作戦会議
一同は魔獣の群れがいるとされているエリアに到着した。
騎士団の斥候部隊と冒険者達も遠目が効く者達が魔獣の群れを探して先行していたが、例外なく青い顔をして戻ってきた。
「くそっ……こんな魔獣の行進は見たことがねぇ!」
スキット達先行組が報告を終えると、一行は緊急の作戦会議に入った。茂みに身を隠した一同の表情は深刻だ。
「通常ならバラバラに動くはずの魔獣どもが規則正しく並んでいる」
グレイスが低い声で言った。
「まるで指揮官がいるようだな」
「しかも数が尋常ではない」
ハルクが歯を食いしばる。
「報告だと20以上……しかも一際でかい希少種までいると来たもんだ」
レンは息を詰まらせた。これまで遭遇したどんな集団よりも大きい規模だ。
「報告ではその希少種が群れを統率する動きを見せているらしい、これは僥倖でもある」
グレイスが地図を睨みながら言うと全員の顔つきが変わった
「奴を討てば群れは烏合の衆に戻る可能性が高い」
「どうやって攻めれば良いか」
ガロウが腕組みを解いた
「この辺りは遮蔽物が多い場所だから遠距離攻撃は無理だ」
「数も多く密集していては騎士団の盾の展開が難しい」
「しかも今回の標的はアイアンオーガの群れだ」
「通常種でも1匹につき数人掛かりで対処するのが精一杯なんだぞ……」
「まずはどうする」
ハルクが問いかけた。
グレイスは鋭い目を細める。
「騎士団と冒険者は別働隊として行動しよう」
「なんでだよ!一緒に戦った方が良いだろ!」
スキットが噛みつく。
グレイスは首を振る。
「連携訓練もしていないのに混ざったら足並みが崩れるだけだ。魔獣の行軍を妨害する動きと後方からの包囲網、これが現実的だ」
レンは手を挙げた。
「僕はどうすればいいんですか?」
「お前は少し離れた場所でカイレン達治療部隊と待機だ、本来新人が関わるような任務ではないからな」
ガロウが即座に答えた
「わかりました…」
治療部隊も要である事は間違いない
しかし剣聖というスキルを持ちながら戦えない事は歯痒い
とはいえ、戦闘や訓練経験の浅い自分が混ざっても統率を見出す事になりかねないのはわかる。
グレイスは続ける
「魔獣の正面は我々第三師団が引き付ける、その隙に第一師団が背後から、冒険者と第二師団がそれぞれ側面から攻撃をしかける」
「希少種はどうします?」
ガロウが問いかける
「少数精鋭で仕留める、我々の団からは俺が出る」
そしてハルクに視線を向けると
「ハルクには冒険者側の人選と退路の確保を任せる」
「了解だ」
ハルクが親指を立てる。
「他に質問や提案がなければ各自準備にかかれ!時間は無いぞ」
グレイスの号令に全員が動き出す。
レンは拳を握りしめた。
自分が直接戦うわけではないけれど……多くの命がかかっている
彼らを信じて自分なりに務めを果たすしかない……!
そして……作戦開始の時間が訪れた。
森の奥から轟音と魔獣達の雄叫びが響き渡り始める
冒険者と騎士団は配置に付き始め
ついに決戦の火蓋が切って落とされた!




