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黒い夢と白い夢Ⅳ ――動乱の世界――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第7章 侵略の悲劇 ――ホープ州――
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第22話 ホープ州の動乱

 侵略の悲劇。


 今日は生きれた。


 だが、明日も生き延びれるとは限らない。



 平和なときはどうだったか?


 明日、死ぬと予測していただろうか?



 人々は、今日も侵略の恐怖に怯える。


 漆黒の冷たい鋼の軍勢が押し寄せる恐怖に、今日も怯える。



































































 【ホープ州 ハーベスト地方】


 それは、突然のことだった。


「プランナー長官!」


 部下の1人が、わたしの執務質へと飛び込んでくる。と同時に、外から飛空艇の音が入ってくる。重苦しい、不気味な戦争の音が――

 わたしは慌てて窓のカーテンを開ける。そこには、太陽の光を遮り、曇りつつある空から、2枚の翼を有する黒色の飛空艇――上陸艦が、ハーベスト大地へと降りてくる姿があった。


「長官、アレは連合軍の――」

「分かっておる……」


 軍艦が6隻、コア・シップが1隻。上陸艦は10隻もある。それらは、次々とハーベストの大地へと降りてくる。自然の木々を破壊しながら、着陸する。上陸艦正面の大きな扉が開かれ、中から浮遊戦車やバトル=アルファ、バトル=ベータが次々と出てくる。

 白色の装甲服を着たハーベスト警備軍の兵士たちが、アサルトライフルを持って立ち向かうが、敵は数が多すぎる。彼らは瞬く間にやられていく。中には、取り囲まれ、降伏する兵士もいた。

 その内、バトル=メシェディやバトル=ガンマといった上位機種のロボット兵まで現れ、ますます状況は悪化していく。

 ――勝敗は僅かな時間で決まった。





 黒い服に白いマントを纏った男――連合軍のプロヴィテンス中将が、機械の兵士どもによって捕えられたわたしの前に立つ。


「このホープ州はディランス閣下の支配下に置かれることとなった」

「そう、ですか…… ディランス閣下はこのハーベストをどのようにするおつもりですかな?」

「ここは連合軍直属の軍用兵器工場とする」

「…………!」


 予測していた答えではあった。だが、それでもわたしは拳を握り締め、唇を噛み締められずにはいられなかった。ハーベストの自然が破壊される!


「お前の言いたい事は分かっている。せめて、“それ”を見せずに、死なせてやろう」

「……プロヴィテンス、お前たちの横暴も長くは続かないぞ。いずれ、パトラー将軍やクォット将軍らがお前を――」


 卑劣な連合軍の中将は、わたしの言葉が終わらぬ内に、手にしていたハンドガンをこちらに向ける。もはや、これまで……

 わたしが目を閉じると同時に、ハンドガンから銃弾が放たれ、私の頭を撃ち抜いた――



◆◇◆



 【ホープ州 封鎖区域テトラル】


 突然、空から現れた連合軍の大軍。何十隻もの軍艦の大艦隊。そこから切り離された上陸艦が、封鎖区域テトラルに着陸する。

 俺の部下たちも必死に応戦するが、もはや兵力が違い過ぎる。相手は何十万もの大軍だ。


「クリスト将軍、敵の指揮官はアヴァナプタ将軍とプロパネ将軍です!」


 ポルト少将が報告する。そうか、連合軍の将軍が現れたか。これは予測していなかった。アヴァナプタも、プロパネも、大陸西部のテクノ州・グランド州・フランツー州・サフェルト州の4州を中心に活動する将軍だ。それが、なぜ大陸中部に……


「あれだけの大兵力…… 西部戦線はどうなったのでしょうか?」

「西部戦線のサフェルト州には俺の本隊がいたハズだ」


 本隊からは何も連絡はない。ということは、異常なし、のハズだ。……それか、全員皆殺しにあったか、だ。

 だが、どう考えても西部戦線が陥落したなど考えられない。1ヶ月前、グランドシティに攻め込んだコスモネットはパトラーによって殺害されている。先日も、シリオードにてギャラクシアが死亡したらしい。

 すでに、西部戦線では連合軍は劣勢だった。その連合軍が、西部戦線全域を制圧できるハズがないのだが……


「まぁいい。また俺が全部、叩き切ってやるゼ」


 俺は槍と斧を足したような武器を手に取ると、最高司令室から出て、スピーダー・バイクに乗る。戦場に飛び出すと、黒い兵団に向かって槍斧を振り回す。何十機ものバトル=アルファが斬り裂かれる。

 だが、数が多すぎる。すでに、テトラル軍事基地は囲まれている様だった。何十万ものバトル=アルファやバトル=ベータによって、攻撃されている。部下が、次々と殺されていく。


「フフ、クリストを殺せ!」


 蒼色の衣服を纏った褐色の肌をした女性が叫ぶ。連合軍・七将軍の1人、アヴァナプタだ。鉄扇を武器にする女だという。

 俺は彼女を捕まえようと、スピーダー・バイクをそっちに向ける。その時、浮遊戦車から放たれた砲弾がすぐ近くに着弾し、俺はスピーダー・バイクから放り出される。更に別に砲弾が、着弾し、数人の部下を吹き飛ばし、俺のスピーダー・バイクを破壊する。


「クッ……!」


 俺はすぐに立ち上がる。周りは黒い機械の兵団で埋め尽くされていた。彼らは、自分たちの攻撃が仲間に当たる事も気にせずに、激しい攻撃を繰り返していた。

 スピーダー・バイクから放り出された時に槍斧を失った俺は、素早く剣を引き抜き、近くにいた数体のバトル=アルファを斬り壊す。

 だが、それも長くは続かなかった。銃弾が俺の脇腹を貫く。当時に、背中に2発の銃弾が直撃する。それでも、俺は剣を振り、歩み寄ってくる機械兵士を斬り壊す。


「ハハッ、クリスト、お前もこれまでだな!」


 アヴァナプタが先端のとがった鉄扇を俺の胸に勢いよく突き刺す。バトル=アルファやバトル=ベータが、俺の身体を何発もの銃弾で撃ち抜く。突き刺さったままの鉄扇が、勢いよく開かれる。鋭い刃を持つ鉄扇によって、体内を斬られる。


「グッ、ゥ!」


 バトル=メシェディのナイフが背中に突き刺される。アヴァナプタが、2つ目の鉄扇を俺に突き刺し、体内で広げる。真っ赤な鮮血が身体中から噴き出て、辺りの地面を赤に染め上げる。

 中々死なない俺の頭に銃口が押し当てられる。クソッ、俺も、ここまでか――

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