唐辛子じゃハラは膨れねえんだぜという話
今年の春に、唐辛子での村興しを平田村に行って触れ、軽くていい作物だから自分で作ってみるかという思いつきをしてから早や半年が経った。
ホームセンターで種を買い、芽出しをして育てた、鷹の爪唐辛子、しめて15株。今となってはもうちょっと間引きを緩くして20株を超えるくらいにすればよかったなあとか、そんな事を思う。
まあ語り出しからそうそう脱線していることもないだろう。このワンシーズンを通して学びたかったのは、「果たして唐辛子は、作って売るのに割のいい作物なのかよ?」という、その一点に尽きる。もしもこんなに軽くて収穫も楽な作物で、お金がちゃんとした額懐へ入ると言うならそんなに素晴らしいことはない。
ないのだが。まあ、結論からいこう。唐辛子で身を立てるのはどうにも無理なようだ。それが私の結論だ。初期投資は低いし、薬代もごく安い。支柱にくくってやる程度の手間はあるがその程度で、あとは何も難しいことはない。
だが、問題は販路だ。当然のことだが、唐辛子を毎日丼1杯食べる人などいないのだ。
私は特に品質を高く揃えられないため、売るときの値段は全くの格安だ。具体的に言えば30g入って税込み94円、唐辛子の本数で言えば7本前後だ。見ているぶんにはとても美しい鮮やかな赤で、いじるのには楽しい。それを来る日も来る日も袋詰めにして直売所へ持っていくのだが、とうぜんそれは売れ残っていく。当たり前だ。誰がそんなに唐辛子を使うというのか。1世帯の年間消費量などたかが知れている。
確かに軽いし、作るのもらくちんだ。その上で言おう。唐辛子じゃハラは膨れない。もっと通年で見た時金になる作物でなければこちらが干し唐辛子になってしまう。現在売り始めから2カ月でようよう1万円……資材代を考え出すと自身の心を守るべく意識が混濁してくる。よくわかんないけど赤字かも。たぶんね。
唐辛子と比較するなら同じナス科のピーマンだが、こちらはたった二株でひと夏3万円ほど稼いでくれた……もうやめよう。唐辛子たちだって頑張ったのだ。数字で比較していると唐辛子が報われない。苦手分野で精神を殴打されるのは人間だけにすべきだ。植物にその業をおっかぶせてはならない。
とまあ、意味のない嘆き節もたくさん入ったが、唐辛子は売り込みのできる明確な強みでもない限り、お小遣いにすらならなさそうだ。それこそハバネロで売り出した平田村は大成功だったと言えるだろう。
辛酸をなめるとはよく言ったもの。甘い考えをする人間には現実が容赦なくその辛さを叩き込んでくる。今回の一件はやはりそういう意味でよい勉強になった。もっとも、新しいことにチャレンジし続けないなら人間など死人と大差ない。来年はどんなバカをやろうか。
繰り返しになるが本当に、唐辛子を売ってみようかなどという発想は甘かったと徹底的に現実に叩き潰された秋だった。勉強は時として痛い目を見るものだ。
まあいい。新鮮な唐辛子は香りがいいのは確かなので、甘口の麻婆豆腐にでも刻んで入れて楽しんでしまおう。




