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判断力の欠如。

 昨日、マジで死ぬかと思いました。ってか、死んだと思いました。

 

 昨日は全国的に大雪警報が出ていました。「不要不急の外出は控えるように!」とニュースでも報じられて、学校や会社がお休みになるほどでした。

 そんな時、私は何をしていたか? 


















遊びに行ってました……。ほんと、筋金入りのバカです(涙)。


 話の発端は数カ月前にさかのぼります。彼が「能登半島の棚田を見たい」と旅行に誘ってくれたのです。私は能登半島に行ったことはありませんし「能登は優しや土までも」(能登は人だけでなく土までも優しい土地柄である)という慣用句がずっと気になっていたので、二つ返事でOKしました。


 先日の東京行き(詳細は前作のエッセイ『アタシ、崖っぷちどころか……』第65~71部分)で散々な目にあったので旅行へ行くのは怖かったのですけれど「あんなにひどい旅行はもうないだろう!」と思ったし「前から約束してたし」と考えて、行くことにしました。


 駆け足だったので能登の方たちと触れ合う機会はほとんどありませんでした。それでもお店で「ようこそ! ようこそ!」と大歓迎してもらったり、「ゆっくりしていきなさいね♪」と優しい言葉をかけてもらったり、「そこのお姉ちゃん」と呼びかけてもらったり(← コレが一番嬉しかった)、そこここで親切にしてもらいました。能登の人が優しいというのは、本当かもしれません。


 なんせね! 海が山が空が天気が暗いんですよ!! 陰鬱な海、どんよりした空、寒々とした山、そして意味わからんくらいビュウビュウ鳴る風とアホほど振る雪! そこにいるだけでウンザリしてくる!! ああ! 鬱陶しい!! あんなに暗い土地で暮らしていたら、人として成長するのかもしれません。 我慢して辛い風土に耐えた結果、人格が素晴らしくなるのかもしれない。たった一日しかいませんでしたが「だああ!!!!!」と叫びたくなるくらい暗い場所でした!! 住むには厳しすぎる!


 うっかり遊びにいってちゃっかり棚田を見ましたけれど、さすがに大雪警報は気になる。昨日は朝早くに能登半島を出発して、早々に滋賀県へ帰ることにしました。

 海沿いの道路を車で走っていたら、あっという間に道が白くなった! 出発した時は道路脇に雪が固まっているくらいだったのに、雪で目の前が白くなったと思ったら道路も真っ白! 怖い!

 降りるはずだった出口に道路パトロールの車が横づけされていて、出口が封鎖されている! どういうこと!? 何か問題でも!? (← 雪だよ。警報出てるんだよ、バカ)


 雪道に慣れている彼が堅い表情で言います。


彼:高速道路が雪で封鎖されたら帰れなくなります。封鎖される前に滋賀県へ帰らないと。


 私は雪の降らない福岡県で生まれ育ったので、雪のことはわかりません。彼がヤバイと言うなら、ヤバイのでしょう。何としてでも大好きなおうちに帰りたい! 立ち往生はイヤだ! トイレも食事も我慢して、北陸自動車道をひた走ります。


 最初は凍った路面でした。雪が車の重量で押し固められて、ガラスみたいにツルツル! 


私:怖いです! こんな道路、見たことありません!

彼:ボクは慣れているから、大丈夫ですよ♪


 怯える私に、彼は余裕の微笑みを見せます。


 次はツルツルの上に、雪がガンガン降ってきた! 目の前は真っ白だし、どこが道路かわからない!


私:さっきより怖いです! 道が! 道が見えません! 真っ白です!


 助手席で絶叫する私を、彼は運転しながら笑います。


彼:この程度の道なら、滋賀県でもよくあることですよ♪


 雪の勢いはどんどんひどくなって、ワイパーが追い付かない! 真っ白な道路に黒い物体が横たわっている。トラックのバンパー? 


