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短編

コンビニの灯りが世界のすべてだった夜

作者: 月蜜慈雨
掲載日:2025/11/06




 今日も寒い。

 寒風は身体だけではなく、心まで冷え切ってしまいそうだ。

 無意味にコートの前を塞ぐ。寒さへの、心理的な抵抗。

 ついでにお腹も空いている。




 足早に帰路に着いてると、煌々と灯るコンビニが見えた。

 一時でもいいから、この冷たさから逃れたくて、コンビニに入る。

 気の抜ける、バイトのいらっしゃいませーの声と、温かい温度がなんだか身に沁みた。




 棚にある食品を物色する。お腹が空いているのに、何も買う気にもなれない。寒さのせいで食欲まで無くなってしまったのかもしれない。




 ふとカウンターを見ると、おでんが売っていた。

 もうそんな季節か。

 ふいに可笑しくなった。

 いつの間にか、季節がひとつ過ぎていた。

 私が仕事に忙殺されている間に、コンビニではおでんが売られる季節になったのだ。




 うん、おでんを買おう。

 私はカウンターに行って言った。




「すみません。おでん下さい」

「何にしますかー?」

「たまごと、大根と、こんにゃくと、ウインナー巻きください」

「はーい」




 バイトが慣れた様子で容器におでんを入れ、汁を流し込み、蓋をする。

 手渡された袋から、温かい物が込み上げてくる。




 お会計が終わった後、バイトがポツリと言った。




「外、寒いですか?」

「え、あ、はい」

「そうですか。お疲れ様です」

「あ、ありがとうございます」




 思わずバイトの目を見た。お互い疲れている顔をしていた。




 コンビニを出る。

 また寒風が身体に叩きつけられ、手指がツンと冷たくなる。




 でも心は、なんだか温かいままだった。









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