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最終話【すれ違い】

 見間違うはずがない、この絵画と同じ見た目は白いドア。

だけどドアの下の方に黒いシミが付いているのが俺の部屋である証だ。


小学生の時、図工の授業で絵を描いていた。

授業終了のベルが鳴り担任がーーーー


『時間内に完成出来なかった生徒(ひと)は宿題です。持って帰って家で完成させてから“明日“提出して下さ〜い』


と生徒全員に聞こえる程の大声で言った。

俺は完成することが出来なかったので宿題になってしまった。

家で色付けを水彩絵具していた時、使っていたバケツが真っ黒に汚れていたので、水を洗面所で替えようとして何かに足首が引っ掛かり転んでドアの方に水をぶちまけた。

仕事で両親は家に居なくて、俺一人だったのでどうすればいいか分からずしばらくの間途方に暮れた。

このままにしておいたら親に叱られることは目に見えていたので、悩んだ結果……。

脱衣所へ行きバスタオルを取りに行った。

持って来たバスタオルは真っ白で床を拭くと黒に変わった。埃りもおまけで付いてきた。

汚れゆくバスタオルを見て俺の顔は真っ青になって半べそをかきながら床を拭く。

床の水をいくら拭いても拭い取れずにいた。

それもそのはずドアにかかった水がポタポタと雫になって床に落ちるからだ。

それにようやく気づいた俺はーーーー


「ドアから水が落ちてんじゃん!?」


と言いドアの方を必死に拭いた。

汚れ切ったバスタオルで拭いたのとドアが水を吸ってしまいシミになったのである。

仕事から帰ってきた御袋はその床拭きしている光景を見て絶叫し、こってり絞られた。

説明したけど理解されなかったのでひたすら謝っていたらなんとか許して貰った。

その後は宿題を無事に終えることが出来だが、床を拭いたバスタオルはゴミ箱行きになったらしい。


どうにも腑に落ちない。どうして俺の部屋が描かれている?

複製画とはいえ、〔白い扉〕という作品に黒いシミなんて描かれていないのを俺は思い出した。


その絵から黒く伸びた影が出てきた。それはだんだん伸びていき、手の形となって俺の目の前に現れ、Tシャツを掴んだ、払おうとしても影の力が強く俺は絵の中に引き込まれてしまった。


目が覚め周りを見渡すとそこは俺の部屋だった。


「夢だったのか!?」


ドアを開け部屋を出た瞬間、黒い影が俺の横を通った。

そのすれ違いざま影はボソっと呟く。


『良かった……間に合った。お帰りなさい。過去の俺』


最終話 End



お題【すれ違い】24‘10/20


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