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サバイバルゲーム  作者: 玄峰 峡。
I must win in the game.
5/5

ゲームスタート。

僕等がその洋館に踏み入れた最後のヒトだったみたい。

既に16人が揃っていて、内訳は人間5人、吸血鬼5人、そしてゾンビが6人。僕等も加えれば6人ずつ、計18人になる。


「それじゃあ、また後で」


そう言って僕から離れていくレイの背中に向かって慌てて返事をする。

きっと、聞こえてないんだろうなぁ……。

まぁいっか!そう思って吸血鬼用の食事が並べられた場所へ行く。並べられているのはどれも綺麗な赤、赤、赤。嫌味かっていうくらい赤色ばかりの食事。

本当に嫌になる。


「壱夜くん、相変わらずの仏頂面ね」


声のした方を振り向くと、綺麗な顔立ちの女性がったっていた。でも生憎、僕の知り合いにはこんな顔の人はいない。一体誰だ?

そんな僕の感情が顔に出ていたのか、溜息を吐いて彼女は手を差し出した。


「忘れたとは言わせないわよ。この前、あのバーで会ったばかりじゃない」


「え⁉︎まさか、セレナさん⁉︎……また全身弄ったんですか?そんなんで分かれって言われたって無理な話ですよ」


「弄ったとは失礼ね。この世界じゃある程度の金さえ有ればいくらでも好きなだけ変えられるわよ。この世界で、一度も変えた事が無いのってアンタと零亜ちゃんくらいなんじゃ無いの?」


あー。まぁ、確かに言われてみればそうかも。

でも、それって今のままで満足……は違うか。とりあえず、不満は感じてないってことだから良いと思うんだけどな。

セレナさんとか、身体をしょっちゅう変える人の気持ちが理解できないな。


ふとセレナさんから視線を逸らすと、その先にレイが居た。誰かと話してる。誰だろ?

というかレイ、嫌がってるっぽい。それなのにあんなにズケズケと、一体何なんだよアイツ。ムカつくなぁ……レイは僕のモノなのに。


そんな風に思っていたら、部屋の、大広間って言うのかな?、の電気が落とされた。ゆっくり消えるとかでは無くて、一気に。一瞬停電かと思うくらいだった。



『レディースアンドジェントルメン!!こんにちは。

ボクは君たちに手紙を送ったゲームマスターだよ。』


その声がした方を向くと、部屋の前の方に台座みたいなものがあった。

そこに居たのは、可愛らしいうさぎの人形。あの見た目、なんかムカつくなぁ。切り刻みたくなる……って、今はそんなことしてる場合じゃないや。


『早速なんだケドー……ゲームの説明を始めるよー!!


ゲーム、か。まぁ、確かにゲームだろうけどさぁ……なんかその言い方は違和感感じるんだよねぇ。


『まず、皆さんにして貰うのはコロシアイゲームです!!あ、殺し合うんじやなくて、ちゃんと殺し愛してね!!』


殺し合いをゲームって言えちゃうあたり、相当ヤバいよね、この世界って。

そう思うと、自然と笑みがこぼれた。慌てて周りを見たけど、誰もこっちには気を向けてないみたい。


『ルールはとっても簡単!まず、2人1組になって貰って……

最後の1人になるまでヒト殺しをして貰いまーす。勝者はたった1人でーす!つ・ま・り、最後はペアった仲間を殺すっつーことです!!』


ペアで戦い勝者は1人って、ちょっと嫌だなぁ。

でも、そんな事も気にならないほど、此処に集まってるヤツらは殺す事に慣れてるんだろうなぁ。

僕も、勿論レイも。


『最初に殺しちゃダメだよ!

ペアの片方が死ぬと、他のペアに生きてる方の位置情報を送っちゃうからね!!


まぁ、質問ごとはないだろうし、ペアを決めましょー!!

ささ、くじを引いてー!!』


引かない事には始まらないし、終わらない。

此処に来たからにはやらないといけない。覚悟を決めて、くじを引きに行った。


くじの箱は人間用、吸血鬼用、ゾンビ用と分かれていたから、きっとレイと同じペアになる筈は無いんだろうな。


『みんなくじをちゃんと引いたかな?

それじゃあ、今日はその人と親睦を深めてね!二階に、番号の付いた部屋があるから、自分の引いた番号の部屋に行ってね!!

それで、今夜はその人と仲良くなってね!!


協力して殺すのも、相手を裏切るのにも、ペアの相手を知ることが重要だからね』


人形は変化のない顔で、そう言った。ヒトが言ってたら、多分盛大に不気味な笑顔を浮かべてそうな声だった。


しばらく間を置いて、人形は口を開いた。


『あ、そうそう。言い忘れてたよ!部屋番号が1から9のヒトはこの部屋を出て右の階段、10から18のヒトは左の階段を使ってね!!あとね!』


次の言葉は多分、と言うか絶対コレだろうな。

レイの方を見ると、レイもわかってるみたいだった。だから、声を合わせてみたんだ。


『「「君たちの最も得意な得物は、部屋にちゃんと用意しているからね」」!!』


ほら、合ってた。

殺されるカモってときに、こんな呑気にしてるのも考えものだけど。



気がついたら、広間には僕とレイしかいなくなっていた。みんなはきっともう部屋に行ったんだろうな。

こんなときじゃないと話せ無いだろうから、最後の会話をしようと思って声をかけてみた。


「やってやろうね、レイ」


「勿論」


何を、とは言わなかったけど、伝わったみたいで良かった。

後は何も言うことはないし、部屋にでも行こうかな。


「さぁ、ゲームの始まりだよ。麗亜」


多分レイ、いや麗亜には聞こえなかっただろうな。

でも、僕らの目指すのは同じことだから何も心配は要らない。


彼女の為にも、全力で頑張んなくっちゃだよね!

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