第10話 アレイシア・クローン軍の集結
※人名が多く出ますが、覚えなくてもストーリーを読む上で差し支えはありません。
仲間を愛する心は、多くの者が持つ心だ。
それは例え、“人工の生命”であっても同じこと。
ラグナロク大戦勃発より使い捨てられる『私の』クローンたち。
そんなクローンたちは今日も戦う。
それは自分はもちろんのこと、他の姉妹を想って、戦いに身を投じる
クローンは皆、姉妹。
クローンたちの多くが考えていたことだった――
【アレイシア本部 飛空艇着陸場】
黒い軍艦が1隻、飛空艇着陸場に降りてくる。機体側面の扉が開き、黒色をした平ぺったい上陸用スロープが伸びてくる。その奥からアサルトライフルを持ち、黒いレザースーツを着た何百人ものクローン兵が隊列を整えてこちらへと行進してくる。
「キャプテン・フィルド将軍、コマンダー・パントナ准将の部隊が着陸しました。また、コマンダー・サキア少将率いるシリオードの部隊は全て撤収完了し、こちらへとやって来ております」
私は声をかけてきたコマンダー・ネイア准将に手で合図する。合図を受けた彼女は素早く一礼して去って行く。彼女の後ろから今度はコマンダー・コミット少将がやってくる。
「キャプテン・フィルド閣下、先ほどコマンダー・エル少将とコマンダー・スー少将を筆頭に、コマンダー・ファイス准将、コマンダー・アース准将、コマンダー・オート准将、コマンダー・ケイ准将、コマンダー・キャタック准将の部隊がアレイシア空域防衛の配置に付いたようです」
「アレイシア基地内の要塞外部防衛部隊は?」
「コマンダー・ネリア少将とコマンダー・リン少将を筆頭に、コマンダー・カーナ准将、コマンダー・コード准将、コマンダー・ティーヌ准将、コマンダー・レッセ准将、コマンダー・ハル准将が配置に……」
私は再び飛んでいく黒色の軍艦を目にしながら、コマンダー・コミットの話を聞いていた。
今、国際政府の軍はクローン兵の製造を止める為に、クローン研究所とクローン製造・育成所のあるこのアレイシア本部を攻撃しようとしていた。
アレイシア本部が攻撃され、破壊されれば、もうクローンは製造出来なくなる。そして、アレイシアという拠点を失った私たちクローンは住む場所がなくなる。
「アレイシア要塞内の第1防衛は、コマンダー・カポナー少将を筆頭に、コマンダー・ポートリア准将、コマンダー・フェス准将、コマンダー・ツーラ准将、コマンダー・ロー准将、コマンダー・コモー准将を命令通り配置」
私たちを生み出した連合政府は、かつて私たちを奴隷のごとく扱った。何万もの姉妹たちが人体実験や性奴隷にされ、無残に殺された。
今、連合政府が私たちを奴隷として扱えないのは、アレイシア本部を中心に、強大な軍事力を誇っているからだ。
アレイシアを失い、数を減らせば、貪欲な連合政府は再び私たちを奴隷にするだろう。彼らは弱者を人とみなさない。
「第2防衛は、先ほど到着の連絡があったコマンダー・サキア少将を筆頭に、コマンダー・レポンス准将、コマンダー・クーウェイ准将、コマンダー・レス准将、コマンダー・ラベンダ准将、コマンダー・キャーテム准将を配置完了」
国際政府は連合政府より多少はマシなのかも知れないが、それでも私たちの扱いはさほど変わらないだろう。
特にこれから攻撃してくる政府特殊軍将軍のクェリアはあちこちで殺戮を繰り返しているという(しかも、彼女の不信任案は元老院議会で否決された)。
「アレイシア空域防衛――前衛として、司令艦5隻、重甲軍艦10隻、軍艦60隻。……少し多すぎじゃないですか? 私たちが新しく開発した重甲軍艦まで配備されていますが……」
コマンダー・コミット少将の疑問はもっともだろう。だが、相手はクェリア将軍、スロイディア将軍、クォット将軍の3人だ。万が一、アレイシアが陥落すれば……
「中将2名、私を含め少将7名、准将20名。クローン兵員は80万。明らかに数が……」
「…………」
……私は奴隷になった姉妹をたくさん見てきた。私自身、奴隷同然の扱いをされ続けた。戦争勃発後に生み出され、ここで育ったコマンダー・コミットは比較的いい扱いをされたハズだ。
