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きわ物語  作者: ひとくい
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4話

『なぁ?これ…どこに行くつもりなんだ?』

タスクは自分の心の中の不安が声に出てしまっていることを感じるような震え声で”眼”の男に尋ねた

男は足を止めずに言った

『簡単に言えば…『お…そこにいるのは…』』

どこからか”眼”の男以外の弱々しい声が聞こえてくる

タスクは周りを見渡したがその声の主を見つけることはできなかった

『もしかして今から”ラブホ”にいくつもり…ガハッ』

”眼”の男が踏みしめていたのは地面ではなくもう一人の黒コートの背中だった

声の主はこいつか…

『その略語はやめろといっているだろう…タスク君が不安になるじゃないか』

”眼”の男はその場で右足を宙に浮かし容赦なく凄まじい勢いで地面…もとい黒コートの男を踏みしめた

『ぐぬっ…ケンタくんっ?!俺踏んでるよ?!』

『”外”で名前をよぶんじゃない!』

再び隕石キックが”地面”に放たれた

『っ!…ギブアップ!!』

もう一人の黒コートの男が地面で叫ぶ上で”眼”の男が話しかけてきた

『今から行くのはさっきこいつがいっていたが”ラブホ”と呼ばれる施設だ、そこで君に合わせたい人がいる』

タスクの心にさらに深い不安が広がった

タスクも年頃の男だ、ラブホぐらい知っている

一体何をされてしまうのか考えるだけで目の前が真っ白になりそうだった

『ついてきてくれればいいのさ、なぁに痛いことはしないよ』

男の背後に再び眼が浮かび上がる

『まさかとは思うが”逃げよう”なんて考えていないだろうね?』

黒コートの下に不敵に微笑む口が見えた

もう逃げることはできないんだとタスクは悟った


〜”ラブホ”〜

『ここだ』

”眼”の男が立ち止まったのは普通の病院だった

看板に目をやると

【越山特殊傷集中治療病院】という文字が取れた上にいかにも後で付け足したであろう

【LOVE❤︎HOSPITAL】という文字が妖艶にピンクのネオンで光っていた

『ラブ・ホスピタル略してラブホだ』


〜ラブ・ホスピタル〜

一同は建物の中に入った

内装は白を基調とした清潔感の溢れる綺麗な病院で、客を寄せ付けないようなパンチの効いた略称をもつ名前とは結びつけるのが困難だ

タスクはためていた不安や絶望を体外に吐き出すように長く深いため息を一つついた

『この診察室だ…入ってくれるかな?』

少し館内を歩くと一つの部屋に案内された

この部屋の中にどんな人がいるのか

タスクは覚悟した

もう今日だけでたくさんの夢のようで夢でない体験をしている

並大抵のことでは驚かない

この部屋にいるのがどんな奴だろうと俺はくじけない!


ガチャ…


間抜けな音を立てて扉が開く


この扉を越えたらもうあの日常には戻れない


そんな気がした



















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