ノスタルジア
いくつもの季節を一緒に過ごしてきた、幼なじみの3人。そのひとりが欠けた時、残されたふたりの想いは……?
《2011年に短編として投稿した作品をこちらへ移動しました》
バスの窓から海が見えた。
かすかに吹き込む潮風が、汐里の肩にかかる髪を揺らす。
「……大丈夫?」
隣に座る汐里につぶやく。うつろな顔つきで窓の外を眺めていた汐里が、ほんの少し微笑み僕に答える。
「大丈夫……だけど、ちょっと酔っちゃった」
小さい頃から、乗り物に弱かった汐里。
「もうすぐ着くよ」
僕の声に汐里がうなずく。
そう。もうすぐ着く。僕と彼女とあいつの、思い出の場所に……。
海は少し荒れていた。海水浴シーズンだったが、ここは遊泳禁止だから、砂浜を散歩する人が一人二人いるだけだ。
汐里は右手で髪を押さえ、海を見ながらつぶやいた。
「……変わってないね。ここ」
そしてゆっくりと、隣に立つ僕を見つめる。
汐里こそ、変わっていない。少し上目使いのその視線も、返事を待つ時のちょっと首をかしげるしぐさも……。
「そうだね」
僕の答えに満足するように、汐里がそっと微笑んだ。
あの海に行こうと誘ったのは、汐里の方だった。僕は「うん」と答えていいのか戸惑った。実際今でも、汐里をここへ連れてきてよかったのか、答えは出ない。
突然パニックに陥って、泣き出すなんてことはなくなったようだけど、汐里の心の傷が癒えたとは、まだ思っていなかったから。
「あの時は……蓮くんもいたのよね」
汐里の口から出たその名前に、景色が一瞬、ゆがむように動く。
「蓮くんと、柊ちゃんと、三人で来たのよね」
汐里がそう言って海を見た。
ああ、そうだよ。そうだよ、汐里。
だけどここに蓮はいない。
僕と汐里の前から蓮がいなくなってもう三年、いや、まだ三年というべきだろうか……。
汐里と僕と蓮は、幼い頃から仲が良かった。
幼稚園と小学校は一緒に通った。中学生になってさすがに汐里は、僕たちと行動することが少なくなった。
だけどたまに誰かの家で勉強したり、夏休みに一日だけ三人で出かけたりすることが、秘密の約束みたいになっていた。
中学三年生のその夏も、僕らはバスで三十分ほどの海へ、遊びに行く計画を立てていた。
「じゃああたし、お弁当作っていくね」
「汐里の弁当なんか食えるのかよ」
「もうっ。蓮くんは失礼ね。毎年あたしのサンドイッチ食べてるくせに」
汐里が怒ったように頬をふくらませ、蓮がその顔をからかっている。
僕はそんな二人のやりとりを、見ているのが好きだった。
自信家で、何事もまっすぐ突き進む蓮は、はたから見たらちょっと生意気なヤツだったけど、僕は嫌いではなかった。
実は人知れず、陰で努力している蓮を、僕は知っていたから。
そしてそんな蓮のことを、汐里もわかっていたんだと思う。
「俺、汐里のこと、好きだな」
汐里が団地の階段を上って行った後、僕に向かって蓮が言った。
「聞いてるのか、柊斗。俺、汐里のことが、好きだって言ったんだ」
同じ言葉、何回も言うな。それに今さら、重大発言のようにそう言われても、別に僕は驚かない。
「知ってるよ。そんなこと」
僕の隣に立つ蓮の向こうに、住み慣れた団地が並んでいる。そしてその後ろには、どこか懐かしい色の夕陽が見えた。
「……じゃあ、いいのか?」
「なにが?」
「俺が、汐里に言っちゃっていいのか?」
「言いたかったら言えばいいだろ? 僕には関係ない」
蓮がふっと笑い、僕に念を押す。
