プロローグ
初めまして。
投稿初心者のEoliaと申しますm(__)m
処女作ですが、どうぞよろしくお願いします。
くだらない内容ですが(笑)、良かったら感想聞かせてください^^
「……どうじゃ、最近は?」
「ええ、まあ、ぼちぼちですよ」
「お主も人の上に立つ身になって、初めて見えてきたものもあろう」
「そうですね。今更ながら御大の苦労が分かりましたよ」
「そうじゃろう、そうじゃろう。昔のお主ときたら、わしの苦労も知らんと生意気ばかり――」
「御大、その話はもう……。吾輩もあの頃はまだまだ未熟者で、お恥ずかしい限りです」
「ふん、まあええわい。もうお互いいがみ合う時代じゃないしな」
「ですね。血の気の多かったウチの連中も、今じゃすっかり大人しくなって…… 知ってます? 今ウチの連中が夢中になって追っかけてるのは御大のところのラファエルちゃんなんですよ」
「ほう、そうなのか」
「いわゆるヲタクって奴ですかね。昔は脳味噌まで筋肉で出来たようなガテン系ばっかりだったのに、最近のウチの若い衆ときたらまったく……」
「まあ良いではないか。わしのところの娘達も、お主のところのメフィストとかいう男にキャーキャー言うておるわ」
「やっぱり時代なんですかねぇ」
「そうじゃなぁ。昔みたいに毎日のように戦争していた頃が懐かしくもあるが、時代は今や『ラブ・アンド・ピース』というやつじゃ」
「お、御大、意外とハイカラですね」
「むふふ、わしも若い娘達とまだまだ楽しくお喋りがしたいでな」
「はは、御大も随分と変わりましたな。あの頃は威厳の塊のようなお方で、ちっとも融通の利かない御仁だったのに。でも、今の御大の方がずっと親しみやすくて良いですよ。今の時代、厳しいだけでは下の者が付いて来ませんからな」
「ふん、お主に言われるまでもない。わしはこれでもお主よりも遥かに長いこと組織の長を務めておる身じゃ」
「おっと、これは釈迦に説法でしたかな」
「釈迦って……」
「あ、そうそう。ところで例の『アレ』どうします?」
「ああ、『アレ』か。もうそんな時期なのじゃな」
「ええ、前回は御大に煮え湯を飲まされて、次こそはリベンジをと思っていたのですが……」
「時代も変わってしまったからのぅ」
「そうなんですよねぇ。今更お互いの死力を尽くした全面戦争なんて、誰も望んではいないんですよね」
「じゃあもうナシでいいんじゃないか? と、言いたいところじゃが……」
「何か問題でも?」
「いや、わしのところもそんな時代遅れの思想を持っとる者などほとんどおらんのじゃが、たった一人強硬に全面対決を主張する者がおってな」
「ほう、御大のところもですか。実は吾輩のところにも似たような輩が一人おりましてな。やはり前時代的で好戦的な若者というのはどこにでもいるものですな」
「恥ずかしい話なのじゃが、それを主張しておるのはわしの娘なのじゃ」
「おお、それは奇遇ですね。実はこちらも吾輩の娘なんです」
「なんと、お主も苦労が絶えぬのう」
「ええ、お互い娘には手を焼きますな」
「まったくじゃ。仮にも組織のトップの娘が強硬に対決を主張しておる以上、無視するわけにもいかず。かといって今更戦争なんぞまっぴらじゃ」
「こちらとて同じです。時代は『ラブ・アンド・ピース』なのですから」
「それわしの……。おっ、良いこと思いついたぞ!」
「何です?」
「もういっそわしの娘とお主の娘で一騎討ちということにすればいいんじゃないか?」
「ほう、それで勝った方の陣営を今回の勝利者とするわけですね。しかし……」
「不満か?」
「いえ、親馬鹿と笑われるかもしれませんが、吾輩も一人の親として、あまり娘に危険なことはしてほしくないのですが……」
「何じゃ、そんなことか。安心せい。わしだって若い娘が殺し合う姿なぞ見とうない。それが実の娘なら尚更な」
「はぁ……」
「対決というはもっと別の形でじゃ。時代は『ラブ・アンド・ピース』じゃからな――」
―――――
「――なるほど、それは面白いですね。吾輩は構いませんが、御大はその人間に玉座を明け渡すことになってもよろしいので?」
「なんの。人間の寿命などたかだか百年足らずじゃろ。その間のちょっとした骨休めと思えばよかろう。秘書のミカエルちゃんとしっぽり旅行にでも行ってくるかの」
「おや御大、もう勝った気でいますか?」
「ふふ、お主には悪いが、わしの愛娘はそれはもう最高の器量良しでな。人間の男なんぞイチコロじゃよ」
「いやいや、吾輩の娘も捨てたもんじゃありませんぞ。秘書のアスモちゃんと温泉旅行に出かけるのは吾輩です」
「ふん、身の程知らずめが。よかろう、では今回の『アルマゲドン』はお互いの娘を代表とする一騎討ちとする」
「ではターゲットの人間を選定しましょう――」