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グレイスの独白3

騎士団長室の重厚な扉が閉まる。鍵の音が虚ろに響く。


「…………」


グレイスは外套を脱ぎ捨てると無言で壁の燭台に灯りを灯した。

影が床に伸びる。

窓の外で雨が降り始めていた。

夜の帳が降りる頃合いだ。


治療院での出来事が脳裏に焼き付いていた。

あの血だらけの身体が――一瞬で癒えた光景。


「治癒……いや……」


拳を握る。

あれは「治癒」などという生易しい代物ではない。死にゆく命を蘇らせたのだ。

間違いなく――ユニーククラスの力。


「これが異界の『器』か……」


喉の奥が乾く。召喚された人間は往々にしてこうした力を宿すという。


「ならば……」


机に広げた地図を見据える。


「……守らねばならん」


あの少年は危険すぎる。

帝国が知れば即座に血眼で探し求めるだろう。


「国のために利用するつもりはない」


決意を口にする。レンは「兵器」ではない。


「……ただの迷い子だ」


夕暮れの帰り道――レンが躓きかけた瞬間を思い出す。

咄嗟に差し出した己の手を。

あの細い指が震えながらも握り返してきた感触が未だ掌に残っている。


「……っ」


(なぁグレイスよ。お前この子の事どう思ってる?)


ハルクの言葉に胸の奥が疼いた。


彼から似たような事を問われるのは2度目だ。1度目は……いやそれは終わった事だ


それよりもこの感情は何だ?庇護欲か?それとも……


「馬鹿な……」


グレイスは壁に額を打ち付けた。

今はこの感情に名前をつけるべきではない。

ただ一点だけ――守るべき者として刻みつけるだけだ

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