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午後の行軍中、レンは馬車から降りて仲間たちの側を歩き始めた。

夕闇が迫る山峡。一行は開けた窪地を見つけ野営を決めた。騎士団が迅速に周囲に柵と結界魔法を張り巡らす傍らで、レンはカイレンと共に治療器具の準備に取り掛かっていた。不意に背後からアーサーの低い声が響いた。


「レン殿」


振り返るとアーサーだけでなくスキット、マルーシア、ギャリットも焚き火を囲んでいた。犬獣人の青年がゆっくりと近づき、真剣な眼差しでレンを見据えた。


「あなたが……特別な力を持っていることは薄々感じています。あの時……瀕死の私が最後に見たのは、あなたの淡い光に包まれた手でした」


アーサーは慎重に言葉を選んだ。


「しかし……」


彼は一呼吸置き、柔らかい笑みを浮かべた。


「それがどんな力であれ、レン殿はレン殿です。我々の……大切な命の恩人であり、今は共に戦う仲間です」


マルーシアがスキットの膝を叩きながら続けた。


「そうよ!あなたが何を隠していても構わないわ。私はレン君が好きだし、助けてくれたことに変わりはないもの!」


「うむ。むしろ……そんな力を抱えるのは辛かろう」


ギャリットが静かに弓を磨きながら呟いた。


「だが安心せよ。この夜の闇と同じだ……真実はいつか明るみに出る。その時まで共に闘うと誓おう」


スキットが腕を振り上げて叫ぶ。


「おうよ!俺たちゃどんなことがあってもレンの味方だぜ!」


レンは言葉を失い、ただ小さく頷くしかなかった。胸の奥が温かいもので満たされていくのを感じる。この異世界に来て初めて……心から受け入れられた瞬間だった。


「ありがとう……ございます……」


レンの声は震えていた。涙が込み上げそうになり、必死で堪えた。


「僕は……皆さんと一緒にいられて嬉しいです」


アーサーが大きく頷き、拳を差し出した。

「明日からの戦い……どうか無理はなさらぬよう。我々が必ず守ります」


「はい……!皆さんのことも……絶対に……守ります!」


レンも拳を合わせた。

焚き火の炎が彼らの誓いを照らし出す。この夜、レンは初めて自分の力を恥じることなく生きる決意を固めた。

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