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スクイヤーの感謝

スクイヤーの広い背中に揺られながら、レンは遠ざかる難民街の喧騒を聞いていた。石畳の音が妙に規則的で落ち着く。


「悪かったな」


突然の謝罪にレンは目を見開いた。


「最初はよ……あんなクソみてぇな場所に何も知らねぇガキを連れてくのは反対だった」


スクイヤーは歩みを止めず、前を見据えたまま続ける。


「だが……お前が本当に奴らを救いたいって思ったのは分かった。それだけはな」


「……ありがとうございます」


「礼を言うのはこっちだ。命の借りはでけぇからな」


そう言ってスクイヤーは苦笑した。彼の逞しい腕には、もう傷痕一つ残っていない。レンの無駄のない治癒がそれを証明していた。


しばらくして城門に到着するとグレイスが待ち構えていた。その険しい表情はいつものことだが、どこかいつもと違う。


「無事か」


「見ての通りだ。


ちっと疲れて寝ちまってるがな」


グレイスはレンを受け取る際にスクイヤーの腕を一瞥し、静かに頷いた。


「ご苦労だった」


***


レンを部屋に運んだグレイスはスクイヤーを自室へ招いた

そこにはギルドマスターであるハルクの姿があった


「おつかれさん!レン坊は良い奴だっただろう?」


ニヤっと笑って肩を叩かれ眉間にシワを寄せながらスクイヤーが答えた。


「確かに……良い奴すぎるくらいだ。だがそれが仇にならなきゃいいがな」


「報告を」


グレイスが促すとスクイヤーが口を開く


「まず治療に関しては文句なし。噂以上だったぜ。傷口が塞がったどころか焼けただれた皮膚まで元に戻った」


「ほう……」


「しかもだ」


スクイヤーは少し声を落とした。


「例の聖女様……ニーナが途中からずっと監視していやがった」


ハルクの巨体がわずかに反応した。


「あの聖女が?レン坊に接触は?」


「いや、近づかなかった。ずっと物陰から覗いてただけだ」


グレイスは腕を組んで天井を見上げた。


「ただ様子を見ていた…のならば自分も同行すれば良い話だ」


「って事は、やっぱりレン坊の存在をさらに意識付ける為ってとこか」


グレイスは重々しく頷いた


「そして我々は敢えてその思惑に乗る……」


ハルクとスクイヤーは視線を交わした。これが彼らが立てた策略だった。相手の警戒を強めさせ動きを早くさせ炙り出す


「それで、スクイヤー」


グレイスが鋭く問う。


「お前はレンをどう見た?」


一瞬の沈黙。スクイヤーは床を見つめた後にこう答えた。


「……死なせてはならないと思ったぜ」


その言葉にグレイスの口元がかすかに緩んだ。そしてスクイヤーも気づいていた。

グレイスのレンへの思いが、ただの任務や同情ではないことに。

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