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フィクション

「だってさ……」


智樹が手のひらを広げる。

そこに小さな虹色の卵が現れた。


「これが魔王龍だよ」


「……っ!」


レンは息を飲んだ。


「ガチャから排出した魔王龍を倒してエンディング迎えるってのが今回のストーリーだったんだ」


智樹は笑った。


「なのに……エンディングは始まらなかった」


智樹がポケットから小さな機械を取り出す。


「前も少し言ったけどさ」


それは『召喚ガチャ』と呼ばれるスキルの結晶だった。


「これでモンスターを呼び出したりアイテムを入手したり……まさにゲームさ」


「じゃあ僕も……」


レンの脳裏にずっと胸にあった不安がよぎる。


「君こそ一番面白いキャラだったよ。『藤宮 蓮』」


智樹が機械を弄びながら言った。


「ユニークスキル『完全なる治癒』『剣聖』『神器』なんて……」


「やっぱり僕は……本当に人間じゃなくて……」


「そ」


智樹が冷たく言い放った。


「君は僕が当てたゲームキャラクターさ。ガチャから出た設定に過ぎない」


その瞬間、レンの頭に激しい痛みが走った。


『父さん……母さん……』

『一緒に遊んだ友達……』

『学校の思い出……』


「嘘だ……」


レンは頭を抱えた。


「どう?記憶が揺らいでるでしょ」


智樹が楽しそうに言った。


「君が持つ記憶は、与えられた設定。本当の『藤宮蓮』なんて存在しなかった」


「そんな……」


レンの膝が震えた。


「でも安心して、僕もそうかもしれないし」

智樹がカラカラと笑う。


突然彼の顔が歪んだ。


「ああクソ!この世界に何百年閉じ込められてるんだ!元の世界に帰りたいだけなのに!…………なーんてね」


智樹がまた笑顔に戻る。


「冗談だよ、全部フィクションさ」


「お前が……この世界を作ったのか」


レンの剣が震える。


「作ったわけじゃない」


智樹が天を指差す。


「僕も呼ばれたんだ」


「ならどうしてこんなことを……」


レンは怒りを抑えきれなかった。


「退屈だからさ」


智樹が答えた。


「もう元の世界の事なんて殆ど覚えてないんだよね……だからさ、これは復讐でもあるんだよ」


「もうやめてくれ……」


レンは必死に訴える


「嫌だね」


智樹の手から眩しい光が放たれる。

光が収まると一本の剣が握られていた。


「これもガチャ産なんだけど、聖剣なんだってさ」


面白げなく剣を振る智樹


「これが本当のエンディングさ」


智樹が宣言する。


「君を殺す、もしかしたら君がラスボスなのかもしれないし、僕がラスボスでバッドエンドになるかもしれないしね」


「やめろ!」


レンが叫んだ。


「最後の戦いだよ」


智樹が指を鳴らす。


「僕と君だけの……本当の戦い」


光が収束し……レンと智樹だけが荒野に立っていた。


***


戦いは熾烈を極めた。


智樹の剣は鋭く正確だった。

レンは傷ついていく。


「痛いでしょう?ごめんね、剣ってあんまり得意じゃなくてさ」


智樹が笑いながら言う。


「なんで……僕を召喚したんだ⁈」


レンは叫んだ

傷だらけの体で立ち続ける。

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