9話 特別編 終局 【青年のオモイ】
…ツキ……ん…
…ムツキさん…
…ムツキさん!!起きてください!!
んぁ?と間抜けな声をあげて目を開けると一人の青年が怒っていた
『ムツキさんいい加減にしてください!仕事中ですよ!!』
ムツキは大きく伸びをのすると気の抜けた声で
『アサイ〜…そんな怒るなって〜…カルシウム不足っ?骨しかないようなお前がカルシウムなくなったら致命傷だろ!』
いつもの調子を取り戻したようにムツキはゲラゲラと笑った
『まったく…あ、ところでムツキさん…相当うなされてましたけどなにか怖い夢でも見たんですか…?』
ムツキは
『ちょこっと昔のことをね〜…俺こんなイケメンだから小さい頃からモテるんだよね〜!
あの幼馴染との甘い時間をおもいだしてたのさ!』
と返した。すぐさま切り込む切れ味のいい鋭いツッコミ
『怖い夢でもなんでもないじゃないですか!!心配して損しましたよ!!』
アサイは呆れたようにため息を一つ吐くと仕事に戻った。ムツキはそんな疲れたような顔すんなよ!とアサイの全然肉の付いてない弱々しい背中をバシバシ叩きながら言った
『…必ず見つけ出す…まってろよ殺人鬼…』
ムツキは誰にも聞こえない声でつぶやくと黒コートのフードを被り、月が照らす夜に消えた