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第26話 大和タケル(12)

「……鳥? いや、それにしては大きいような……」


ミサキちゃんの指さした方向から、大きく翼を広げた何かがこちらに向かって飛んでくるのが見えた。

それはどんどん大きくなって……

って、もしかして!


「タケル様~~!!」


「ミ、ミカエ――ぐはっ!」


猛スピードで突っ込んで来たのはミカエラとベルだった。

そしてミカエラは全く速度を落とすことなく胸から俺に激突してきた。


「お逢いしとうございました~!」


「ぐ、ぐるじい……! ミカエラ……放して……」


む、胸が……

今までもこういうことあったけど、今回はマジで窒息する……っ!


「コラー! いきなりタケルに抱き付いてんじゃねー!」


三途の川が見えかけた俺を、ベルがミカエラから引き剥がしてくれた。


「あん! もう、邪魔しないで下さいまし!」


「うるせー! お前はアタイのおかげで戻れることになったんだから、ちょっとはわきまえろ!」


今度はベルが俺の頭を力一杯胸に抱く。

クッションが無いから頭がギリギリと痛む……っ!


「まあ! そもそもわたくしは貴方を助けるために禁を犯したのですから、貸しはあっても借りなんてありませんわ!」


再びミカエラが俺をベルから奪い返した。

また大きな胸に窒息しそうになる。

何の話か分かんないけど、まずは俺を放してくれ!


「何だとぅ! この腹黒天使!」


「このツルペタストンのお子様悪魔!」


「……ぶはぁっ! いい加減にしろよ2人とも! ってか、なんでまたこっちに戻ってきてんだよ!?」


自分達の世界に帰ったはずじゃなかったのかよ!?


「まぁ色々ありまして、再びこちらの世界にお世話になることになりましたわ」


ざっくりだなオイ!


「細かいことはいいじゃねーか。それよりもタケル! これでアタイらの勝負は仕切り直しになったから、改めてお前はアタイとこの腹黒天使のどちらかを選べ!」


はあ!?

何だよそれ!?


「ちょっ……ちょっと待ってよ! まだそんなこと言ってるのか!? 俺はまだ結婚する気も、ましてや神様や魔王になる気なんか無いよ!」


「そんな……わたくし、こんなにもタケル様をお慕い申し上げておりますのに……っ!」


だ~、もう!

その泣き顔はホント反則だぞ!


「いいのか? アタイらのこの勝負が流れたら――」


その脅しには乗らないぞ。

巫に聞いたんだからな。

お前ら、もう戦争する気はないって言ったそうじゃないか。


「確かに、わたくし達はもう全面戦争なんてする気はありませんが……」


な、何?

随分含みのある言い方だな……


「我が父から言付を預かっております」


言付?

何か……嫌な予感がするんだけど……


「『我が娘の想いを無下にするような真似をしたら、神の怒りが降りかかるだろう』とのことです♪」


なっ、何だって~!?

それじゃ……ミカエラを選ばないと神様が俺にバチを当てるってことじゃないか!

神様がそんなことしていいのかよ!?


「ああ、アタイの親父も言ってたな。『吾輩の娘に恥かかせたら、おどれの目ん玉くり抜いてカラスの餌にしちゃるけぇのお!』だそうだ♪」


何だよそりゃ!

それじゃ俺はどうしたらいいんだよ~!!


「さあタケル様♪ わたくしと一緒に幸せな家庭を築きましょう!」


「いいや! アタイと一緒になるんだ!」


じょ、冗談じゃない!

俺にはミサキちゃんという心に決めた人が――って、あれ?

ミサキちゃんがいない!


「あ、待ってよミサキちゃん!」


さっきまで傍にいたはずのミサキちゃんが、ふらふらとした足取りで遠ざかっていく!

そんなぁ、せっかくいい雰囲気だったのにぃ!


「あっ、タケル様! お待ちになって~!」


「待ちやがれタケル! アタイと結婚しろ~!」


ドアへと消えていくミサキちゃんの後を追う俺を、2人が猟犬のような眼で追いかけてくる。

どうやら俺に平穏な生活は送れないらしい……

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