「あとになって言うなよ? 実は僕も好きだったなんて、絶対言うなよ?」
「言わないよ」
「言うなら、今ここで言え」
「……絶対、言わない」
にらむような目つきの蓮が、にやりと歯を見せ、僕の肩をぽんと叩く。
「よしっ! んじゃ、俺と汐里がうまくいくように協力してくれよな!」
夏の始まりの蒸し暑い風。じんわり汗のにじむ制服の背中。
蓮の見慣れた顔は、ほんのり夕陽色に染まっていた。
汐里と最初に仲良くなったのは僕だった。仲良くなったと言っても、そのきっかけなんて覚えていない。
ただ同じ団地に住んでいて、毎日同じ公園で遊んでいたから、自然と親しくなったんだろう。
汐里はお姉さんのようにしっかりしていて、僕の母はよく汐里のことを褒めていた。
そしてそんな僕らの住む団地に、蓮が引っ越してきて、いつのまにか僕らは三人で遊ぶようになっていた。
「うわぁ、気持ちいいー」
バスの中ではぐったりしていたくせに、海に着いた途端、汐里は波打ち際へ駆け寄った。
「やっぱり水着持ってくればよかったかなぁ」
「だから言ったろ? 夏は絶対海水浴だって」
蓮が僕の隣で汐里に言う。
海に行く計画を立てたけど、汐里は「水着になりたくない」と駄々をこねて、海水浴に反対した。だから僕たちはわざわざ、遊泳禁止の海岸を選んで、ピクニックという名目に変更したのだ。
「汐里の水着姿なんて、誰も見たくねぇけどな」
「ちょっと! 蓮くん、ひどいっ」
汐里が麦わら帽子をはずして、蓮を叩くしぐさをする。蓮は大げさに逃げ回って、二人の笑い声がひと気のない砂浜に響く。
僕はいつものように、そんな二人を眺めていた。それは別に、悪い気分ではなかった。
「柊ちゃん」
ぼんやり突っ立っている僕に汐里が気づき、荷物を抱えて駆け寄ってくる。
「おべんと、食べようよ」
「……うん」
「俺、腹減ったー!」
「蓮くんの分はないんだからねっ」
汐里が言って、僕に振り向き笑いかける。そんな汐里の笑顔を見たら、僕の胸がちょっとだけ痛んだ。
「はい。柊ちゃんはタマゴサンドだよね?」
汐里が僕の前にサンドイッチを差し出す。
「柊斗はタマゴしか食わねえからな」
蓮がすでに二つ目のサンドイッチを頬張りながら、口をはさむ。
「うるさいな。好きなんだからいいだろ」
「そうよ、蓮くんはうるさいの。でもトマトサンドも食べてね? 好き嫌いはダメだよ、柊ちゃん」
汐里の年上口調に、蓮がにやにやと笑っている。
僕は黙って、汐里の作ったタマゴサンドを口に入れる。いつものようにほんの少し、僕には塩味がきつかった。
波打ち際で石を投げたりしながら、なんとなく時間を過ごした。
夏の日差しは眩しく、潮の香りが鼻につく。
いつしか汐里と蓮は並んでいて、僕は後ろから二人を眺めた。蓮と約束した時間が近づいていた。
「今、何時?」
突然蓮が言う。
「あ、もう三時。あたし塾があるから、そろそろ帰らなきゃ」
汐里が塾に通っていることは知っていた。この日も休むつもりがないということも知っていた。
蓮がちらりと僕を見る。僕はそれに反応するかのように口を開く。
「じゃあ、バスの時間見てくるよ。この辺、本数少ないから」
「あ、それじゃ、あたしも……」
「いいよ。汐里は蓮と待ってて」
僕は二人に背中を向けて、逃げるように走り出す。
サンダルで熱い砂を蹴り、じゃりじゃりした階段を上り、国道に出てから砂浜を見下ろした。
波打ち際で、蓮が汐里と話している。予定通りだ。汐里はなんて返事をするのだろう。
