エピソード(1)
「……なぁ、サタンよ」
「何です、御大?」
「お主の娘じゃが……一体何の冗談じゃ?」
「何の話です?」
「あの容姿はいくらなんでも……」
「可愛いでしょう!? 御大の娘御もなかなかのものですが、吾輩のベルちゃんには敵いませんとも!」
「マジか……」
「まぁ確かに、あんなに可愛い娘を代表に立てたのは少々大人気なかったかもしれませんな。これでは勝負にすらなりませんかな。はっはっは」
「いや……お主がそう思っておるならそれでいいんじゃが……」
「あぁ、今日もキュートだったよ! 吾輩のマイ・スウィート・エンジェル♪」
「いや、悪魔じゃろう……」
「それはそうと、御大」
「うわっ! いきなりシリアスな顔になるな! びっくりするじゃろ」
「少々気になることがあるのですが……」
「何じゃ?」
「ベルが仲良くなった人間の娘なのですが」
「ふわミディの方か? それともおさげの方?」
「おさげの方です。っていうか、ふわミディって何ですか?」
「ふわふわっとしたミディアムヘアーのことじゃ。お主ももうちょっとファッションについて詳しくならんと、若い娘にモテんぞ」
「はぁ……」
「それはそうと、あの娘がどうかしたか?」
「まだはっきりしたことは分かりませんが、もしかしたら――」