仲間
これも食用。これも大丈夫。おっと、これは食用不可と。
ユウキは鑑定のスキルを使って選別をしていた。
生前の知識で多少なりとも魚の知識はあったものの流石に見たことのない魚や姿がそっくりな魚がおり、だったら鑑定で見た方が早くねっ!?ってことで現在フル稼働中である。
食用可。食用可。食用可。食用不可。食用可。食用一部可。食用可。食用一部不可。
怪しいのは全部除外している。
とりあえず、ユウキが選別したのをモハメッドとシャチが言われた通り手際よく処理する。
これもユウキからの提案で、程よい大きさの魚は血抜きすることを教えた。
これにはすんなりとシャチも従ってくれた。
処理が終わったのを3人がバケツに入れる。あっという間に持ってきたバケツは魚でいっぱいになっていまった。それでも入りきらない魚達がわんさかと残っている。
ユウキは漂着物や過去の廃棄物で使える物がないか周りを見渡す。浜辺にはゴミなどは一切なく貝殻が綺麗に光っていた。
壁にはツタや一部に苔が生えていたが大きな樹木はなかった。
ユウキ「モハメッド!マンゾウ!ちょっと、手伝ってくれ!」
ユウキに呼ばれモハメッドとマンゾウが寄ってくる。
ユウキ達は壁まで移動するとユウキはおもむろにツタをはがし始めた。
なるべく途中で切らないように慎重に、されど余計な部分はそぎ落とし使いやすい形にする。
それを見てモハメッドとマンゾウも壁からツタを剥がす。
すぐに結構な長さのツタがとれた。
この束を持ち先程とれた魚のところへと戻る。
ユウキ「せっかくだからこの魚で干物を作ろうと思うんだけど。」
シャチ「ひもの??そいつはなんだ?」
ユウキ「簡単に言うと魚の保存食かな」
モハメッド「この魚が保存できるのかい?普通、どんなに遅くても3日以内には食べなければ腐ってしまう魚を????」
ユウキ「うん。本当はじっくりとりかかりたいところだけど時間がないからさっと終わらせよう。まずはこのツタにさっき内臓を処理した魚をこういうふうに開いて刺す、ここで上からまんべんなく海水を降りそそぎあとは、太陽と風に当てれば終了!」
さっそく皆も程よい魚を探し言われた通りの作業をする。
ユウキ「コウシロウ!その魚は小さいからもう少し大きな魚にして!」
ユウキ「シャチ!海水は何回もかけなくて大丈夫。しっかり乾くまで放っておいて大丈夫だから。」
時折、ユウキは皆の作業に口を出したが2時間ほどですべての作業が終わった。
網の中にはそれでも魚が残っていた。
モハメッド「もったいないけれどこの魚はここに捨てていこう。それでも十分すぎるくらい捕れたからね。」
・バケツに3杯 満タンに小魚を中心に。
・干物 程よいサイズの魚を50匹ほどツタに通して
俺達6人で持って帰れる限界だ。
モハメッド「よし、それじゃあ皆、サチとエリーゼちゃんの所へ戻ろう!!」
一同は満面の笑顔で帰路についた。
ユウキはシャチとモハメッドと一緒に干物のツタを持ち1つも落とさないように運ぶ。
慎重に来た壁を登る。すでに上ではマンゾウ達が昇っており干物を先に受け渡す。
そんな時、ふいにシャチがユウキに向かって呟いた。
シャチ「ユウキ、今まで悪かったな。 おめーが何者だろうと、もうどうでもいーや。今日はお前のおかげで大漁だったし・・・・。それに親父が昔言ってたんだよ。1度同じ漁を共にした奴は【仲間】だってな。おめーは俺達の仲間だよ。」
シャチの突然の言葉にユウキはびっくりし、何も言い返せずにいた。
モハメッド「シャチが僕達以外で仲間だって認めたのはユウキ君が初めてですよ。今まで色々な人たちが手伝いに来たけど最後までろくに口もききませんもん。」
シャチ「へっ!今まで来た奴等なんか金さえ貰えればいいだけの奴等ばっからだったろ。仕事だって俺達におんぶにだっこでよ!どいつもこいつも使えねーやつらばっかりでよ。」
モハメッド「でも、ユウキ君は違かったと。」
シャチ「何、ニヤニヤしてんだよ。」
シャチはモハメッドの尻を照れ臭そうに蹴り上げた。
モハメッド「いててて・・・・。ちょっと、からかい過ぎましたかね。でも、ユウキ君のおかげでここ数日とても充実した日を送れてます。どうでしょう?僕たちと一緒にここで暮らしませんか?」
あまりにも突然の提案にユウキはとても驚き固まった。
漁編、何故か想定より長い話になってしまいました・・・・・。




