方を最初のうちは見ていたユウキだったが、ただ魚を吊るして干すだけだったのでユウキは正しい干物の作り方を1からレクチャーした。
まず、鱗を取り内臓をとり・・・・・冷たい海水に更に塩を入れ一晩浸し・・・・・ETC
この時には誰もがユウキのやり方に文句も言わずすぎに従った。シャチなんかはこれで合っているのかと何回もユウキに確認しにきていた。
同時に今日の昼ごはんづくりも行う。ユウキの鑑定の能力で寄生虫の確認をしながらいくつかの魚は生のままミンチにした。
それを団子状に丸める。つみれの出来上がり。若干歯ごたえは無いが100割の魚で出来たつみれはうま味が濃い出来上がりだ。
ユウキの特製キノコスープにこのつみれを投入すれば・・・・・
完ぺきな鍋にまた一歩近づいた。
マンゾウ「うめー!!こんな食べ物はじめてだ!!」
シャチ「本当だ!!すげーよ!!」
モハメッド「本当に!!こんなに美味しくて、あったかくて!!」
皆、各々ユウキに賛辞と料理の感想を贈ってくれる。
サチも器を一生懸命冷ましながら食べていた。
午後も順調にノルマをこなす。空いた時間で皆は引き続き捕った魚の処理を行った。
ユウキは1人別に魚醤の作成に取り掛かった。うる覚えだったが小魚を中心に瓶詰めしモハメッドに貰った塩を使い10個ほど作り終えられた。
シャチ「もうそれ食えるのか?」
ユウキ「いや、これはもう少し放っておかないとダメだし、食べるもんじゃないんだ。」
シャチ「えっ!?食べれないのに魚つかったのかよ!!」
ユウキ「うーん、今作っているのは塩に代わる調味料なんだ。本当は実際に使ってみてもらうとわかるんだけどな・・・・まあ、出来てからのお楽しみってことで。」
シャチ「まあ、ユウキが言うなら間違いないんだろうな。」
一瞬疑ったシャチも今やすぐにユウキの言葉に納得していた。
その日の夕食は昨日干した魚を皆で焼いて食べた。
ユウキの指示で中型の魚は血抜きの処理をしていたこと。
鱗と内臓をきちんと取り干していたこともあり、とても美味しかった。
皆が寝付いたころユウキだけが様子を伺いながら小屋の外に抜け出す。
相変わらず天気は良く満点の星空だった。こちら側に来てからずーとこんな天気だ。
小屋の裏手にまわると数日前にスキルで植えたムカゴが更に倍ぐらいに増えていた。
ユウキ(いやー、改めて俺のスキルは隠しておかないとな・・・。)
普通に考えればこんな子供が大きな力を持っているとは思われないだろうが、何がきっかけになるかわかったもんじゃない。前世の時だってそうだ。単なる塾講師だった俺が芸能人扱いされ大変な大騒ぎになった事があったんだ。
ユウキ(あの時は家族でどこに行っても騒がれてしまって、ろくに子供たちを遊園地や動物園なんかに連れていけなかったな・・・・・。あの時はあいつらに申し訳ないことしたっけ。)
ユウキは改めて慎重に行動しなければならないなと考えた。
その決意が意味がないことを本人は知らないでいたが・・・・・
ユウキ「ガチャ!!!」
この日のガチャの結果 【C 力+2・・・・ほんの少し強くなる】
次の日も順調に塩の作成と魚の処理を終える。
食事もユウキが作った物はとても美味しく手持ちの山草やキノコもふんだんに振舞った。
全員夕食を食べ終え、一息つく。
マンゾウとシャチは腕相撲をしている。隣にはアインとコウシロウが2人を応援していた。
サチとエリーゼは休みの日に出かけた先でエリーゼがサチに作ってあげた草の冠を付けたり外したりして笑っている。
今、ここだけはユウキが知っている前世と変わりない平和で穏やかな時が流れていた。
ふいに気付くとモハメッドがすでにユウキの隣に座る直前だった。
モハメッド「ユウキ君、この前話した返事を聞かせてくれないか??」
ユウキ「返事って??」
モハメッド「ここで、俺達と暮らさないかって提案さ!!!」
モハメッドの声に他の皆も自分の手を止めこちらを見つめる。