奴隷の扱いをされた私からすれば、あの頃に戻ることは、恐怖以外の何物でもない。あの頃の記憶は、まだ心に深く残っている。
その不安を払しょくするかのように、私はアレイシア本部にクローン軍を収集させた。……それでも、まだ不安は拭いきれない。
私はコマンダー・コミットと共に空を見上げる。灰色の重苦しい雲が立ち込めている。遠くには小さな粒のような軍艦が無数に浮かんでいる。
もうすぐ政府軍がやってくる。ワープを繰り返し、着々とアレイシアを目指している。私たちを滅ぼしにやってくる。
「しかし、なぜ急に政府軍はアレイシアに目を付けたのでしょうか? そんなに私たちが怖いのですか?」
「…………」
……アレイシア攻撃を招いたのは、強くなり過ぎたクローン軍のせいだろう。1人1人が強いクローン兵。それが私の傘下にある部隊だけで、今や100万人以上存在する。強大化する私たちを、政府軍は恐れている。これ以上、強くなる前に、滅ぼそうというのが狙いだろう。
連合政府に奴隷扱いされるのがイヤで、強くなったのに、そのせいで政府軍の攻撃を招くことになるなんてな……
「キャプテン・フィルド将軍っ、政府軍がアレイシア北部に一斉に出現しましたッ!」
「……始まるぞ。私たちの運命を分ける戦いだ」
【クローン軍について】
連合政府では、フィルド=ネストという女性をオリジナルとしたクローン軍を有しています。 ※フィルド=ネストとキャプテン・フィルドは別人。
そのクローン軍は全部で4タイプ。以下でそれぞれの解説をします。 ※読み飛ばしても問題はありません。
<<アレイシア・クローン軍(ヒュノプス・クローン軍/連合軍第2e兵団)>>
◆指揮官:キャプテン・ヒュノプス(別名キャプテン・フィルド)
◆兵員数:140万
◆本拠地:アレイシア本部
◆保有飛空艇
・司令艦:5隻
・コア・シップ:30隻
・重甲軍艦:15隻
・軍艦:100隻
◆将官
・中将:2名
―コマンダー・サーラ
―コマンダー・レベッカ
・少将:7名
―コマンダー・エル
―コマンダー・スー
―コマンダー・ネリア
―コマンダー・リン
―コマンダー・カポナー
―コマンダー・サキア
―コマンダー・コミット
・准将:21名
―コマンダー・ファイス
―コマンダー・アース
―コマンダー・オート
―コマンダー・ケイ
―コマンダー・キャタック
―コマンダー・カーナ
―コマンダー・コード
―コマンダー・ティーヌ
―コマンダー・レッセ
―コマンダー・ハル
―コマンダー・ポートリア
―コマンダー・フェス
―コマンダー・ツーラ
―コマンダー・ロー
―コマンダー・コモー
―コマンダー・クーウェイ
―コマンダー・レス
―コマンダー・ラベンダ
―コマンダー・キャーテム
―コマンダー・レポンス
―コマンダー・アキ
<<セネイシア・クローン軍(ヒーラーズ・グループ保安軍/連合軍第3b兵団)>>
◆指揮官:セネイシア
◆兵員数:120万
◆本拠地:ダーク・サンクチュアリ本部
◆保有飛空艇
・司令艦:5隻
・コア・シップ:20隻
・重甲軍艦:0隻
・軍艦:40隻
◆将官
・中将:7名(七衛士)
―キャプテン・エデン
―コマンダー・レーリア
―コマンダー・フェール
―コマンダー・アーカイズ
―コマンダー・ソフィア
―コマンダー・クリア
―ハンターZ型
※詳しくは「夢Ⅳ」をご覧ください
<<パスリュー・クローン軍(ケイレイト・クローン軍/連合軍2b兵団)>>
◆指揮官:ケイレイト(女性/風のパーフェクター)
◆兵員数:10万
◆本拠地:パスリュー本部
◆保有飛空艇
・司令艦:1隻
・コア・シップ:5隻
・重甲軍艦:0隻
・軍艦:20隻
◆将官
・中将:0名
・少将:2名
―コマンダー・レク
―コマンダー・クラッジ
・准将:3名
―コマンダー・ヴィクティム
―コマンダー・ディメント
―コマンダー・サクリファイス
<<バトル=オーディン軍・クローン部隊/連合軍第2a兵団>>
◆指揮官:バトル=オーディン
◆兵員数:1万
◆本拠地:連合政府首都ティトシティ 軍事総本部
◆保有飛空艇
・司令艦:7隻
・コア・シップ:30隻
・重甲軍艦:5隻
・軍艦:70隻
◆将官
・中将:1名
―コマンダー・ライカ
・准将:1名
―コマンダー・コルボ




