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9話【鋭い眼差し】ト【やわらかな光】

 鋭い眼差しで俺はマネキンを睨みつける。

一歩でも動けばあいつの負けだ。

目を逸らすな、じっと見続けるんだ。

先ほど言った奥の手とは俺の中で2つある。

1つは今実行中だ。

じっと相手の目を何秒、いや何分間も見つめること。


だるまさんがころんだゲームでコレをやられたら、相手に相当なストレスというダメージを与えることができる。ましてや変なポーズをとっているとなお効果抜群だ。


ゲームとは関係ないが生きている人間で、見つめられる側に耐えれる人はそう多くないと俺は思っている。

実際、俺が他人から見つめられたらせいぜい5秒程度が限界だ。

それ以上はどうしてか恥ずかしくなってしまい目を逸らしてしまう。

同性、異性関係なしに目と目を合わせるのが苦手である。

俺の精神的な問題であり相手は決して悪くない。


話をゲームに戻そう、相手はマネキンだ。

何分間でも耐えられてしまいそうだな。

俺の【忍耐力】とあいつの【忍耐力】どっちが上だろう……。


そんなことを考えている間も微動だにしない。

あれから数分間経ったと思う、正確な時間はわからない。

オブジェ部屋に時計という便利なモノが見つかっていないので、俺の感覚で約10分経ったということにしょう。

それでも相手がマネキンだけあって動かない。

俺とマネキンの忍耐力は五分五分(ごぶごぶ)かもしれない。

(らち)が明かないので2つめの奥手を使う時が来た……。


俺は深く深呼吸して、自分を落ち着かせる。

壁に向き直しそして浅く空気を吸い込み


「だるまさんがころんだ」


と“早口“で言い終わると同時にすぐマネキンの方へ振り向く。

マネキンは右足を一歩前に出していた。

右手が左足首を掴もうして左足が少し床から浮いている。

グラグラと揺れる胴体(カラダ)、一歩踏み出した右足で、頑張ってバランスをとっているがその右足さえもフラついている。


俺は勝利を確信し、人差し指をマネキンに向かって指差しゲーム終了の言葉を放つ。


「お前、さっきから動いてるんだよ!観念しやがれ!!」


バラバラと胴体と頭、手足が崩れ出す最後のマネキン。


「よっしゃぁ」


ガッツポーズを取った俺の右手が突然、月の光のようなやわらかな光を放ち出した。


9話 End



お題【鋭い眼差し】24‘10/16


  【やわらかな光】24’10/17

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