神さま、仏さまからのご褒美。
たまに神様（仏様？）から、ご褒美をもらいます。私は何もしてないのに、棚からボタもちのように幸運が舞い込んでくる。でも私の神様は、ちょっとズレているのです。
以前に拙書を献本しました。あちこちの学校などへ何度か贈らせて頂いています。その時は４万円くらいかかった。イタイ出費ではありますけれど、本が買えない子に楽しい時間をお届けできたら一番嬉しいので、それはＯＫ。正直に言うと、自分でも「イイコトしたなぁ！」そう自己満足しています。誰かが喜んでくれるなら、私も嬉しい♪ その数日後に、２万円（！）ぶんの商品券を頂いた。もらった理由は「持ってても使わないから」。そんな理由でくださる方もすごいですが、素直に受け取る私もすごいと思う……。常識外れなのは自覚していますが、ありがたく頂戴しました。たぶんこれは、神様や仏様からのご褒美。でも、ご褒美が欲しくて本を贈ったワケじゃない。どうぞお気遣いなく。自分で２万円を一人占めするのは違うと思ったので、すごくお世話になっている方に「もらってやってください！」と１万円押し付けた。だって私の宣伝になるからと拙書を自腹で買って配ってくださったり、宣伝チラシをカラーコピーしてくれたり、１万円では到底足りないほどお世話になっていた。嫌がる手に押し付けたので、迷惑行為と言えるかもしれない。でも私は「神さまからのご褒美を、一人占めするのは良くない！」そう思っていたので、無理やりに押し付けた。その数日後、風の強い日に５千円落ちてた！ 私は迷わず５千円札を拾って、考え込んだ。
最初に私が４万円突っ込んだ。そしたら半額の２万円返ってきた。だから半額の１万円を押し付けたら、その半額の５千円返ってきた……。神様、そういうコトじゃないんです！ 私は自分がしたくてやってるんです！ ご褒美とか、いらんのですよ！
そして手の中の５千円札を眺める。拾ったのは現金だけなので、お財布とかじゃないので、警察へ届けても持ち主が出てくるとは考えにくい……。こんなに風が強いから、どこから飛んできたのかわからない。それに遠い警察署まで行って、手続きするのがメンドクサイ。これを自分のモノにはせず、良い事に使える方法はないものか……？ 私は近くのコンビニへ行って、募金箱に５千円をねじ込みました。私が受け取る筋のお金ではないので、困っている方にお役立てください。
でも私の神様は、あきらめなかったようです！ 私もしつこいが、神様もしつこい！ ある夜ゴキゲンで夜道を歩いていると、道にきれいなダイコンが落ちてた！ なんでこんな場所に！？ そのダイコンはみずみずしくて、キズ一つありません。めっちゃキレイ！ めっちゃ美味しそう！ でも私、道に落ちてる食材を食べるほど困ってませんから！ ほんとにご褒美とか、いりませんから！！
ここまで書いて、思い出しました。私が１万円を押し付けた方はすごく義理堅い方で、その後に商品券は返ってきました。実質、２万円もらっている私……。
そしてまた、神様からのご褒美が……。
うちの洗濯機、壊れていた「らしい」のですよ……。
自分で使っているのに「らしい」というのはヘンな話ですが……。
狭くて古いボロアパートなので、洗濯機はベランダ置きです。アパートができた５０ン年前は、まだ洗濯機が一般的でなかったらしい。ですから室内に、洗濯機を置くスペースはありません。ついでにテレビも電話もクーラーも冷蔵庫も想定外の設備だったようで、それらの電源は確保されていません。タコより本数の多いタコ足配線で何とかしています。私、テレビも炊飯器もポットも持っていませんけれど、それでもコンセントが足りない日々です。
ベランダに出て洗濯機をまわすのは、ちょっとメンドクサイです。でも普段は困るほどではナイ。ほんとうに困るのは冬場、ちょうど今の時期です！ 外に置いてあるから、洗濯機が凍るのですよ！ 凍るとお洗濯ができないのですよ！ 最初の頃は氷が解けるまで、ずうっと待っていました。２～３日くらいお洗濯ができないのはフツーでした。でもさすがに困るので、蛇口やホースに古いセーターをグルグル巻いて断熱したら、凍らなくなった！ 私、賢い！（← 自画自賛）
凍らなくなったのは何よりですが、ずっと外置きなので洗濯機にとって厳しい環境でした。真夏の直射日光や冬の冷気にさらされて、少しずつ劣化していた「らしい」。毎日お付き合いしていたので、私は劣化にまったく気づいていませんでした。
先日、洗濯機のボタンを覆っている透明なカバーに、小さな裂け目ができました。とくに困ることもないのでセロテープで補修したけど、すぐに取れる。仕方ないかと放置していたら、少しずつ裂け目が大きくなってカバーが取れてしまった。「電源」とか「洗い」という文字は、このカバーに印字してありました。だからボタンの文字が無くなってしまった。でも大丈夫！ １０年以上の長い付き合いなので、文字がなくてもボタン操作はできます！ そうこうしているうちに、ボタンの内側のポッチが折れてしまった。ポッチが折れてしまうと、ボタンを押すことができません。押すと反応する部分は、開いてる穴の深いところにあるのです。穴に指を入れて押そうとしても、指が入らない。
