叔父の話を書こうと思ったのですけれど、どんどん話が遠くへ行ってしまって、ごめんなさい!
私には、タヌキに化かされて死んだ(!)伯父がいまして……。その伯父の話は、すでに完結したエッセイ 「1 アタシ、崖っぷちどころか……」の第28部分 「伯父の話。」に書きました。御高覧いただければ、幸いです。
余談ですが伯父の話を書いた後に読んだ記事で、脳が一時的に錯乱して距離感を見失うことがあると知りました。すると同じ場所をグルグル回るらしい……。昔はこれを「タヌキ(キツネ)に化かされた」と表現していたそうです。伯父の死因はソレだったのかも……しれません。
その伯父とは別に、もう一人の叔父がいます。私の母の弟です。叔父は無口で、勉強家です。叔父の姉である私の母は、どーしよーもないくらいお勉強がキライで、高校へ進学したいと言った私に真顔で「勉強なんて、しなくていいの。 だから高校なんて、行かなくていいの」そう爆弾発言をした人ですが、叔父は母とちがって勉強熱心だったそうです。
ちょっと話が逸れます。(ごめんなさい)。私の父も、勉強がキライでした。父も母も勉強がキライで、その二人の間に生まれた私の兄も、勉強がキライです。なぜか私だけ勉強が好きなのですけれど、今日は父の話を……。
父は生まれた時から綺麗な顔をしていたそうです。父の製造元である祖母と、父の伴侶である母が大絶賛していました。でもそれって、単なる身内びいきでしょ? 他の人から見たら、大したことないって! 私はそう思っていました。父は無口(ついでに神経質でビビりで人見知り)なので、自分がモテたなんて話は一切しません。 でも一度だけ、父のモテ伝説を聞きました。
家から一番近い都会は、北九州市にある黒崎という地区でした。そこにちょっと高級なレストランがあった。私はそのレストランに行ってみたいと両親に何度もお願いしたのですけれど、ちょっととは言え高級なので、おいそれとは連れて行ってもらえない。それに両親とも、そのレストランには行きたくないらしい。何か理由があるらしいが、二人とも口を閉ざしている。しつこい私は何年も「あのレストランに行きたい」そう言い続けていました。
私が成人したお祝いだったでしょうか。両親が好きな所でご飯をご馳走してくれると言ってくれたので、私は迷わず「黒崎のレストランに行きたい!」そう訴えました。何年も言い続けていたので両親もあきらめて、三人でレストランへ行くことになりました! やった~!
初めて入る店内は、広々として豪華です! 嬉々としてメニューを眺めていると母が「ねえパパ、この席じゃなかった?」そう訊いたのです。父は「うん……」と答えました。
ソウ:なにが?
母:このお店ね、パパとアタシが結婚する前に、一度だけ食事に来たことがあるの。
ソウ:そうなの!? 知らなかったよ!
母:結婚する前だからお互いにカッコつけたいから、高級なお店にも行ってたのよ。
ソウ:それなら私が生まれてからも、連れてきてくれればよかったのに!
母:それがね……。
母が言うにはラヴラヴな二人が精いっぱいのお洒落をしてカッコつけて食事をしていたら、お店の支配人さんがテーブルに来たそうです。ダンディで男前の支配人さんはビシっと黒服を着て、俳優さんみたいにカッコ良かったらしい。両親は当時20代ですから、そんな素敵な大人と付き合ったことはない。急に偉い人が来たので驚いていると、支配人は名刺を父へ差し出した。父は名刺なんてもらったことがないから、どうしていいかわからず冷や汗をかいてオドオドしていた。
支配人:あなたみたいに美しい男性を、僕は初めて見ました! どうか一晩だけでいいので、僕と付き合ってほしい!
父と母:え………………!?
支配人:もちろんお礼はさせてもらう。10万円でどうかな?
当時の父の初任給は、3万円くらいだったそうです。一カ月のお給料が3万円なのに、たった一晩で10万円!! 金額の大きさと同性からのお誘いで、父はパニックになり何も言えなくなった。父のピンチを救おうと、母が勇気を出して口を開きました。
母:あの……彼とワタシはデートでここに……。
支配人:あなたは黙っていてください!!
