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バスクの独白
まったく……人間の小僧が入隊とはな」
バスクは毛布にくるまりながら呟いた。
今日出会った新入りの顔が頭から離れない。
(アイツ……何か隠してる。俺の嗅覚がそう言ってる)
確かに彼はただの人間だった。
体力もなく剣も持ったことがない様子。
だが……
(あの剣を振った時の目つき……まるで別人だった)
バスクは鼻をヒクつかせた。
強撃のスキルを持つ自分なら分かる。
あの一瞬の動きには訓練された者の気配があった。
「くそっ……」
(何より気になるのは団長と副団長の態度だ。あの人間を異常に気にかけてる。新人にそんな接し方するなんて今までなかった)
彼の胸の奥にモヤモヤとした感情が渦巻く。
2人への尊敬と、突如現れた人間が特別扱いされる不快感。
そして……
「なぜアイツのことを考えると……」
バスクは自分の胸に手を当てた。
心臓がいつもより早く脈打っている。
(馬鹿な……相手は人間だぞ!俺たちは誇り高き猪獣人の血を引く者だ!)
頭では否定しつつも、レンがランニングで倒れたときの青白い顔や、剣を握った時の真剣な眼差しが脳裏に焼き付いていた。
(明日から俺が直々に鍛えてやる。人間なんてすぐにへばるはずだ)
彼は自慢の牙を噛みしめた




