コント「ドーピング検査」
配役…A=検査官 B=コーチ ●=ト書き
●オリンピックの練習会場。
A「失礼します。ドーピング検査官の和田と申します。ただ今より抜き打ち検査を行います」
B「ようこそ。ポプロ王国代表のコーチを務める、オマルと言います」
A「あなたの国のことは聞いていますよ。独立した次の年にもうオリンピックに参加されたそうですね。興味深い。徹底的に調べさせていただきます」
B「どうぞ。潔白を証明してみせましょう。ローランド、来なさい。ではお願いします」
A「ちょっと待ってください!こ、これは何の冗談ですか?」
B「何がですか?」
A「だって・・・ゴリラじゃないですか!」
●ウホッウホッというゴリラの鳴き声。
B「とんでもない!彼は人間です。確かに少し彫りが深いですが」
A「そんなレベルじゃないですよ!頭頂部突出してるじゃないですか」
B「見た目が個性的なだけです。人間である証拠に、言葉も話せますよ」
A「そんなまさか」
B「本当です。よく聞いてください。(ゴリラに向かって)ローランド、お前は金メダルの最有力こ・・・」
●ウホッという鳴き声。
B「聞きましたか!?最有力候補って」
A「ウホしか言ってないじゃないですか。こんなの、認められな、ちょっとすいません。めちゃくちゃ胸叩いてるんですけど」
B「あなたを歓迎しているんですよ」
A「いやいや、ドラミングって威嚇行為ですよ?」
B「ちょっとすいません(ゴリラに向かって)ローランドやめなさい!あんな弱っちい男を倒したって自慢にならないだろう!(Aに向かって)すいません、彼がとんだ失礼を」
A「全部聞こえてますよ。さっきからあなた何ですか、ふざけてるんですか?」
B「とんでもない、我々は本気です。我々はこの、五輪ラに賭けてるんです!」
A「ゴリラに引っ張られてるじゃないですか」
B「実際、彼は金メダルも狙える逸材なんです。これを見てください」
A「このバーベルが何か?」
B「重量挙げの世界記録と同じ265キロあります。ローランド、やってみせなさい」
A「うわっすごい!上がった、上がった!片手で!?」
B「両手なら500キロはいけます」
A「興ざめですよ。世界記録は1キロずつ更新するから盛り上がるんで」
B「重量挙げだけじゃありません。他の競技でもメダルを狙ってるんです」
A「何の競技ですか?」
B「レスリングです」
A「やめてください!相手が危険すぎる」
B「彼にはサオリ・ヨシダ選手のように、霊長類最強の実力があるんです」
A「確かに霊長類ですけど」
B「ハートも強いから試合が始まるともう、ゴリ攻めして」
A「何ですかゴリ攻めってゴン攻めみたいに」
B「どんな強敵もクルックルックルッとひっくり返します」
A「タコ焼きみたいに言わないでください」
B「それぐらい強いってことですよ。そもそもあなたの仕事はドーピング検査のはずです。それ以外のことに口出ししないでもらいたい」
A「くっ・・・分かりました、検査しましょう」
B「お願いします。あっそうだ。実はもう1人検査してほしい選手がいまして」
A「え?」
B「ジータ、来なさい。ではお願いします」
A「いやいや、チーターじゃないですか!?」
B「とんでもない!彼は人間です。100メートル4秒で走る逸材で」
A「もう勘弁してくれ!」