ぼんやりとした頭でバス停の数字を眺める。バスの時刻は記憶してあった。だからそんなものを調べる必要なんてなかった。
二人が話し終わるまで、時間をつぶす。じりじりと焼けつくような陽射しが、肌を焦がす。
あの日のあの時間は、永遠に続くかと思うほど、僕にとって長い長い時間だった。
蓮と汐里の会話がどんなだったのか、僕は今でも知らない。だけどその夏が終わる頃、二人は恋人同士になっていた。
学校でも、二人のことは噂になった。秋が過ぎ、冬が過ぎ、春が来る頃、二人は同じ高校に合格した。僕は違う学校だった。
「高校別でも、団地は同じだもんね」
いつでも会えるよって、卒業式の日に汐里は言ったけど、僕と汐里が会うことはめっきり少なくなった。
春の夜、近所のコンビニで蓮に会った。
汐里とはうまくやっているそうだ。キスもしたし、それ以上の関係になるのも、時間の問題だなんて僕に言った。
「いいんだろ? 柊斗」
ポケットに手をつっこんで、コンビニの袋をぶら下げながら、蓮は僕の隣をついてくる。桜の花びらがはらはらと、僕らの上に舞い落ちる。
「いいんだよな? 俺が汐里とやっても」
「いちいち僕に聞くなよ」
「じゃあ絶対なしだぞ? 実は僕も好きでしたとか言うの」
「しつこい」
蓮が軽く笑って夜空を見上げる。何気なく隣を向くと、蓮の口元が目に入った。
この唇で、蓮は汐里にキスをした……。
僕はそれ以上のことを想像してしまいそうになり、あわててその場から走り出す。
「先帰る!」
「え、なんだよ急に。どうせ同じ場所に帰るんだろ?」
「急いでるからっ。じゃあな!」
逃げるなよと、蓮が言ったような気がする。だけど僕は振り向かずに、花びらを踏みつけながら、ただ走った。
その日から、僕は蓮を避けるようになっていた。もしかしたら汐里のことも避けていたのかもしれない。
会う機会が少なくなったのではなく、僕の方から汐里のことを避けるようになっていたのだ。
久しぶりに汐里と話したのは、雪がかすかにちらつく高三の冬だった。
僕は予備校からの帰りで、汐里は薄暗くなった団地の前で蓮が来るのを待っていた。
「バイクの免許取ったからって、毎日友達とどこか行っちゃうの」
男友達と遊ぶのが忙しくて、相手をしてくれない蓮のことを、汐里は白い息を吐きながら不満そうに話した。
「汐里も乗せてもらえば?」
「やだぁ、怖いよ。酔っちゃいそうだし」
「バイクで酔うかな?」
僕の前で汐里が笑う。少し控え目な汐里の笑顔は、昔と変わっていなかった。
「じゃあ……」
その場を去ろうとした僕に、汐里がつぶやく。
「帰っちゃうの?」
ゆっくりと振り返ると、僕のことを見つめている汐里と目が合った。
「帰っちゃうの? 柊ちゃん」
「ここで一緒に、汐里の彼氏を待ってろと?」
「そんなんじゃないけど」
汐里は照れたように、ほんのりと微笑む。冷たい空気が、汐里の周りだけ温まったような気がした。
「うそうそ、ごめんね。バイバイ、柊ちゃん」
僕に向かって汐里が手を振る。
「……風邪ひくなよ」
それだけ言って背中を向けた。
バイクの音はまだ聞こえない。汐里は小雪の舞う中、いつまで蓮の帰りを待っているのだろう。
そんなことを思いながら、ふと振り返ると、汐里はもう僕の姿を見ていなかった。
暗闇の中に視線を向けて、マフラーを口元まで押し上げて、寒さに耐えるように立っている汐里。
あの時駆け寄って、一緒にいてあげれば……何かは少し、変わっていただろうか。