「上手くできてんな～！ 事故防止に指が入らないよう作ってあるんだ！」感心しながら、穴にピンセットを突っ込んで操作していました。
ある日、ベランダに出た彼が血相を変えて私に言いました。
彼：洗濯機、壊れてるよ！
私：こわれてないですよ。フツーにお洗濯できますもの。
彼：操作ボタンが露出してるよ！
私：ああ、そこですか。確かにちょっとメンドクサイです。ピンセットを突っ込まないといけないから。
彼：ピンセット！？ 感電したら、どうするの！？ ただでさえ危険なのに、外置きですよ！ 雨や雪で漏電します！
私：言われてみれば……。
ずうっと使っていたから、ちょっとずつ壊れていったから、危険な状態になっていると気づかなかった……。これで感電死しても、文句は言えない。
私：でもモーターは回ってお洗濯できるから、壊れてないことにしましょう！
そう言った私を彼は電機屋さんへズルズル引っぱっていって「欲しいのを言いなさい！」そう言って、新しい洗濯機を買って（！！！）くれました！！！ こんなにデカイ（大きさも、金額も）プレゼントをしてくれるなんて、感激です！ ありがとう！ 彼にも感謝していますが、神様と仏様もありがとうございます！ 私は何もしてないのに、ご褒美をもらった！
その洗濯機の設置が昨日でした。業者さんが配達してくださるので、部屋で待っていた。一緒に待っていた彼に用があって外へ出ていったのですけれど、すぐに戻ってきた。
彼：お隣の部屋に、人が入っていったよ。
私：えっ！？ お隣は、空き室ですよ！？
彼：でもその部屋に、誰か入っていった。
耳をすませてみると、たしかにお隣の部屋から音が聞こえてきます。物件の下見にでも来ているのだろうか？ 今度はまともな人だといいなぁ……。（← 以前にひどい目にあった！）
そうしていると、電話が鳴りました。業者さんが来てくれた！
あわてて外へ出て部屋まで案内します。エレベータがなくて、すみません！ 重たい洗濯機を若い男性が二人で運んでくれます。重たいのに、すみません！
ベランダの手前まで運んで、二人は困った顔になりました。その顔を見て、彼も私も気づいた。洗濯機を置きたい場所の手前に、モルタルの大きな出っぱりがあるのです。凸のせいで、二人で洗濯機を運び入れることができない。誰かが一人で洗濯機を高く持ち上げて、凸を超えないといけない。どうするんだ？
配達してくれたのは、小柄な三十代くらいの男性と、中肉中背の若い男子です。男子はたぶん、大学生。アルバイトみたいで、小柄な男性の指示で動いている。男子は洗濯機を持ち上げられるかもしれませんが、技術的に難しいような……。小柄な男性は小さなため息を一つつくと言いました。「僕がやります」。えええ！？ ムリですって！
男性は身長１６０ｃｍくらいで、細い身体つきです。私が本気を出したら、ケンカで勝てるかもしれない。それくらい細くて小柄。その男性が、洗濯機を持ち上げた！！ ウソでしょ！？
目の前の光景に、ボーゼンとする一同。まるでアニメを見ているようです。小さな身体で洗濯機を持ち上げると、凸の上を通過させた！ そして目的の場所にそっと洗濯機を床に置いた！ 素晴らしい！！ 思わず拍手していると、すぐそばで声がしました。
ひっこし！？
隣のベランダから２０代くらいの男の子が３人、興味津々でこっちを見ている。 愛嬌のある顔立ちは、おそらくベトナム系。その子たちの横には、洗濯機が見えます。わあ！ 引っ越してきたんだ！
賢そうな顔の男の子が、また言いました。「ひっこし？」。
私：ちがうよ！ 洗濯機だけ運んでもらったの。そっちは、引っ越し？
男の子：そう！ ひっこし！
私：よろしく！ お部屋に住むのは、あなたたち３人？
男の子：ちがう。２人！
私：そっか！ よろしくね！
男子：せんたくのホース、ある？
私：あるよ！ ここはね、ホースから排水口まで１．８ｍ必要だよ！
男子：ちょうだい！
私：えっ！？
男子：ホース、ください！ ボク、ホース持ってない。
私：ごめんね！ 自分のホースしか持ってないんだ！ コメリに売ってるよ！
男子：わかった！ ありがと！ よろしく！
めっちゃ可愛い！ たぶん日本の男の子だったら警戒して、話しかけたりしないと思う。その上、初対面で５分もしてないのに、ホースのおねだり！ どんだけ人なつっこいんだ！ めっちゃ可愛い！
彼に洗濯機をプレゼントしてもらって、業者さんの神業を見せてもらって、お隣には可愛い男子が引っ越してきて、私は本当に幸せ者です！ これも神様、仏様のおかげです！ ありがとうございます！
でもね神様、一つだけ言わせてください。
可愛い男の子とか、いらんから！ そういうご褒美、求めてませんから！ つい先日、エッセイに「国際貢献のために、可愛い外国人の男の子たちと交流したいが、あえて交流しない！」って書いたばっかりですから！ このタイミングでお隣に可愛い外国人の男の子たちって、出来すぎでしょ！？
ホントにそういうご褒美は、いりませんから！
ことほど左様に、私の神様は斜め上の神様です。いつでも斜め上……。
