表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サバイバルゲーム  作者: 玄峰 峡。
What is the meaning of this game?
2/5

Are you ready?Let’s start .

その洋館には既に16人が揃っていた。


服装や人種は様々で、共通点があるとすれば、人間も吸血鬼も、ゾンビもそれぞれが6人ずつであるということくらいだ。


「それじゃあ、また後で」


壱夜にそう告げて、人間用の食事の並ぶ長テーブルへ向かった。

勿論彼は、吸血鬼用の食事の用意されたテーブルに。


「今日は。貴女が噂の方ですか?」


「どんな噂かは知らないけど、そうなんじゃない? 笹原。笹原 麗亜。貴方は?」


人懐っこそうな笑みを浮かべて話しかけてきた、茶色の瞳をした人間の彼は、慌てたように自己紹介をした。


「僕は 悠真(ユウマ)吉野(ヨシノ) 悠真です」


彼……吉野は柔らかく微笑んだ。


「そう。よろしく、吉野さん」


「僕、こういうのは今日が初めてで……しかも、日本名の方が僕以外いなくて。ちょっと不安だったんです。でも、貴女も日本名でよかったです。貴女のこと噂でしか知らなくて……でも、ちょっとだけ親近感が湧きました!」


「よかったね。じゃあ」


こういうヒトは嫌いだ。

こっちの気も知らないで、勝手にズカズカと近づいてくる。


「あ、待ってください!一緒に食事をしませんか?」


「もうそんな時間ないと思うけど」


突如、部屋のライトが落ち、壇上にのみ灯りが集められた。

そこに居たのは……


人形だった。

それも可愛らしい真っ白なウサギの。


『レディースアンドジェントルメン!!こんにちは。

ボクは君たちに手紙を送ったゲームマスターだよ。』


ボーカロイドを彷彿とさせる機械音で、ソレは名乗った。


きっかり30分。

最後の1人……否、2人がこの洋館に足を踏み入れてから、きっかり30分後の出来事だった。


『早速なんだケドー……ゲームの説明を始めるよー!!


まず、皆さんにして貰うのはコロシアイゲームです!!あ、殺し合うんじやなくて、ちゃんと殺し愛してね!!』


ハートでも飛んできそうな忌々しい言葉に声。

ソレは()()聞いてもイライラする。


『ルールはとっても簡単!まず、2人1組になって貰って……

最後の1人になるまでヒト殺しをして貰いまーす。勝者はたった1人でーす!つ・ま・り、最後はペアった仲間を殺すっつーことです!!』


ペアで戦い勝者は1人。

壱夜を盗み見ると、向こうも視線を合わせてきて、小さく頷いた。


『最初に殺しちゃダメだよ!

ペアの片方が死ぬと、他のペアに生きてる方の位置情報を送っちゃうからね!!


まぁ、質問ごとはないだろうし、ペアを決めましょー!!

ささ、くじを引いてー!!』


くじを引かずとも、結果は既に決まっている。

半ば諦めたように、人形の前にある人間用のくじを引気に入った。


もちろん壱夜も、吸血鬼用のくじを引きに。



『みんなくじをちゃんと引いたかな?

それじゃあ、今日はその人と親睦を深めてね!二階に、番号の付いた部屋があるから、自分の引いた番号の部屋に行ってね!!

それで、今夜はその人と仲良くなってね!!


協力して殺すのも、相手を裏切るのにも、ペアの相手を知ることが重要だからね』


人形がニヤリと嗤った。

あたりが静寂に包まれる。

一人、また一人と、大広間の出口へと歩き出す。


そして、最初の一人が、

いつのまにか閉じられていたその扉の取っ手に触れた。


『あ、そうそう。言い忘れてたよ!部屋番号が1から9のヒトはこの部屋を出て右の階段、10から18のヒトは左の階段を使ってね!!あとね!』


次の言葉は知っている。


『「「君たちの最も得意な得物は、部屋にちゃんと用意しているからね」」!!』


人形と一緒に小さく呟く。

もちろん、壱夜も一緒に。


ここからは別行動。

でも、大丈夫。


絶対に、2人で勝つ。

その方法は存在する。それに、2人なら出来る。


勝者が1人?

そんなこと知るか。絶対に2人で勝ってやる。


みんなが大広間を出終わって、最後に残ったのは壱夜と2人だった。


「やってやろうね、レイ」


「勿論」


小さな声で会話を交わし、2人で笑みを浮かべた。


同じタイミングで大広間を抜けると、背後で扉が大きな音を立てて閉まった。


互いに背を向けて自分たちの引いた部屋へと向かう。

口元には笑みが浮かんでいるだろう。それも、不敵な。


止めようにも止められない。笑みが抑えられない。

きっとそれは、壱夜も同じだろう。

壱夜もきっと抑えられない笑みを浮かべているだろう。


さぁ、ここからは()()()だ。

2人で勝つ為にお互い頑張ろう。


そんな思いも込めて、口を動かした。

壱夜も何か呟いた気がしたが、何も聞こえなかった。きっと壱夜も同じく、聞こえなかっただろう。


しかし、そんなことはどうでも良い。

2人の思いが同じであれば、それで良いのだ。


「Are you ready?Let’s start. 」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