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バスクの忠告

夜がふけ、一行は野営をはじめた。

バスクとレンは最初に夜警の番をする事となった。

2人は焚き火の火を絶やさぬよう、また夜襲を警戒するため周囲の木々が生い茂る中を巡回していた。

しばらくするとバスクが突然立ち止まり、焚き火の方へ振り返った。

彼の大きな猪の耳が微かに動いており、興奮しているのがわかる


「おい。レン……お前最近治療院でかなり凄ぇ活躍してるみてぇじゃねぇか」


猪獣人特有の荒っぽい声だが、いつもより少し控えめな口調だった。


「え……あ、はい……少し……手伝わせてもらってます」


レンは緊張した面持ちで答えた。


「少しどころじゃねぇだろ!

『癒しの天使様』とか言われてんだってな!お前の噂を聞いた奴らがこぞってお前目当てで治療院に来てるって話じゃねえか」


バスクは腕を組んで鼻を鳴らした


「そう呼ばれてるのは今朝知ったばかりですよ…それに最近は本当に治療が必要な人以外先生が追っ払うから前よりはマシです」


レンは苦笑いしながら答えた。


「そうか……まぁそれはよかったが……

お前が活躍してくれるのは結構なんだがなぁ……」


バスクは急に真面目な表情になり、レンの前に立ち塞がる

そしてレンの肩を両手で強く掴んだ


「いいか?お前の本業はあくまで騎士団の一員だそこんとこ忘れんなよ」


バスクの鋭い猪獣人特有の牙が剥き出しになった

肩を掴む手に力が入る


「もし治療院の方が忙しいなら正直に言え

団長だって理解してくれるだろうし

勝手に両立しようとしてお前がボロボロになっていくのなんて見たくねぇんだよ」


レンはバスクの熱い視線に耐えきれずに目を伏せた

 

「うん……ごめんなさい……気をつけます」


バスクはさらに詰め寄ってくる


「あと前みたいな無茶は絶対やめろ」


「前みたいなの……?」


レンは首を傾げる


「聖女だよ。あの一件で色々あったんだろ?

確かに結果的には良かったがそれでお前が大怪我でもしたら意味ねーだろ」


バスクは少し怒ったように鼻を鳴らした


「これからはなんかやばい状況になったらまず俺や先輩達に相談しろ。副団長や団長にはちゃんと言ってもらうけど俺たちじゃ不安だってんなら別だが」


そう言ってバスクは乱暴にレンの頭をぐしゃぐしゃと撫でる

レンの柔らかい髪はあっという間に乱れてしまった


「ちょっ……バスクさん!やめてくださいよ!」


レンは顔を赤く染めながら抗議する

しかしバスクは聞く耳を持たず続ける


「いいか?お前が無茶すると気が気じゃねぇんだよ俺は。わかったか?」


そして最後にポンッと軽く叩いて解放する

レンは何も言い返せずただコクリと小さく首肯するしかなかった


「わかってくれたならそれでいい」


そう言うとバスクは満足げに微笑んだ。


「さて、そろそろ交代だな、先輩のケツぶっ叩いて起こしに行こうぜ」


バスクは軽く伸びをしながら焚き火の方に向かって歩き始めた


「はい!」


レンは小さく返事をしながらその後を追った。

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