4話【星座】ト【過ぎた日を想う】
鞄の中にヒントが書かれた紙切れを発見した。
真っ黒に塗りつぶされて、中央に4つ白い点が
描いてある。
指で点と点を結ぶと歪なひし型に見える。
下の点の位置が上の点と左右の点に比べて異常に下の方に離れて描いてある。
もしかして全ての点と点を繫げることが間違っているのだろうか。
もう少し鞄の中を探してみよう。
すると内ポケットからもう一枚半透明の紙を
発見した。
先ほどと同様な位置に白い点が描かれてその点の隣には「α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)」と文字が書かれている。
これはギリシャ文字だ。意味がありそうだな。
とりあえず、2枚の紙を重ねるとピッタリと4つの点が重なった。
俺は思い出した。昔、小学生の時遠足でプラネタリウムに訪れたこと。
同じクラスで友達のあいつは、やたら宇宙や星座のことが詳しくて、俺に一生懸命教えてくれたっけ?
「南十字星っていう星座、日本ではあまり見えなんだよ。ボクさ、大人になったら絶対見に行くんだ!!」
あいつ今頃どうしてるだろう。
小学生を卒業して俺は、私立の中高一貫校へ
入学したからあいつとは小学生を卒業してから
春休みに一度会ったきりでそれ以降全く会って
いない。
あぁ、なんだか久しぶりに会いたくなった……。
昔の記憶を思い出していると、よく親父に言われた言葉がある。
『過ぎたことをいつまでもくよくよ想っても現実は何も変わらねぇ。だったら未来に進しかなねぇんだよ!!』
それに対して俺は……
「親父に何が、わかる!?俺が……俺がどんなに悩んでいても、俺の話を聞こうとしないで何でも勝手にホイホイ決めやがって!!ウゼェんだよ!」
顔を合わせる度に親子喧嘩して家を飛び出した。
だけど当時の俺は中学生で進級がかかった大事な時期だった為、御袋がすぐに警察に連絡してしまい俺はものの数時間で、居場所がバレて補導され家に戻された。
親父が軍人、御袋が警察官だと正直気が休まらなくてツラかったなぁと、知らない部屋にいながら過ぎた日を想うのだった。
4話 End
お題【星座】24‘10/6
【過ぎた日を想う】24’10/7