決着
「だって……」
智樹の表情が一瞬曇る。
「孤独だったからさ」
「孤独……?」
「この世界に来て数百年……誰も理解してくれない。しても先に死ぬ」
智樹の剣が重くなる。
「だから……キャラが排出されるのをずっと待ってた」
「だからってこんな……」
「もしかしたら、僕たちは分かり合えたかもしれないね、でもまぁ僕は不老だから君は老いてさっさと死ぬから意味ないなって思っちゃった」
智樹がレンに突進する。
「もう終わりにしたいんだ」
「終わりじゃない!」
レンが叫んだ。
「この世界も……あなたも……終わらせちゃいけない!」
レンの剣が智樹を貫いた瞬間……
逆にレンの胸にも剣が突き刺さる。
二人は同時に崩れ落ちた。
***
闇の中で……
レンは智樹の記憶を見た。
元の世界では普通の高校生だった智樹。
突然の異世界召喚
人間兵器として過酷に何十年も過ごした
そして良心の呵責に耐えられなくなり自分を呼び出した存在すらも消した。
その後も数百年の時を経ても老いる事もなく、元の世界へ帰る事もできず彷徨う
気のあった仲間は皆老いて死に……
孤独に耐えられなくなった彼……
「ごめん……」
智樹の声が響く。
「こんなことに付き合わせてしまって……」
「あなたは……元の世界に帰りたかったんですね」
レンが涙を流す。
「そうなのかな……『不死』じゃないから死ねばいつでも終われたんだ。でもそれをしなかった……何故なんだろう」
智樹の声がかすれる。
「……もう何もわからないんだ」
「僕は……本当は何者なんでしょうか」
レンが問いかける。
「それは……」
智樹の声が優しくなった。
「君が決めればいいんじゃないかな」
眩い光が煌めく
「『不老』は僕が持っていくから、安心して良いよ、そういうアイテムだけは充実してたからさ……」
闇が少しずつ明るくなり……
レンは荒野で目を覚ました。
「レン!レン!」
グレイスの声が響く。
レンは目を開けた。
そこに居たのは泣いているグレイスだった。
「僕は……」
「大丈夫か?」
グレイスの大きな手がレンの頬を撫でる。
レンはぼんやりと周囲を見回した。
荒野は元に戻り、人々も戻ってきていた。
魔王龍の痕跡もなく、平和が訪れているようだ。
「あの人は……?」
レンが尋ねる。
「誰も見ていない」
グレイスが答えた。
「だが……これを見つけた」
グレイスが何かを差し出した。
それは『召喚ガチャ』の結晶だった。
「結晶はヒビ割れると細かい光になってレンの中に吸い込まれていった」
涙が溢れて止まらなかった。
「「君が決めればいいんじゃないかな」」
また彼の言葉が聞こえた気がした
「そう……なのかな」
レンは自分の胸に手を当てた。
「帰ろう」
グレイスがレンを抱き上げた。
「皆が待ってる」
レンは目を閉じた。
頭の中にある記憶……それが本当の自分の物か分からない……
でもこの胸の痛み……グレイスや皆への想い……これだけは確かだ。
そして『彼』のために流れるこの涙も……




