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もう1人の異邦人

数日後の昼下がり──


レンが治療院から城へ向かう途中、突然後ろから声がかかる。


「やぁやぁ!ちょっとお茶でもしない?」


振り向いた先には見知らぬ青年が立っていた。

年齢は20代半ば。黒髪に現代的な服装……そして奇妙な笑みを浮かべている。


「えっ……誰ですか?」


レンが警戒する。


「僕は神楽坂かぐらざか 智樹ともき。君と同じ……異世界から来たんだ」


***


「まあ座ってよ。僕達専用のVIP席だよ」


裏路地にある一軒の店…というより廃墟に招かれたレン

正直言って怪しさしかないが、どう見ても同郷の智樹に話を聞かねばならなかった。


智樹がどこから取り出したのか紅茶を注ぎながら笑う。

レンは警戒しながらも席に着く。


「あなたが……異世界人?」


「そうだよ。しかも君よりずっと前にね。もう何百年もいるよ」


智樹がカラカラと笑う。


「僕は特別だからさ。『不老』のスキル持ってるんだ。だから長生き~、老衰じゃ死なないだけだから不便だけどね」


「……何の用ですか?」


「単刀直入に言うよ。僕はこの世界を『ゲーム』として見てるんだ」


智樹が指をパチンと鳴らす。


「この世界を混沌に陥れて……それを君みたいな『主人公』が解決するストーリーを作ってるんだよね~」


レンが目を見開く。


「つまり……全部あなたが……?」


「ピンポーン!大正解!」


智樹が拍手する。


「最初の男は獣人からの解放軍って謳い文句で近づいたんだよね、その次はその逆ね貴族達を適当に唆して君にちょっかい出させたんだ」


ケラケラと笑いながら「ほんとあいつら馬鹿だよねー」と笑う智樹。


「さてもう一つ問題です!僕は『不老』の他にもう一つスキルを持っていますが、それはなんでしょー?」


レンは呆然としながらも答えた。


「……ガチャ?」


「わぉ!正解!すごいね!」


智樹が嬉しそうに拍手する。


「『召喚ガチャ』って呼んでるんだけど……これがめちゃくちゃ面白いんだよねぇ♪」


智樹が黒・銅・銀・金の卵を取り出して机に置く。


「これを割るとモンスターとかアイテムが出てくるんだ。ほら……君が出会ったのも僕のガチャから召喚したやつ」


「何のためにこんなことを……」


「だから言ったじゃん。『ゲーム』として楽しむためだよ。あとは…元の世界に帰れるかなーと思ってさ」


レンが怒りをこらえるように拳を握る。


「……人が傷ついてるのに?」


「そりゃそうだけどさぁ~仕方ないじゃん。『主人公』には試練が必要でしょ?」


「試練……?」


レンが訝しげに睨みつける


「あっ、そっか」


ポンっと手を打つ智樹。


「君、『神器』スキルの事何も知らないんだっけ?いいよ、教えてあげる」


ニコニコしながら智樹は続ける


「簡単に言えば無限のスキルの器と収集機みたいなもんかな。この世界ってスキル持ちが死ぬとスキルが次の持ち主を探して彷徨うんだけど……」


すうっと息を吸い込む


「神器は周囲にあるスキルを自動で無限に回収出来るんだよね、だから君の周りで死人が出るようにアレコレ動いてたんだけど上手くいかなかったなぁ……」


残念、といいながら智樹が紅茶を啜る。


「というかさぁ……僕だって何もしてこなかったわけじゃないんだよ?」


「どういうこと?」


「過去に『平和的な方法』で元の世界に戻る方法を探そうとしたんだけど……全っ然うまくいかなかったんだよねぇ」


智樹が溜息をつく。


「何度も挑戦したんだけどさ……もう諦めてゲームとして楽しむことに決めたんだ」


「許せません……」


「君の気持ちもわかるよ。でもさ……僕も望んだわけでもなくここにいるんだよね」


智樹の声色が変わった

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