彼:事故があったみたいですね。


 事故渋滞を抜けると、道も視界も真っ白です。ガチガチに凍った路面に降り積もる雪がわずかに溶けてビショビショのツルツルのガタガタで何がなんだか!! どうなってんだ!?

 前を走るトラックがケツを振ってる! 雪でハンドル制御できなくなって、車体が左右に振れてる! やめて! 今あなたが事故ったら、確実に大惨事だから!!


 視界を失ってあきらめた乗用車が、二車線のど真ん中を走行しています。そういうの、やめて! 道を塞がないで!! 危ないから!!


私:怖いです! 今までで一番怖いです! 何も見えない!


 それまで朗らかだった彼が言いました。


彼:ちょっと静かにしてくれる?


 彼の顔から笑顔が消えてる……。コレ、マジでヤバイ状況なんだ(涙)。警報出てるのに遊びに出かけるなんて、しなきゃよかった! おうちでおとなしくしとけばよかった! 私のバカ! バカバカバカ!


彼:あぶない!


左車線を走っていると、ありえない場所に軽トラックが! 雪で滑ってガードレールに突っ込んでいる! とっさに避けたから無事だったけど、あやうく追突するところだった! 軽トラの持ち主らしきお父さんが、高速道路の緊急電話で電話をしています。ご無事で何よりです! でも注意して!!


 事故現場を見て動揺しているうちに、道路と天気が最悪になってしまった! 雪はこれでもかと降り注ぐし、路面はガタガタのツルツルでバウンドしまくり! シートの上で跳ねる私! 悲鳴をあげたいけれど、今口を開けたら舌を噛んでしまう! 恐怖で目を見開いたまま、歯を食いしばる!


 何か、何か気を紛らわせたい!! そうだ! スマホで道路情報を見てみよう!

 左右に揺れながらスマホを見ると、メールが一通。なんだ? 誰からのメールだ?


びわモニ:ソウマチさまへ。お世話になります。来週のご出演に際して、ソウマチ様のお顔の写真を一枚送信願います♪ どうぞよろしくです♪


 来週の火曜日に、びわモニという朝の情報番組のユーチューブに生出演させていただくのです。番組予告で私の顔写真が必要なのでしょう。緊迫した車内の空気に、ぜんぜんそぐわないのんびりしたメール。そぐわないが、早急に顔写真が必要。でも今は緊急事態、そして私はスッピン。髪の毛はひどい状態……。後で落ち着いてお化粧をして、髪の毛もセットして、顔にライトを当てて……。

 ってか車揺れてる! 滑る! ハネる! ああ! また事故車が!!! もう死ぬ! ぜったい死ぬ!!


 雪で揺れる&滑る車内で笑顔を作る私。死ぬかもしれない状態なので、果てしなく気持ちの悪い笑顔です。しかもスッピン。髪の毛を隠すため帽子を被っているので、怪しいお地蔵さんみたい。


パシャリ! 


 バウンドして頭をぶつけながらメールを書く。そして送信!!


彼:何してるの!?

私:番組に写真が必要とのことで、写真を撮って送信しました。

彼:いまっ!? なんでいまっっっ!? こんな時にっっっ!?


 今となっては、私も思う。なんであんな非常時に写真を撮って送ったのでしょう……。でもその時は、判断力が欠如していた。いつ事故ってもおかしくない状況で、完全にアタマがおかしくなっていた。


 というワケで、数日中に私の最悪な写真がネットで公開される予定です。見た目も最悪、状況も最悪、人生で一番ひどい瞬間の写真が公開されます! 乞うご期待です!! たった今アルバムで写真を確認しましたが、完全に目がイッちゃってます! めっちゃ怖いです!! そして車の外の背景、雪で真っ白です!!


 公開されたら、またツイッターでご報告します☆


 おかげさまで私たちは無事に帰宅できましたが、この後に北陸自動車道は事故で閉鎖されて大変だったみたいです。いらぬご迷惑をかけないためにも、次からは家でおとなしくしておきます。バカですみませんでした!!


 けっきょく東京旅行よりも、怖かったです……(涙)。

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