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黒い夢と白い夢Ⅳ ――動乱の世界――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第10章 弱者の反撃 ――ホープ州――
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第34話 終わらないモノはない

 【商業都市ポートシティ ポート州庁】


 氷覇本部の戦いで重症を負った私は、商業都市ポートシティへと運ばれていた。3日ぐらい気を失っていたらしい。

 ホープシティは陥落。連合政府リーダーにして世界銀行「マネー・インフィニティ」の総帥であったディランスはホープシティ警備軍の兵士たちによって殺された。自分が今まで虐げてきたホープ州の人間に……

 これでパスリュー州、テクノ州、フランツー州、グランド州、ポート州、サフェルト州、ホープ州から連合政府勢力はほとんど排除された。


「パトラー将軍、戦争は終わるでしょうか……?」


 側にいたフェスター議員が声をかけてくる。彼は国際政府の元老院議員だ。もうすぐ辞職するらしい。


「……もうすぐ春ですね」


 私は窓からポートシティを見ながら呟くように言う。気が付けば冬も終わりだ。あと数日で4月になる。温かい風が吹いている。


「終わらない冬はない。終わらない夜も」

「終わらない戦争もない、と?」


 私は無言で頷く。

 終わらない戦争はない。この戦争で、何もかもが壊れてしまった。あらゆるものが犠牲になった。これ以上、壊さないように、犠牲にしないように、終わらせないと。


「……国際政府マグフェルト総統は戦争の継続を発表したようです。連合政府も同じくして徹底応戦を続けると」

「和平は禁句タブーかな?」

「ええ、彼らは貪欲な利権の為に戦争をしていますから」


 フェスター議員は哀しそうな目で言う。彼もいい人だ。弱い人々のことをずっと考えてきた。そのせいで、あらぬ疑惑をかけられ、議員辞職になった。


「そういえば、大陸西部・中部7州の復興・防衛・統治を目的とした臨時統治機構――臨時政府を設立するそうですね。わたしがここにいる理由もそこにありますが……」


 世界は全部で16州に分けられている。私たちが今現在管理している州は全部で7州。国際政府がグリード州・ステイラル州・コールド州の3州。連合政府がレーフェンス州とティト州の2州。ファンタジア王国という国際政府から離脱した国家がファンタジア州、プレリア州、クロント州の3州。レート州は連合政府と国際政府が奪い合っている。

 この内、私たちが今もっている7州の復興・防衛・統治を目的とした臨時統治機構の案が今挙がっている。


「当然、クェリア将軍は反対していますが、マグフェルト総統が賛成ですので、恐らく認可されるかと……」

「…………。終わらないモノはない」


 私は再び呟くように言った。冬も夜も戦争もいつか必ず終わる。そして、国家も……



◆◇◆



 【連合政府首都ティトシティ ヴォルド宮 最高司令室】


「司令艦6隻、コア・シップ37隻、軍艦89隻、上陸艦113隻がクラスタ率いる軍勢によって失い、バトル=アルファなど軍用兵器に至ってはもはや計算不可能なほど……」


 私はティワード総統の側でプロヴィテンス中将の報告を聞いていた。クラスタが考えた一連の大陸西部・中部の制圧作戦によって、私たち連合政府は大陸7州を失った。その際に、無数の軍用兵器や軍事施設も奪われている。そこにあった軍用物資も失った。


