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009.交渉



存外権力というものは人を惑わせるものである。


前世は軍事国家であった為、上下関係というものが蔓延っていた。上からの命令は絶対であった。上司が死ねというなら死なねばならない世界。人は国のために闘い、そして国のために死んだのだ。


その中で上位に立つ存在はまさに自分が神にでもなったかのように、まさに正義の振る舞い同様、下々の者に命令し、そして嘲笑う。



そして今世も同様である。むしろ王政国家であるが故に前世にまだあった人権の平等性すら疑わしい世界ーーー目の前の男はまさに、人種の中でも頂点にあぐらをかいて生きてきた人生を送っているらしい。



『んで。救世主様は如何様に、我が母を救ってくださるおつもりで?』


彼は笑っている。顔はまさに、王子らしく精巧としていて金髪とスカイブルーの瞳だけ見れば、本当に美しい。


ーーーーーただ、眼はまったく嗤っていない。


子供でも容赦しない男は世の中ごまんといるが、この男もその人種のようだ。噂によると御歳17歳と聞く。そのような年齢で、11歳のいたいけな少女にこのように凄む人間はそういない。


「ハッ、殿下。私は魔法が一切使えませんので、まずは魔法を覚える必要がございます」


「はぁ?魔法が使えない?」


「ええ。私、まだ11歳でございます故。」


だから私も笑ってやる、それも華麗に。11歳には見えないだろうと言わんばかりに。


こちらとら、左腕と人生を勝手に掛け金としてベットされたのだ。正直腹が煮えくり返りそうだった。ただ煮えくりかえったところで見返りはない、それもわかっている。


だからこそこの目の前の男には協力いただかないといけないのだ。


「ですので殿下には、一つ私から頼まれごとをしていただきたいのです。ところでディオロス様。」


「なんでしょう」


「…ディオロス様から見て王妃様のリミットを如何様に考えておりますでしょう」


「王妃様がこのような状態になり約20日。状態の進行具合から鑑みて…持って、10日と言ったところでしょう」


まさに医師といった風貌のディオロスは視線を下に向けそう宣った。彼が言うからには10日で天に召されてもおかしくないという状況であろう。



「というわけで殿下。殿下には早急に私の魔法の師を探していただきたいのです」


頭3個分は背の高い殿下を見上げ、要求した。見上げた王子は眉間にシワを寄せ此方を眺めている。先ほどの口の悪さを見るに、この王子は素行が悪い。


社交界の噂では王子然とした性格で穏やかだと聞いていたが噂とはやはり信用ならないものである。



「…ああ、わかった。俺の専属を貸してやろう」



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