昔ながらの漁
ユウキ「ちょっと、提案があるんだけど・・・・・」
皆が再び釣りに行こうとしているところを呼び止める。
ユウキ「これを皆でためしてみないかい?」
ユウキは用意していた物を皆の前に出す。
モハメッド「この網で何をするんだい?」
モハメッド達は網を手に取り確認していた。
ユウキ「地引網って知っているか?」
どうやらこの様子ではわからないようだな。小屋の奥で見つけた大網、長年使われた形跡がなかった。
魚釣りでタモとしては使われたいたが大掛かりな網漁のやり方は知らないと見ていたが予想どおりのようだな。
シャチ「お前・・・・時間がねーって言ってるだろ。それとも、そのやり方の方が俺たちのやり方より多く獲れんのかよ!?」
シャチが網を手に取りながらユウキを睨みつけていた。
ユウキ「ああ。保証はないけどたぶんこっちの方が多く獲れると思うよ。」
モハメッドは目を輝かせユウキの話にくいついた。
シャチはまだ何か言いたそうだったが早い段階で何かをあきらめたみたいだ。
さっそく、大網を皆で抱え浜の方へと移動する。
少し強い浜風は心地よい冷たさで彼らの汗を乾かしていった。
浜に着くと早速ユウキは皆に説明する。説明と言っても内容はいたって簡単だ。まずは網を広げ出来るだけ沖まで移動する。これは身長の高いモハメッドとコウシロウの担当となった。
コウシロウは泳ぐことが出来なかったがユウキがビニール袋で簡易浮き輪をつくってやり服の中に入れると起用に犬かきで進めるようになっていた。
後は残ったメンバーで両端からバシャバシャと音を大きくたて魚たちを追い込む。
左側にユウキとシャチ。
右側にマンゾウとアインを配置する。
マンゾウもアインも初めての海に最初はビビっていたけど、いざ入ると恐怖と恍惚が混じったような変な顔をしていた。
ユウキは網の端を持ちながら水面に手のひらを叩きつけ魚たちを追い立てる。
他の皆もユウキの見様見真似をして徐々に網の広げた範囲を狭めていく。
ユウキ「モハメッド。コウシロウ!。下から魚が逃げないように網を下に引っ張れ。 マンゾウ!もう、陸にあがってくれ。そのまま、陸から網を引っ張るんだ。シャチ!そのままゆっくりこっちに来るんだ。」
いつの間にかユウキも感情を抑えられずにいた。この胸の高鳴り・・・・・。手に握る大網にも力が入る。
ユウキ「よし、ここから一気に浜辺まで引き上げるぞ!!!!」
皆「おぉー!!!!!!!」
シーンと静まっていた水面が砂浜に近づくにつれ騒がしくなる。水しぶきがそこら中に上がり魚たちが宙を泳ぐ。
全員が地面に足を付けた時急に網が動かなくなるほど重くなった。
まさに、鯛やヒラメの舞い踊り。あたり一面に網ビッシリと魚がかかっていた。
大漁!!!である。
モハメッド・シャチ ポカーン・・・・・・。
マンゾウ・コウシロウ・アインは狂ったように、はしゃぎ踊っている。
大変なのこれからだ。
この一匹一匹を仕分けしなくてはならないし、物によっては内臓をとったりしないと日持ちしないものもある。1分、1秒がおしい
ユウキは早速、魚の仕分けに取り組んだ。
モハメッド・シャチ「いや、いや!!!何事もなく進めんなよ!!!!」
ユウキの後ろから2人が満面の笑みで駆け寄る。
他の皆もユウキに突進してきた。
ユウキが見回すと皆がハイテンションで大笑いしていた。
モハメッドがマンゾウやコウシロウと一緒に変な踊りを踊っていたり、アインとシャチが肩を組みながら大爆笑している。
ユウキ(この炎天下だから悪くなる前に魚の処理しておきたいんだけどな・・・・。)
ユウキはいつ終わるか分からない仲間たちの笑顔をボーと見つめていた。
ユウキ(まぁ、もう少しいいか。)
いつのまにか潮風を心地よく感じていた。




