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黒い夢と白い夢Ⅳ ――動乱の世界――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第10章 弱者の反撃 ――ホープ州――
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第32話 戦死と悲劇と英雄

 【ホープ州 テトラル本部 テトラル御座(最高司令室)】


 機械の軍団に支配されていたテトラル本部を制圧した私たちは次の作戦を練っていた。ホープ州の大部分が機械の兵団によって支配されている。有能な指揮官も特にいない。ほとんどがバトル=アレスやバトル=アテナといった機械兵器が部隊を指揮している。


「すでにハーベスト地方も陥落」


 私たちとは行動を別にしているスロイディア将軍の第3兵団、ジェルクス将軍の第8兵団、クラスタの第4兵団がホープ州の他の地域を攻撃。私はホーガム将軍とクディラス将軍と共に、第11・2・6兵団を率いてホープ州南東部を攻撃していた。


「それでは、当初の予定通り、クディラス将軍とホーガム将軍がこのまま南進し、ホープ州南部を完全に制圧してください」

「了解、パトラー将軍」

「よし、任せろ」


 私たちはクラスタの立てた作戦通りに攻撃を進めていた。これからホーガム将軍とクディラス将軍がテトラル本部からホープ州南へと進み、連合政府勢力の排除、ホープ州民の難民支援を行う。

 だから、2人とはここでしばらくお別れだ。なぜなら、私はこれから北進して、ジェルクス将軍と合流し、氷覇本部を攻撃するからだ。


「では、次はホープシティで会いましょう」


 私はそう言って、最高司令室から去る。もしかしたら、2人の顔を見るのは、これが最後になるかも知れない。戦乱の時代は、そういう時代だった。

 1ヶ月半前、ここで死んだクリスト将軍は強い軍人だった。12人いた将軍たちの中で4人しかなれない四鬼将の1人だった。それはバシメア将軍にもいえる。彼も四鬼将だった(ちなみに、残りの2人はクディラス将軍とクェリアだ)。

 どれだけ強くても、戦死という死はあり得る。戦死して英雄になっても、仲間や家族は悲しむ。戦死は悲劇だ。例え、それで戦争の英雄になっても……





 【ホープ州 氷覇本部】


 テトラルを飛び立って3日後、私はジェルクス将軍の部隊と合流し、氷覇本部に近づきつつあった。辺りは、晴れてはいるが、雪山が多い。氷覇本部はその雪山のど真ん中に建設された施設だ。その山の中の施設はコア・シップ1隻、軍艦6隻によって守られていた。


「パトラー将軍、敵はバトル=アテナの指揮する部隊です」


 私は無言で頷く。相手は大したことないのかも知れない。ところが、問題はこっちの兵力だ。こちらは中型飛空艇3隻しかない。

 テトラル本部のときもそうだったが、今回の攻撃は圧倒的に兵力が少ない。その理由は、大陸西部6州の復興作業・人道支援・防衛に大部分の兵を回していたからだ。


「軍艦は基本的に最高司令室を破壊すれば、機能を失います」

「ええ、それは分かっています。しかし、最高司令室はシールドも厚く、簡単には破壊できません」


 ジェルクス将軍のいうことは合っているだろう。そう、それが問題だ。いや、そうでもないか?

 私はジェルクス将軍に兵の指揮を任せると、さっさと最高司令室から出ていく。敵の指揮官がどこにいるのかは予測がつく。あのコア・シップ上部からやや突き出た感じに設置された最高司令室だ。

 私はデルタ型の小型戦闘機に乗る。氷覇本部の制圧に時間はかからない。これ以上、死傷者も出さない。


「さて、と」


 私は小型戦闘機を発進させ、外に飛び出す。中型飛空艇からどんどん遠ざかっていく。向かう先は当然、コア・シップ。軍艦の艦隊。氷覇本部だ。

 私が近づくと、軍艦の艦隊は慌てて攻撃を始める。軍艦やコア・シップに取り付けられた砲身から砲弾が飛んでくる。小さい機体の私は、それらを軽々と避ける。そして挑発するかのように軍艦やコア・シップの周りを虫のように飛び回る。

 すると、砲弾では私を殺せないと判断した連合軍は、バトル=スカイを飛空艇内から飛び立たせる。楕円形の機体の側面にマシンガンを付けた小型戦闘機。


「よし!」


 私はそれを見逃さなかった。素早く軍艦の前頭部を目指す。ガラス張りの最高司令室に接近すると、それに向けて砲撃する。やや小型の砲弾は、ガラス張り最高司令室を木端微塵にする。最高司令室を吹き飛ばされた軍艦は、急に高度を下げ、雪山に墜落する。

 続けて、コア・シップに接近する。さっきの軍艦と同じように、ガラス張りの最高司令室に砲撃する。ガラスが砕け、機体からやや突き出たその部屋は吹き飛ぶ。球状の飛空艇も高度を徐々に下げ、墜落する。

 コア・シップや軍艦は普段はシールドに包まれている。ところが、バトル=スカイなどの飛行戦闘機を出すときは、シールドをカットしなければならない。私はそれを狙っていた。


「ジェルクス将軍、敵の指揮官を倒しました。攻撃をどうぞ」

[さすが、見事な腕前です。全艦、攻撃に移れ!]


 味方の中型飛空艇も動き出す。この時、残っていた5隻の軍艦は指揮官を失い、個々に動き始めていた。勝手に進みだす軍艦。勝手に撤退を始める軍艦。その場に留まっているだけの軍艦。

 私はそんな軍艦の最高司令室を攻撃する。1隻の軍艦の最高司令室が吹き飛ぶ。続けて、もう1隻の軍艦を攻撃する。


「…………!」


 だが、2隻の軍艦を破壊し、合計で4隻の軍艦を墜落させた時だった。後ろから私を執拗に追撃する1機のバトル=デルタに、私の小型戦闘機は攻撃を受ける。


「ヤバい……!」


 直撃はしなかったが、私の小型戦闘機は、機体右後方から火を噴く。そのままバランスを崩し、くるくると回転しながら、私を乗せた機体は雪山へと突っ込んだ――

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