僕が部屋に入りかけた頃、蓮のバイクの音が遠くで聞こえた。僕はそのままドアを閉める。だけど次の瞬間、ただ事ではない音を聞いて、あわてて外へ飛び出した。
団地の前の道路で、車とバイクが事故っているのが三階から見えた。
どれほどの衝撃を受けたのか、車のフロント部分はぐしゃぐしゃで、少し離れたところにバイクが倒れていた。
「……蓮?」
大勢の人が集まってきた。横たわったまま動かない人間が、蓮だということぐらい、遠くからでもわかる。
かすかに汐里の泣き叫ぶ声が、僕の耳に聞こえてきた。
強い海風が吹いた。汐里は海を見つめたまま、髪を押さえる。
三年前のあの日から、汐里は家に籠りがちになった。
事故のショックで、時々パニックを起こしたり、突然泣き出したりすることがあると人づてに聞いた。
だけど、僕には何もできない。
何を言っても、何をしても、それは嘘っぽいような気がして……。
なぜなら、僕は嘘つきだから。最後の最後まで、僕は蓮に、嘘をつき通していたから。
「柊ちゃん。久しぶりだね」
汐里が僕の家を訪ねてきたのは、引っ越しの荷造りをしている最中だった。
この団地は老朽化のため、近いうちに取り壊されることになっていて、僕たち家族は父親の実家の近くに引っ越す準備をしていたのだ。
「海に行かない?」
「え?」
「一緒に、あの海に……行ってくれない?」
なぜ急に、汐里は僕を誘ったのか。僕が引っ越したら、今度こそ本当に会えなくなるから、幼なじみとしての社交辞令みたいなものだろうか。
それとも何かもっと他の意味が……あるのだろうか。
海を見ていた汐里が振り向き、僕を見た。
「柊ちゃん」
「なに?」
「……大丈夫?」
汐里の口から出た言葉は、思ってもみない言葉だった。
「大丈夫なの? 柊ちゃん」
「……なにが?」
汐里がかすかに微笑む。そして小さく深呼吸してからつぶやいた。
「柊ちゃん、泣いてないでしょ? 蓮くんが逝っちゃってから」
胸の奥がざわめき出す。密かに閉じ込めておいた気持ちが、今にも溢れそうになる。
「泣いてもいいよ?」
汐里の声が波の音と重なる。
「泣いてもいいんだよ? 柊ちゃん」
泣けるわけなんて、ないだろう? 嘘つきで、意気地なしで、逃げてばかりだった僕が、蓮のために泣けるわけなんて……ないだろう?
汐里の細い手がすっと伸びて、僕の背中を抱き寄せる。
「汐里……だめだよ」
「大丈夫。蓮くんは全部わかってるから」
わかってる……蓮くんは全部わかってる。
その途端、言葉にならない想いが、涙と共に溢れ出た。
蓮は全部わかっていた。今も、昔も、蓮は僕の気持ちを、全部わかっていた。
「ごめん……汐里」
「柊ちゃん……」
「ごめんな……蓮」
蓮はきっと空の上から、勝ち誇ったように笑っているだろう。
ほらみろ、やっぱりお前も、好きだったんだろって……。
汐里の息づかいが耳元で聞こえる。好きな子の胸で泣くなんて、カッコ悪すぎる。
声をかけることなく、そっと汐里のことを見守っていたつもりが、見守られていたのは僕のほうだったなんて……。
僕は頼りない手で、汐里の体を抱きしめた。その体は、思ったよりもずっとずっと柔らかくて、細くて、そして震えていた。
帰りのバスの中、汐里は僕の肩にもたれて眠ってしまった。長いまつ毛の先には涙のあとが光っているが、安心したようなその表情に、僕も静かに目を閉じる。
「蓮くんがいなくなってから、眠りたくても眠れなくなっちゃったの」
さっき僕の隣で、はにかむように汐里は言った。
僕も同じだよ。だけど今日からはちょっと違う。汐里のおかげで、僕はほんの少し前へ進めたから。