そして支配人さんは食事が終わるまで、母を完全に無視して父を口説き続けたらしい……。男性同士とはいえ、いわゆる売春の誘いです。そんなのテーブル蹴って帰れよ! そう思うのですが、若くておバカな二人は臨機応変に対応できず、律儀にデザートまで食べて帰ったらしい……。
ご清聴ありがとうございました。思い出したら書きたくなっただけで、オチは一切ありません……。わたし、やってしもうた……。でも書きたかったので、あなた様に読んでもらえてスッキリしたので、後悔はしていません!
あ! オチのある話を思い出しました! 書きたいので、書いてもいいですか!? お願いします! 書きたいです!! 叔父の話を書くつもりが、どんどん話が遠くへ行っていますけど、許してください! 叔父の話は、また後日(!!)書きます!
昔の話です。その日、私は福岡県の天神駅前を歩いていました。田舎者の私からすると、天神は大都会です! 道行く人がカッコイイ! 建物もお洒落! 慣れない都会にドキドキしながら歩いていると、スーツをビシっと着た男性が近寄って来た!! 見るからに高級なスーツを着て、名刺も何だか高級な紙です。でもフツーの人じゃない。
男性:ちょっとしたお仕事をしてくださる方を探しています。
ソウ:……はい?
男性:週に一度、新幹線で東京へ行って、とある男性と会って頂きたいのです。もちろん交通費もお礼もお支払いいたします。
ソウ:(どう考えてもアヤシイやん。それに福岡から東京って、どんだけ遠いねん!?)ごめんなさい。私、結婚を控えていますから、そういったお話はちょっと……。
男性:もしお気が変わられましたら、ぜひともご連絡をください! お待ちしています!
うっわ! こっわ! 都会、怖いわあ~!! 名刺は高級な和紙に、達筆な字で男性の名前と電話番号……、書いてあるのはそれだけでした。会社名も肩書きも書いてない。こっわ! 都会、こわ!
そして数年後、つけっぱなしにしていたテレビから「……女性被害者の証言です」アナウンサーの声が聞こえてきた。
女性:天神駅で高そうなスーツを着た男性に声をかけられて……。週に一回、東京へ新幹線で行ってほしいって、交通費やお礼は支払うって……。
この誘い、聞いたことある! この話、私も知ってる! なんだ!? 彼女は何の被害者なんだ!?
女性:それで新幹線に乗って、東京へ行ったんです。そしたら高級なホテルに連れていかれて……。そこに福岡県出身の国会議員の〇〇さんがいたんです。
げえええええ!! 国会議員が出てきたああああああ!!!!!
女性:〇〇さんと男女の関係になってしまって……。でも私は本気で〇〇さんのことが好きで……。彼は私に「パンツを買ってきてほしい」って言うから、福岡でパンツを買って東京へ持っていって……。そういう生活が半年くらい続きました。
パンツのおつかい……。毎週おつかい……。新幹線で福岡と東京の往復……。私だったら好きな相手でもバカらしくてやってらんない!! あ、そっか。この女性は〇〇さんが好きな上に、お手当ももらってるのか……。それなら、やるかなぁ……。私だったら、しないけど……。
女性:最初の1~2回は、交通費もお礼ももらえたんです。でも3回目から後は、何にももらえなくなって……。お礼はもらえなかったし、新幹線代もパンツ代も私が立て替えたままで、そのうちに連絡がつかなくなって……。
めちゃくちゃやん! 時間もお金も、大損こいてるやん!! しかもパンツ代まで!!
女性:でも私は、お金はいいんです! 彼のことが好きですから! 説明もなく連絡がなくなったのが納得いかなくて、悔しくて……!!
うわぁ……。〇〇国会議員って、奥さんいるやん……。不倫した上に、お礼も交通費もパンツ代も踏み倒したんか……。すごいなぁ……!!
私、一歩間違えたら、この女性になるところでした! あやうく道を踏み外すところでした! 世間様から「パンツ代を踏み倒された女」として、後ろ指を差されるところでした! あぶなかった! お金欲しさについて行かなくて、ホントに良かった!!!
…………ごめんなさい。叔父の話は、また別の日に書きます。
どうぞ良い一日を~!!




