東エリア
ユウキは皆のペースに合わせ歩いていた。まだ早朝早くかろうじて日の出の数時間あとであろう。
この時間はまだ気温は高くなく肌寒い時期だ。それでも、一生懸命先を急ぐ一行はユウキを除いて皆、汗をかいていた。
少し罪悪感があったユウキはよっぽど、この能力について皆に話してしまおうかとも思ったがなんとなくやめておいたほうが良い気がした。
一行は2時間ほど歩くとエリアを分ける壁へと到着した。
いつも、ユウキ達が食材を探しに行く壁は最終外壁なので高さが40~50メートルはある。だがこのエリアを分ける壁は半分の20~30メートルくらいかと思われる。
素材もレンガや石垣のような作りだ。最終防壁は全体が鉄板のようなものでコーティングされており足場になるような物も無いため昇ることが出来ない。
ただ、この壁ならば体力さえもてば・・・・・・ユウキはそんなことを考えながら壁沿いを歩いていた。
少しすると門のようなものが見えてきた。何人か人が集まっているようだ。ちょっとした露店も数個出ているみたいだ。
少し皆が緊張する。マンゾウはビビリながらも必死に虚勢をはろうとしてるように見えた。
ユウキはそんな姿が少し面白く思えた。
マンゾウ「えーと、たしか約束ではこのあたりに・・・・・」
マンゾウは仕事の依頼主を探しているようだ。
マンゾウ「あっ、いたいた。ギランさーん。」
マンゾウが駆け寄った先にはスキンヘッドのいかつい奴がいた。色黒で顔中に傷跡がある。お世辞にも愛想のいい奴ではない。ふとユウキはこの話はだまれているのではと脳裏をかすめた。
マンゾウは少しも疑う事ないようだが明らかに人相が悪い。
ギラン「おうっ、早かったな。これで、全員か?」
マンゾウ「はい。こいつらで全員です。」
ギラン「お前ら、仕事の話は聞いてると思うが詳細はあっちについてからだ。もし、やめたいと思っているなら今のうちに帰ってくれ。」
全員一瞬固まった。アインとエリーゼは俺の方を心配そうにずっと見ている。
ユウキ(ちょっと心配だけど、最終的に判断をこちらに聞いてくるってことは案外ちゃんとした仕事なのかも・・・・いやいや、こう言っておいて責任を俺達に擦り付けるためかも・・・・まあ、ここまで来たら行くしかないよな。)
ユウキ「俺は行きます。」
マンゾウ「俺もだ!」
他の皆「僕も!私も!俺もなんだな!」
ギランは一通り全員を見まわす。
ギラン「わかった。んじゃあ、とりあえずお前らついてこい!」
俺たちは言われるままにギランについていった。
ギランは門の入り口まで来ると1人の憲兵らしき男のもとへかけよった。
2人は一通り話をすると最後にギランから何かを受け取る。
そのままギランは俺達に手招きをし、付いてこいと指で指示をだしてきた。
その入り口は憲兵用の入り口で俺たちは検閲なく東エリアへと入ったのである。
ここは東エリア。パッと見はユウキ達のいた南エリアとさほど風景は変わらない。ただ、ユウキ達は慣れ親しんだ南エリアじゃないということで皆、どことなく緊張していた。
依頼人の男「おい!ガキども。こっちだ。もたもたするな!」
依頼人の男がすでに先に進んでいる。ユウキ達ほ慌てて彼の後を追いかけた。




