Chapter1-3
俺が住むエリアは中部都市を中心に大きく分けて東西南北、四つに発展している。
中部都市以外は法を準する支配者がいない為、ルールが曖昧だ。
お目当ての物を戴いた先は『エディゴクラン』。自分の名前をクラン名にするとは、随分と酔狂な奴だが、この都市の中では四番目あたりに有名なクランだ。あんなことになっていたが、その手腕は恐れるべき存在だ。
さて、そんな相手に手を出す理由としたら、おいしそうな話が舞い込んだからに変わりない。
「にしても、鍵とメモだけってのは不安だなぁ」
「なんでだよ。俺っちの情報を信用できないっていうのか!?」
「いや、ツトムが持ってくる情報の三割は割に合わないじゃねーか」
自ら仕入れた情報を元に稼ぐ俺と、こそこそと立ち回って情報を掴むツトムとでは、情報の質が違う。簡単かと思われる依頼も情報不足で危険に晒されることなんてザラだ。それでもツトムの情報を買うのは、情報料が安いのと大アタリをもってくるからの他にない。
「そのくらいで腹立てるなって。今回は絶対に大アタリだよ。あのディエゴが直接、路地裏で大金と引き換えに鍵を買い取っているのを見たんだからな」
「あのディエゴが自分の足で取引する物が鍵ってのは臭いけどよ? 逆に鍵ってのが不安を掻き立てるんだ」
「大ハズレは、万が一にもないさ。もし大ハズレだったら情報料はタダにしてやるよ!」
「単に窓拭きのアルバイトをしていたら、特ダネが入っただけだろ……」
そんな運を含め、ツトムは情報屋が天職に違いないとは思うのだが、常に不安を伴うのは日頃の経験が物を言っているのだろうか。
ちなみに拠点は東にあたるアイザックという名の都市にある。