「Aランチにしてくれ。」
「猫さん、飯っす!!」
「は?もうか?…ってか、
飯食ってる場合かよ、、、
ここをキリにしなきゃ…」
「ごもっともなんだが…、
あんたと俺なら、、
やりきれるさ、、、
でも若い奴等が
付いてこれんし、
熱中症で
倒れられたりしたら、、」
…高所作業車の
ブームを縮めて
バケットから降り、
エンジン止めたら、なんか
一気に疲れた気がした。
(あぢー、、、、
実は正直、俺も限界、
久し振りにゲンの応援に
来たけど、朝から、ちと、
飛ばし過ぎたわ、、、)
…新築の現場は
まだ屋根が乗っていない。
朝からギラギラと太陽が、
隠れる場所もねーわ。
「無理言って来てもらって
ほんとに、さーせん、、
なんか全然進まなくて、、
猫さんに来てもらわなきゃ
終わらんわ、、、
あそこの飯屋に
みんなで行きやしょう、
猫さん弁当、無いだら?」
顔を真っ赤にして、
汗をぽたぽた流しながら
ゲンは俺に礼を言う。
日焼けなのか
溶接焼けなのか
それとも酒焼けなのか。
飲み過ぎで、肝臓が悪い、
みたいな顔色。
奴は身長190。
…無駄にでかい。
…灼熱の太陽…。
蜃気楼が見えるわ、、、
現場の不整地を
4tダンプが行き来する度に
砂埃が舞い上がり…、
一瞬、ここはゴビ砂漠かよ
みたいな…。
…11時半か…。
バイパスを挟んで
現場の向かいにある飯屋は
まだ昼まで
少し間があるからか、
意外と空いていたんだ。
…入った瞬間、涼しー!!
気持ちいー!!!
「いらっしゃいまてー。
何名様ですかー?」
「5名のはずだったんだが
約1名は、なんか
今日は珍しく愛妻が、
いや恐妻が弁当を作って
くれたらしくてね、
何もこのくそ暑いのに
弁当腐らせるリスクを
犯さなくても、まあ、
新婚さんみたいだからさ、
大目に見てやってくれ。」
「猫さん…。」
「…で?4名様でー
宜しいですかぁ?」
「いいかお前ら、
朝も紹介したけど
この人が猫さん、
俺の先輩ってか元親方だ、
今日は2工区をどうしても
終らせなきゃいかんから
無理言って来てもらった。
でな、まあ、
解ってるとは思うけど、
飯に時間掛けてる暇は無い
悪ぃがご馳走するから、
全員、、、、
このAランチをぱっと
食ってな、な??
みんな一緒の物なら
早いだろ??」
(あの店員さんカワイー。
かき氷食いてー。)
「いいすね?猫さん?」
「は?」
「ご注文はー?
お決まりですかー?」
(あ、やべー、、えーと、
ま、いいや、これで)
「Aランチを4
「俺これ、駿河御膳。」
「は?猫さん、、、」
「えー、駿河御膳がー、
おひとつー、」
「ね、ねこさ
「駿河御膳には、お蕎麦か
おうどんが付きますが?」
「ね、ねこ、
「…蕎麦だな。」
「ねこさ、、、
「お蕎麦はー、、、
温かいのと冷たいの、
どちらにー、
致しましょうかぁ?」
「うー、暑いからと言って
いつも冷たいのばっかじゃ
俺、腸、超弱いしなー、」
「あの、ねこさ、、
「なら、温かい蕎麦で?
少々お時間掛かりますがぁ
宜しいですかー??」
(???なんだ、ゲン??
そんなに俺を見つめて?
何か訴える様な眼差し…。
さっきから
じーっと見つめて…、、
はっっ!!まかさ、
ちなう、まさか!!
ゲン、
まさかっ!!!
げー!やめてくれー!!!!!!!
俺にその気はねぇーわ!!
そう言えば昔からこいつは
いつも俺を慕ってくれて、
立ててくれて、それは
俺の仕事ぶりを気に入って
尊敬してくれてるものだと
違うのか?
いかん!!ヤバイ、、、
こんな大男に迫られたら、
それこそ俺の貞操の危機だ
これがBLってやつか?
いやおじさんだからOL?
OLさんとー、かぶるね???
いや、
おじさんはアンクル??
AL?アンクル、ULか?
どうでもいいね?
ってか、おめー、
嫁いるだろ???
…あ、まさか
カムフラージュ婚?
げー、まじかー?
特別、美人じゃないけど、
胸がおデブの
いい子じゃないか、
やめろ、その目は、、、、
なんだ、指で合図??
A??Aとは? kiss???
ダメだ、訳がわからん、
ゲン、お前とはもう、
以前の関係には戻れん、
悪いけど!!
お前の気持ちには、
答えれん、今日を限りに
俺とお前は、、、、)
「猫さん!!
俺の話、聞いてた??!!
又、どっか行ってたら?」
「?お???」
「みんな一緒でいいすね?
時間無いから!!!
Aランチで!!!」
「あ、あぁ、
Aランチにしてくれ。」
ゲン(仮名)の疑惑はさておき、
俺は違う。(笑)
あ、ゲン(仮名)すまん。(笑)