「国際政府はクラスタ・パトラーを強く警戒。ファンタジア王国も同じく」

「パトラー率いる勢力が急速に拡大したのは、何も偶然ではない。あの女のこれまでの戦いが、意味なき戦いでなかったという事が証明されただけよ……」


 ティワード総統は机に肘をつきながら、重苦しそうに話す。クラスタとパトラーのことが頭に残っているんでしょうねぇ…… 私は内心ニヤニヤしながら彼を見ていた。


「国際政府マグフェルトはクラスタ・パトラーの臨時政府を認可する方針。財閥連合・腐敗議員と僅かに残った清廉派議員も臨時政府設立法案には反対のようですが……」

「国際政府は多くの法改正・憲法改正でもはやマグフェルトの独裁国家。財閥連合と腐敗議員どもはカネで態度を変えるであろう。クラスタとて根回しはしてあるハズ」


 薄暗いヴォルド宮の最高司令室は、重苦しい空気も手伝って、ますます重く暗いものになる。実際には明かりの強さは変わっていないケド。

 単純に考えて、支配領域がもっとも広いのは臨時政府(クラスタ・パトラー勢力)。人心の支持を最も得ているのも、臨時政府勢力。それに加えて、クラスタやスロイディアといった人材も揃っている。

 ところが、軍事力は微妙なところだ。軍事力だけは国際政府・連合政府が未だに強い。


「臨時政府勢力こそ最大の敵…… なんとかせねばなるまい」

「では、議会を召集しては如何ですか?」


 私がようやく意見を1つ出す。


「……ふむ、それがよいかも知れぬな。ヒライルー議長、すぐに連合政府リーダーたちを召集せよ」

「イエッサー」


 私はそう言うと、ヴォルド宮の最高司令室から出る。親衛クローン兵の並ぶヴォルド宮の廊下を歩いていると、待ち構えていた財閥連合総督のコマンドが歩み寄ってくる。


「まだ戦争は継続するのか?」

「ええ、もちろん。まだまだ世界中に私たちの製品を売りつけられるわ」

「それは結構だが、軍用兵器の生産が追い付かん」

「そうね、ひとまず私たちは“休憩”しましょう」

「きゅ、休憩だと? どうやって休むと申すのだ?」


 私はさっと斜め後ろを歩くコマンドの方を見る。


「臨時政府とファンタジア王国で殺し合わせればいいのよ。どうせ最後に勝つのは――」

「我ら財閥連合…… フフッ」


 コマンドは薄気味悪い笑みを浮かべ、小躍りするように私から離れていく。――貪欲なだけの、愚かな男。残念ね。
















































































 ――最後に勝つのは、私“だけ”なのに。

 <<連合政府リーダーたち>>


◆ティワード(男性/52歳)

 ・連合政府の総統グランド・リーダー


◆バトル=オーディン

 ・七将軍の1人にして連合政府リーダーの1人。

 ・機械の将軍で、六刀流の剣士でもある。


◆ケイレイト(女性/24歳)

 ・七将軍の1人にして連合政府リーダーの1人。

 ・風のパーフェクターで、ブーメランを武器に戦う。


◆メタルメカ(男性/30歳)

 ・七将軍の1人にして連合政府リーダーの1人。

 ・装甲服で身を包んだ身体能力の高い男性。

 ・“メタルメカ”は本名ではなく、コード・ネーム。


◆アヴァナプタ(女性/23歳)

 ・七将軍の1人にして連合政府リーダーの1人。

 ・鉄扇を武器に戦う。


◆プロパネ(男性/23歳)

 ・七将軍の1人にして連合政府リーダーの1人。


◆キャプテン・ヒュノプス(22歳)

 ・七将軍の1人にして連合政府リーダーの1人。

 ・クローン軍(アレイシア軍)の指揮官。


◆ヒライルー(女性/21歳)

 ・連合政府議会の議長にして連合政府リーダーの1人。

 ・総合企業「ビリオン=レナトゥス」の総帥。

 ・世界各地に武器・弾薬・医薬品や軍用兵器・クローン兵・生物兵器を売り、利益を上げている。


◆ホフェット(男性/43歳)

 ・連合政府リーダーの1人。

 ・アポカリプス北部を支配する「バトル・ライン」の総帥。


◆コマンド(男性/57歳)

 ・連合政府リーダーの1人。

 ・表向きは戦争中立の「財閥連合」の総督。

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