バスは海から離れ街中を走る。
僕は明日、この町を去る。汐里も近いうちに、あの団地を出るのだろう。汐里がその後どこで暮らすのか、僕は知らない。
「柊ちゃん」
いつの間にか目を開けていた汐里が僕にささやく。
「元気でね」
「汐里も……」
バスから降りて僕らは別れた。
汐里は古びた団地の階段を、一段ずつ上っていく。
「汐里」
誰にも気づかれないように、その名前をつぶやいた。あたりは夕陽に染まっている。
「ずっと……好きだった」
聞こえるはずのない僕の声。なのに汐里は、階段の途中で振り返り、僕に小さく笑いかける。
――ありがとう。
汐里の口元が、そう動いた気がした。
あれからさらに八年が経とうとしている。
何年ぶりかに訪れたこの町は、ずいぶん様変わりしていた。
さっきバスの窓から見たあの団地の跡には、いつの間にか大型のショッピングセンターができていて、昔の面影は跡形もなく消えてしまった。
だけど――この場所だけは変わっていない。
八月の焼けつくような陽射し。白く波立つ海。ひと気の少ない砂浜。
この場所だけは、あの頃と何も変わっていなかった。
「……汐里?」
バスを降り、国道から砂浜を見下ろしていた僕は、波打ち際に立つ人影に目を凝らした。
背中を向けていたけれど、ほっそりとした体の線も、柔らかそうな髪質も、背の高さも雰囲気も、僕が一度だけ抱きしめたことのある汐里と、とてもよく似ていた。
「ママぁー」
かすかに子どもの声がする。波打ち際の彼女が振り返り、よちよち歩きで近づいてきた子どもを満面の笑顔で抱きしめる。
子どもの後ろから、男の人が歩いてきた。彼女と何か会話を交わし、子どもを真ん中にして、三人手をつないで歩いてゆく。
小首をかしげるようにして、彼と話をしている彼女。子どもに見せる穏やかな微笑み。
彼女は――いや、汐里は、とても幸せそうに見えた。
「柊斗ー」
僕の背中に声がかかる。ペットボトルを大事そうに抱えた僕の彼女が、真夏の太陽の下を駆けてくる。
「そこの自販機、スポドリ売り切れだったー」
そう言いながら、スポーツドリンクを目の前にかざす彼女。その額には汗がにじんでいる。
「だからコンビニまで行ってきた」
「コンビニまで? 他のものでいいのに」
「いいの、いいの。あたしも飲みたかったし」
にっこり笑って、彼女が隣でキャップを開ける。こくんと喉を鳴らして一口飲むと、はいっ、と僕の前に差し出した。
「サンキュ」
「どういたしまして」
冷たいドリンクを口の中へ流し込む。それと一緒に、高ぶりかけていた想いも、すうっと喉の奥へ吸い込まれていった。
「気持ちいいねー。やっぱり水着持ってくればよかったかなぁ」
潮風に短い髪をなびかせながら、海に向かって彼女が言う。
「ここは泳いじゃいけないんだよ」
「そうなのー? じゃあ、今度は泳げる海に行こうよ」
「そうだね」
「あたし、お弁当作ってあげる!」
はしゃぐようにそう言って、僕に笑いかける彼女。この笑顔に、僕は今まで救われてきた。
「サンドイッチがいいな」
「タマゴサンドでしょ? わかってる」
どちらともなく指を絡ませ、見つめ合って笑い合う。今度は僕が、彼女を幸せにしてあげる番だ。
手をつないで二人で歩いた。一度だけ振り返った海辺に、汐里の姿はもうなかった。
――汐里が幸せなら、それでいい。お前だって、そう思ってるんだろ?
ふと見上げた夏の空。真っ白な入道雲の向こうで、蓮が満足そうに、笑っているような気がした。